●QUIDAM 「POD NIEBEM CZAS」 (英題:「The Time Beneath the Sky」) 84点 ジャンル:プログレ シンフォニックプログレ ケルト フォーク (2002年)1.Letter from the Desert 2.Still Waiting 3.No Quarter (レッド・ツェッペリンのカバー) 4.New Name5.Kozolec 6.Credo 1 7.Credo 28.You Are 9.Quimpromptu 10.The Time Beneath the Sky (*曲名表記は英語です)<問題点・注意点> 1・ダークな曲と明るめの曲との完成度に落差がある・・・ 2・1曲目の出来が異常に良すぎて・・・ 続きはまた
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ポーランドが生み出した、ポーランド最強にして90年代のシンフォニックプログレシーンを代表するバンド、QUIDAMの3rdアルバム。「東欧のRenaissance」 と、この手のジャンルをやっているアーティストとして最大級の誉め言葉で称えられているだけはあり、全編にわたりRenaissanceからの影響を感じさせる、土着のトラッドやフォークを主体としつつ、それにクラシックの要素を加味した壮大且つ深遠で美しい音楽を聴かせてくれる。それを生み出す美声の女性ボーカル、ギター、フルートといった生楽器をふんだんに活用した堅実な演奏やサウンド構成も非常に質が高い。 ただ、本家であるRenaissanceと比べると、スケールの大きさや美しさ、幻想性、緊張感、深遠さ、迫力といった点でだいぶ劣る面は否めない。というか、相手が最強最高のグループなので仕方ないだろう。しかし、その反面、フルートを多用したり、ピアノよりもキーボードとエレキギターの多用によって曲にロック的なメリハリがつけられたり、レッドツェッペリンの名曲のカバーをしたり、6曲目以降の楽曲においてピンクフロイド的な「陰影さや浮遊感、鬱さ」を感じさせる構成になっていたり、アンビエントさを感じさせるインストっぽい1・9曲目があったりするなど、音楽的な幅広さがある。そして、それ以上に前衛さやダークさの中にも適度にキャッチーさがちりばめられているのが、本家との絶対的な違いであると言えるだろう。Renaissanceより楽曲がコンパクトということも相まって、非常に聴きやすい仕上がりとなっている。 総括すると、古典音楽の要素をふんだんに取り入れロックと融合させつつ、古典に比する新たな古典とも言うべき高尚な音楽を確立したRenaissaneと違い、古典音楽の要素を盛り込みながらも、古典に対するより「現代的な解釈」を感じ取れるのが、このグループの特徴であり大いなる魅力である。 このことを如実に物語っているのが1曲目であろう。砂漠を舞台にした戦争映画や秘境ドキュメンタリーやノンフィクションドキュメンタリーに使用されそうな中近東の民族音楽の旋律をメインに、スケールの大きな演奏とゴシックメタル的重厚さのあるギターリフ、そしてボーカルの絶唱と途中からはさまれる穏やかなパイプの演奏が織り成すアンビエントなこの曲は、今作の収録曲の中でも圧倒的なスケールの大きさと完成度、美しさを誇っている。 それにしても、紅一点ボーカルであるエミラ・ダーコウスカの歌唱は凄まじい。Renaissanceのアニーほどの迫力やスケールの大きさはないが、アニーより癖がなく、ソフトで少しハスキーな声質は作品で展開される様々な曲種に全く違和感なく溶け込んでいる。かといって無個性とか面白みがないということはなく、アニーばりの高音ファルセットを聴かせる1曲目での歌唱や、ややブルージーな8曲目での憂いを含んだ渋く且つエモーショナルな歌唱は、彼女がシンフォプログレ業界における最高峰の歌い手であることを確実に示している。実に恐るべき歌い手だ。 ただ、1・8曲目といったダークな曲調に比べると4曲目といった「明るめの曲」の完成度がイマイチで、このグループならではの魅力を感じ取れなかったのが残念であった。また、組曲となっている6・7曲目が冗長で少し中だるみを感じたのも大きな減点材料となった。人によっては「そこまで言わなくても」と思われる方もいらっしゃることだろう。だが、より完璧さが求められるプログレであるが故に、「Renaissanceの音楽性を確実に継承し、しかもかなりのレベルに達しているグループ」であるが故に、ここはあえて厳しくした。 しかし、シンフォニックプログレ入門作品として今作は結構お勧めの作品である。こっちの道(プログレ)に踏み込みたいと思われている方は是非聴いて頂きたい。但し、今作は品薄状態でアマゾンではプレミア価格がついている。一部のプログレ専門ショップではまだ通常価格で買えるようなので、購入を検討されている方は速攻の購入をお勧めする。
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2006/03/31 23:12|アルバムレビュー |トラックバック:0 |コメント:5 |▲
前回の続きです。奈々役にまつわること中心に記していきます。
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1・非現実的な容貌・設定のキャラにあう女優がいない&宮あおいの壁 当たり前であるが、少女漫画ではさも当たり前のように出てくる超絶美少女に匹敵する人物は現実には殆どいない。こういった漫画原作の作品の場合、配役において最も重要となるのは、演技力ではなく、「原作のキャラのイメージを損わない程度の」ということを前提とした上での「外見の魅力や雰囲気」といった原始的なマンパワー。所詮原作に即したキャラを実在の人間で出せるわけがないので、違う要素で原作キャラに匹敵する魅力を見せつけ、原作のキャラの魅力を押し切ることこそが、「ミスキャスト」の烙印を押されることを防ぐ何よりの方法なのである。 しかし、演技の上手い若手女優はそれなりにいるが、スクリーンを通してこういった魅力を見せ付けられる女優は圧倒的に少ない。現時点ではこの宮あおいと長澤まさみくらいなものだろう。しかも、運の悪いことに宮あおいは演技力にも秀でている。外見的魅力、演技力の両面で彼女に超えられる・匹敵する女優を探すのは相当難しい。2・イメージ戦略、露出制約 仮に宮あおい以上の人材がいたとしても、ここで問題となるのが、前回に書いた「イメージ戦略」である。 今の有望若手女優の殆どが清純さや愛らしさを主のウリ要素としていることから、「ベッドシーン」や「ヌード」(ここでの意は乳首見せ含む)がNGとなっている。「功名が辻」での長澤まさみ、「変身」での蒼井優、「白夜行」での綾瀬はるか、「NANA」でのサエコに見るように、キス+「着衣でのベッドシーン」「布団で腕と顔以外すべて覆い隠したベッドシーン」 が最大限の譲歩となっている。 小松奈々を演じられる10代後半~20代前半の女優で且つ、宮崎あおいと匹敵するかそれ以上の人気と魅力を誇る女優で「ベッドシーン」と「ヌード」OKの女優を私は知らない・・・。 たとえ本人が乗り気でも、「海猫」での伊藤美咲のように事務所やCM契約企業がダメだしをするということもある。本人の意思だけで進むことでもないのである。3・原作に比較的忠実な製作方針 何だかんだと言われながらも、劇場版「NANA」がそれなりの好評を博したのには、シンとかレンとかの一部のキャスティングを除き「原作に忠実に作った」ことがあるからだろう。 1作目での基本方針を継続するのであれば、レイラとシンの絡みをはじめ、話はどんどんダーク且つ泥沼且つエロにせざるを得ない。2の項目とも大きく関わってくることであるが、この3の項目を重視すると必然的に役のなり手が減ってくる。かといって役者獲得のために2の項目を重視し、どろどろさやエロさを大幅に薄めたとしたら、果たしてそれを「NANA」と言うことが出来るのだろうか。ファンが納得するだろうか。いや、それは無理だろう。 まさに八方塞とも言える状況なのではないだろうか・・・。個人的には今作を映画化したことそのものが「やはり間違いだったのでは?」とすら思うところもあるが・・・。 今回の結論として、人気の若手女優を抱える事務所や当人たちにとって、実は小松奈々という役はそれほどおいしくはないのである。 ましてや、それなりの地位と人気とを得ている人にとっては尚更のことであろう。 以上の点と、あくまで原作に忠実な映画作りを変えないということを前提にして小松奈々を演じられる女優の条件を考えてみると、愛らしさと水準以上のルックスを有し、さらに ベッドシーン、ヌードOKが重要な条件となるので、年齢的には20代半ばぐらいで、「清純派のイメージからの脱却を図ろうとしている人」 か、そうでなければ、この作品を足がかりに一気にスターダムにのし上がろうとの野心を持つ「無名か限りなくそれに近い人」 となる。 う~む、名前が思いつかない。「さよなら、みどりちゃん」で濡れ場を演じ、最近お色気役が多くなってきた星野真理や、同じく映画でヌードを披露した池脇千鶴か(ともに今年25歳)・・・。それか、「東京大学物語」で全裸シーン(肝心なところが見えているかどうかは知りませんが)を披露した三津谷葉子か・・・。しかし、彼女は奈々を演じるには豊満すぎ。 いっそのこと発想を変えてベッドシーン&ヌードOKのAV女優まで対象を広げると、蒼井そらとか高樹マリアとか吉沢明歩(夏川純にかなり似ている)とか小沢菜穂とかになるか・・・。ブーイング必死だろうけど。演技力も格段に落ちるし。ま、現AV女優の起用は現実にはないだろうけど・・・。 非難覚悟で方針転換をし、ベッドシーン&ヌードをNGとした場合で考えると、新垣結衣、戸田惠梨香あたりか・・・。(奈々役に関し、皆様のご意見お聞かせください) こうやって考えていくと、宮あおいってかなり奈々にあっていたのだな~と思う。誰が選んだが分からないが、考えられる最善の選択だったのではないだろうか。 9月からのクランクインなので、正式なキャストが発表されるのもそう遠くないだろう。果たして宮あおいでいくのか。そうでない場合誰を代役に立てるのか。他のキャストにも変更があるのか。特にシンとの絡みが増え露出も過多になる「レイラ」はどうなるのか。大いに関心がある。 一つ確実に言えるのは、「NANA」の映画を見に行った動機の90%が宮あおいを見るためなので(のこり10%は幸子を演じたサエコ)、彼女がキャストから外れた時点で続編を見に行くことはありえない、ということ。それだけは間違いない。
2006/03/30 23:54|エンタメ問答 |トラックバック:0 |コメント:6 |▲
さて、今回は「歌姫バカ一代」の「他事争論」を含め、初めての「非音楽ネタ」でいきます。といっても、以前の「予告らしきもの」で書いた「声優関連」のことではないのですが・・・。 今日唐突に思い浮かんだので予定を変更してこの内容とします。まあ「行き当たりばったり」「思うがまま」というのが、当ブログの隠れた運営方針でもありますので・・・。許してくださ~い。では、本題に・・・。 今日、何気なく「女性自身」今週号を見ていたら、「『NANA』続編主役“降板”の深刻胸中」 という記事があった。 先日続編の製作が発表されたばかりの「NANA」であるが、この雑誌の内容を信じるのであれば、奈々(ハチ)役を演じていた宮あおいが既に降板の意志を製作者側に伝えたとのこと。9月のクランクインに間に合わせるために後任探しも始まっているらしい。しかし、お約束の関係各者の話によると、「難航」しているようだ・・・。 また、ナナを演じた中島美嘉に関しても降板の噂がある・・・。 大ヒットを記録し、その年の映画賞を数多く受賞し、社会現象にまでなった今作。しかし、何故こういったことになっているのだろうか、こういった話が出てきたのであろうか。「女性自身」で書かれた内容を「事実」と仮定した上で、宮あおい降板に関する分析を主軸にアイドル論やジェンダー論をそこはかとなく盛り込みつつ、このことを考えてみたい。 *管理人が「宮あおい」の「熱心なファン」 ということを念頭において読んでいただけたら幸いです。
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既に周知のことだろうが、「NANA」の出演を経て、今までそれほど存在が知られておらず、如何にも「小シアター向け」の芸術映画中心の活動をし、一部の映画好き・あおい好きの人の間で「知る人ぞ知る」存在であった宮あおいの名を一気に一般層に知らしめることになった。当初こそは、「NANA」ファンによる宮あおいへの厳しいパッシングや、そうでなくても「ハチ役として彼女が適任なのか」という疑問が渦巻いていたものの、スクリーンでの彼女のかわいさや天真爛漫な演技を前にそういった声もかなり減ったように思う。原作のハチに即しているかどうかに関しては、未だに分からない部分もあるが、彼女がいい仕事をしたのは疑う余地がないだろう。今作への出演はあらゆる面で彼女にとってプラスになったと、熱心な彼女のファンである私も思っている。当然、続編への出演に関しても、それを妨げる不満や問題はなさそうにも思えるのだが・・・。 やはり今回の話が出てきた一番の理由は、「NANA」の作風にあると考える。 第一作目に該当する部分こそ、「比較的穏当」な内容であったが、こっから先原作では、頻繁なセックス描写・泥沼の愛憎劇・妊娠などなど、内容に激しさ?が増してくる。 現実の世界では、もはや中高生においてもセックスが身近なものとなっている。そういった風潮を反映するかのように最近の少女漫画は、男性青年誌以上の「エロさ」を見せている。今時「NANA」の内容に小学生ですら驚かないだろう。驚くのは私のような頭の固いオヂサンぐらいなものだ。しかし、一方で若手女優に対する支持の多くが「男性層」であるのも事実。そういった人々に対する、アイドルや女優の戦略においては、以前より格段にマシになったとは言え、いわゆる「すぐセックスさせる女」「軽い女」とのイメージをもたれることは、まだまだ「マイナス」にしかならない。この辺のところは、沢尻エリカ、長澤まさみ、堀北真希、綾瀬はるか、蒼井優、上野樹里といった「清純さ」を売りにしている若手女優がかなりの支持を受けていることからも良く分かる(実際の彼女らの性経験・恋愛経験や性格がどうかは関係なし。あくまでイメージの問題)。 倖田來未や蛯原友里をはじめ、「恋愛経験豊富そう」な女性が支持を受け、さらに現実には妄想世界で男性が求めているような女性がいないにも関わらず、一方で、いわゆる昭和的なアイドル・女優像も尚根強く残っているのである。男とは何と愚かなものだろうか。理想と現実とがかけ離れているのが分かっていても、現実を無視し、勝手な妄想・イメージを信じ込む、否、信じ込みたいのである。 同じセックス関連の描写であっても、マンガで見るのと、実在の人物が演じるのとでは、やはり意味合いがだいぶ異なってくるだろう。特にそれを演じる人と、その人の所属事務所、及びファンの人にとっては・・・。 話がだいぶそれたが、「NANA」に関する宮あおいのインタビュー記事を見ていると、元々彼女はこの映画に乗り気ではなく、何度か出演辞退を申し入れていることが分かる。また、出演が決定し、撮影が終了した後も、「小松奈々」に対する意見を求められた際に「自分とは考え方が全く違う」とか「奈々のイメージには即していない」といった趣旨の発言を各所でしていた。この中には、「ラブシーン」を演じることや、「小松奈々」に対する嫌悪感もあると推察できる。 しかし、彼女は過去の作品において、女子中学生ながら担任の先生と恋愛関係にあり、最後に見知らぬ男についていく役を演じたり、妊娠したりする役を演じたりしている。また、いわゆる「ラブシーン」も経験している。世間的に言われている、「この先頻発するであろうラブシーンが嫌だから」は、出演辞退の理由の一部を担ってはいても決定的なものとは言えない。 だが、そうであっても、今回あえて辞退の申し入れをしたのには、彼女はもちろん、彼女が所属するヒラタオフィス側の「これ以上小松奈々のイメージ、特に悪いそれ~に引きずられたくない」との意向があったからだろう。芸術的な意図や、考えさせられる深い意図があってのものならいいが、そうでないのは願い下げ、といったところだろうか。今年今作を含め6本の主演映画が公開され、さらに来週からNHK朝の連続ドラマが放送されるなど、今がまさにブレイク寸前。商業的なことや話題性を考えるなら、「NANA」続編に出演さすのが得策であろうが、事務所や当人は、これからも長く続くであろう「女優宮崎あおい」「芸術映画メインの女優」としての「きちんとしたイメージの確立・保持」をそれよりも優先させたと考えられる。「NANA」人気によって過剰になった「ビジュアル先行のアイドル的人気」に水を指す意味合いもあろう。 私個人としては、「何もそこまで神経質にならなくても」・「出演して欲しい」と思うと同時に、やはり盲目的なファンの一人として「この判断は賢明かも」と思うところもある。心境は複雑だ。 さて、ここで問題になるのが後任選びであるが、かなり難しくなると予想する。常に存在している「原作ファンからの根強い反発」は当然として、それ以外にも大きな問題があるからだ・・・。 その2に続く。
2006/03/30 22:18|エンタメ問答 |トラックバック:0 |コメント:0 |▲
●東野圭吾 「さまよう刃」 (朝日新聞社) 49点/50点 最近、「容疑者Xの献身」での直木賞受賞、「白夜行」のテレビドラマ化と勢いに乗りつつある東野圭吾の大傑作作品の一つ。「白夜行」と同様、東野作品のみならず、ミステリー史上においても屈指の社会派ミステリー作品である。 実は今作の書評は「歌姫バカ一代」からの使いまわし。とは言っても、なんと「歌姫バカ一代」では管理人の実力不足と怠慢とがあり書評を完成させてはいなかった。もはやどなたも覚えておられないだろうが、個人的にずっと頭に引っかかっていたので、今回この場を利用して、過去の分を含め「完成版」というべきものを作成することに決めた(そう宣言でもしない限り永久に書くことはないだろうし・・・。)。 というわけで、今回はそのときに書いた分を公開する。かなり長いがこれでも終わりではない。恐らく2・3回になる予定。すいません。
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東野圭吾は、すでにデビューして20年年近くと、もうベテランといってもいいミステリー作家。デビュー当初こそ、古典的ミステリーの流れを踏襲する作品を多々書いていたが、わずか数年後の80年代後半から既に、従来のミステリーが当然としてきたお約束である、「ダイイングメッセージ」「密室トリック」「探偵が事件を解決」「館監禁・孤島」のあり方や、あまりにも現実とかけ離れた作風のあり方に辛らつな批判を繰り返したため、業界から睨まれる問題作家となってしまった。 その一方で、単なる批判にとどまらず、多くの作品を通して、自ら呈したその批判への回答となる革新的といってもいい新機軸のミステリー小説を提示してきた業界の革命者でもある。非現実的で子供騙しのトリックに代わり、彼が小説を通して示したのは、人の感情の動き、物語としての精緻さ、時代性、社会性、リアルさ、斬新なテーマ、そしてそれらをもっての読者への「問いかけ」である。歴史的傑作であり、戦後ミステリー小説の金字塔と認識している「白夜行」(1999年)以降、この側面を一層強め、もはやミステリー小説の醍醐味たる犯人あて・謎解きといった要素は微塵もなくなってしまった。しかし、従来のミステリーにはない、圧倒的なストーリー性と感動と緊張感とをもたらしたといえるだろう。横山秀夫や伊坂幸太郎や「このミステリーがすごい」で賞賛を受けた作家が書く、マンネリズムと奇抜さと幼稚さばかりが目立ち、さらにナルシスト的要素も強く、しかも作品としての論理性にも面白みにも欠ける「バカミステリー・ゴミステリー」 作品が跳梁跋扈する今のミステリー会において、常に良作を送り続ける東野は、自分にとって「ミステリー会のガーネットクロウ」といってもいい存在となっている。いつまでも奇抜さや古典的要素に支配されている作家など、彼の影を踏むことすら敵わないだろう。その差は縮まるどころか年々広がってきている。 天才ともいうべき彼が、最新作である今作で扱った主題は「少年犯罪」「復讐」「法律問題」。それらが織り成すことによって構築された今作は、この時代を象徴する最高傑作の小説ということができるだろう。 この本を読んでいてつくづく思う。表題のように、「正義の刃は誰に向けられているのか」=「法律はいったい何のためにあるのか」「犯罪被害者の心の傷は誰が癒すのか」ということを・・・。 このテーマを、「レイプされた挙句無残に殺された少女」の父親が犯人に復讐しようとする行為を通し、鋭く読者に問いかけた作品である。時代性という点では「白夜行」「幻夜」からの、「復讐」「殺意」や人の悪意や醜い感情を描いている点では「殺人の門」からの、人間の作り上げたものに振り回される(ここでは法律や社会制度、文化・風習)点では「分身」「変身」からの影響を感じさせると共に、各々の要素に関しさらに磨きがかかったといえるのではないだろうか。もはやそれは神がかっているといってもいい。 主人公は中学3年生の娘を持つ男。妻を早くに失ってしまったため、それ以降娘と2人で生活していたのだが、世の多くの父親がそうであるように、娘の急な成長振りとそれに伴うすれ様々な違いに戸惑い、悩みつつも、娘を信じ日々を堅実に過ごしていた。娘からどう思われようとも、娘の成長こそが主人公の生き甲斐であったからである。しかし、突然当たり前の日常に破滅が訪れる・・・。 夏休みの恒例行事といえる花火大会に友人と行ったきり帰ってこなかった。そう、それが娘との永遠の別れ・・・。かねてからクロロホルムで眠らせ拉致した上で集団レイプを繰り返す少年たちの餌食となった挙句、数日後無残な姿で川から発見された。 こういった作品にありがちな残虐な描写やエロな描写は極力抑えられてはいるが、それとは対照的に、事件の前後における少年たちの、現代人の病理を高密度に凝縮したかのごとくの秀逸な心理描写に引きずり込まれずにはいられない。特に人をレイプし殺してしまったことに何ひとつ悪いと思うどころか、「死体が見つかってうぜえ」ぐらいにしか思っておらず、「いかにして責任逃れしようか」と姑息なアリバイ工作をなめた態度で考えている描写を前に、主人公の犯人に対する怒り・憎しみと完全に一体化し、「こいつら死刑」「ぶっ殺す」と口走ってしまうこと請け合いだろう。そうなってしまったが最後、続きを読みたいと思う気持ちをとめることができなくなる。そう、その時点で東野が仕掛けた罠に完全にはまってしまっているのである。そこから、主人公を中心としつつも、犯人の少年、事件を追っかける警察官、事件を報道するマスコミ、主人公と同じく娘をレイプされ殺された家族、自分の子供が悪いことをしているのを重々承知していながらも「自分の子供は何も悪くない」と思い込む加害者の家族、司法や少年法の問題点、などなど様々な人の感情や制度が交錯する壮大な物語が展開される・・・。
2006/03/30 01:05|読書評 |トラックバック:0 |コメント:0 |▲
●ガーネットクロウ 「籟・来・也」 表題曲のレビューだけあげて、「カップリング」曲をほったらかしにしていたガーネットクロウ「籟・来・也」レビュー。本当に間が空いてしまってすいません。今日中に出来るだけ完成できるようがんばります。
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2・Over blow ★★★☆ 作詞・Azuki七 作曲:中村由利 編曲:古井弘人 穏やかなアコギの旋律から始まるゆったりとしたネオアコバラード曲。AメロからBメロまでは、ギターの音色と中村の歌唱を中心としたシンプルな構成だ。この部分での力の抜けた、まるで囁きかけるかのような繊細な歌唱は絶品。以前に比べ、また一段階表情づけが上手くなったように思う。歌唱や詞から漂うメランコリックさがたまらない。 ただ、サビのメロディーが今一歩か。悪くはないのだが、特に後半のメロディー進行と編曲がどっかしらで聴いたような気がしないでもない。 しかし、それに反し一気に広がりと盛り上がりとを見せるDメロは絶品。「僕は君と出会い~」からの展開と、一瞬を間をおいてからのサビメロへの流れ、そして力強さを増していく中村の歌唱が良かっただけにやや残念に思う。3・風の音だけをきいて ★★★★☆ 作詞・Azuki七 作曲:中村由利 編曲:古井弘人 比較的のどかな2曲目に反し、こちらは出だしから「祭のじかん」にも通ずるダークな雰囲気に満ち満ちているミドルテンポの曲。 流石はガーネットクロウと言うべきか、カップリング3曲目にして相変わらず実験的で、それでいて高水準の曲を平然と盛り込んでくるところが凄まじい。 中低音主軸に感情表現を抑え目にして淡々と歌っていく中村の、荒涼とし且つ冬の早朝にパジャマのままで外に出た時のように肌をひんやりとさせる歌唱が何ともいえない暗さを演出している。しかし、それだけでなく、サビ部分の澄んだファルセットがより曲にダークさを与え、さらに浮遊感を加味していく。表題曲だけでなくこの曲においても、以前とは一味も二味も違う歌唱の成長振りを存分に見せ付けている。 その歌唱を聴いていると、何だか自分の心の暗い面と対峙させられているかのようだ・・・。そして、それは中村の歌唱だけでなく、彼女の名パートナーであるAzukiの詞の存在ももちろんある。「愛しているとか好きとか安売りみたいに歌われるけど耳障りでしょうがないけれど」 の部分を始め、如何にもAzukiらしい厭世さや自嘲さ、社会や他者に対する皮肉めいた詞にドキりとさせられる。相変わらずこの辺のセンスの良さは、既にわかってはいるけれども尚凄いと思わずにはいられない。 そして特筆すべきはメロディーであろう。Bメロ以降の変則的で予想がつかないメロディー展開はまさに中村ならではのもの。初期の頃や4thアルバムに収録曲にある「一歩間違えば駄曲」とも言うべき危うさ・緊張感がある。コレと上記ダークさや荒涼感こそが、私がガーネットクロウに求めている大きなものなのである。ありきたりのメロディーの曲やお約束のラブソングなどは他のアーティストで聴けばいいだけ。 オルガンの音色を使用したジャズっぽい中間奏も良く、良質の編曲がAzuki、中村の仕事振りを堅実に守り立てる。隙などはもちろんない。 Azuki、中村両名を主軸とした各々の素晴らしい仕事振りとその相乗効果が生み出す、「他のアーティストでは決して味わえない、言いようのないゾクゾクした感じ」をこの曲でも十二分に堪能させてくれた。他のアーティストでは、シングル表題曲やアルバムのキートラックとなっていてもおかしくないぐらいの出来だろう。<総評> 3曲とも「ガーネットクオリティー」とも言うべき高水準の作品。ここ最近のシングルにあった「らしくなさ」「ありきたりさ」が完全に吹き飛んだと言えるだろう。カップリングを含めこのレベルでシングルを送り出せるグループアーティストは彼らをおいて他にいない。活動6年目を経てもこのレベルを維持できているのは、そのことだけでも何よりの絶賛に値する。ただ、こういったこともさることながら、個人的に表題曲におけるプログレ路線への接近が何よりもうれしかった。ついに彼らも来るべきところにようやく来たのだと。Fayrayや宇多田、大竹佑季らに比べ、「開き直り具合」という点で少し遅れが見られたことから心配していたのだが、この曲をして、今年の「私的音楽シーン」を考える上で最重要キーワードとして勝手に決め付けている「プログレ」及び、「プログレ頂上対決」の舞台にようやく彼らも立ったように思う。 既に舞台に立った宇多田、Fayray、大竹。そして参戦する気配がありそうなOLIVIAと新居巨匠、そしてこのガーネットクロウ・・・。 今年が終わる段階でこれらアーティストの対決がどのような結果になっているか本当に楽しみである。というか、このことしかもはや頭にない。出来れば、ファンの心理としてガーネットクロウに勝ってもらいたいと思うところがあるが、既に最高の結果を出したFayrayや、かなり素晴らしい作品を出した大竹佑季の壁を越えるのはそう簡単ではないだろう。しかし、過去にも様々な有力作品を押しのけ、作品毎に年間ナンバーワンアルバムとなってきたガーネットクロウのことだ。再び4thアルバムのときのような一発逆転劇に期待したい。このシングルはこのことを予感させるに十分なものであった。
2006/03/29 00:39|シングルレビュー |トラックバック:0 |コメント:2 |▲
先ほどはるなさんのところから「エンドレスバトン」 なるものが来ました。(以下はるなさんのところよりコピペ)●回ってきた質問の最後に、”自分の考えた質問を足して”下さい。(自分も回答すること) ●終わったら必ず誰かにバトンタッチしてください。 ●まとまりのないエンドレスバトンなので”どんな質問を加えてもOK”デス。 ●バトンのタイトルを変えないこと! ●ルールは必ず掲載しておいて下さい。 とのこと。「バトン」ならではの恐ろしさが何だかあるような気もしますが・・・。
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●最近のマイブームは? プログレッシブロックとプログレッシブメタルを聴くこと。●最近買った一番高いお買いモノと安いお買いモノ(お値段も) 高いもの:絢香のライブチケット3500円 安いもの:CDの空ケース10個280円●今まで買ったお買いモノで一番の失敗は?(お値段も) NECのノートパソコン。たぶん225000円くらいだったような。●最近ショックだったこと 感染症と腱鞘炎に悩まされていること+花粉症。●最後にお酒を飲んだのは「いつ・どこで」ですか? 今日、自宅で。●最近始めたいな…と思う勉強は何? 社会学と社会心理学。●ボーナスの使い道はどうしますか? 棒ナスなんてもらえない。●年末年始の予定は? 年末特番を見ながら2006年の音楽総評をまとめているでしょう。そのときまでブログをやっていればの話ですけど・・・。●大好きな少女漫画を5つどうぞ。 ・ママレードボーイ ・ハンサムな彼女 ・姫ちゃんのリボン ・ときめきトゥナイト ・こどものおもちゃ かな。他にも、いっぱいあり。ここ5年くらい読んでいませんが・・・。吉住渉大先生が好きですね。●お気に入りの歴史年号を覚えるための語呂合わせは?(「鳴くよ鶯、平安京」とか ) 「朝廷の虫殺す(645年)大化の改新」●今年を表す漢字を一つ! 「病」 これしかないですわ、もう・・・。●週刊系の少年漫画で一番初めに手に取るのは? (ジャンプとかサンデーとかマガジンとか) 週刊少年ジャンプ。月曜に出るから。●CGとアナログどっちが好き? (ついでに理由も) アナログ派かな。新しければいいってわけでもありません。●トイレは和式派?洋式派? 学校や職場では「和式」で、自宅は「洋式」ですからね~。ま、おちつけるということで「洋式」でしょう。●寝るときは仰向け?うつ伏せ?右向き?左向き? 仰向け。朝起きたときにうつぶせになっているのは「健康状態が悪い」らしいとどっかしらで読んだことがあるような気も・・・。●尊敬してる人について好きなだけ語ってください。 やはり、ここは偉大すぎる李小龍師父(ブルース・リー)でしょうね。端整なルックスに究極の肉体美、そして「友よ水になりなさい」「考えるな!! 感じるんだ」「無法を以って 有法となし、無限を以って有限と為す」といった哲学的な発言、シャープなクンフー・・・。私にとって永遠のヒーローですね。 ちなみに「考えるな!! 感じるんだ!!」は私の音楽観にも大きな影響を与えていますね。●趣味はなんですか? 音楽鑑賞、読書、映画鑑賞、テニス、フィギュアスケート観戦、バレーボール観戦、女子アナ評論などでしょうか。●身長は何センチですか? ないしょです。●携帯変えたいですか? ボーダーフォンの携帯、デザインダサすぎるので変えたいですね。番号持ち越しになる今年、出来れば買い換える予定。●部屋は片付いてますか? 時々コンポの前にCD4・5枚置いてとか、読みかけの本を机の端に置くとかはありますが、大概は片付いています。余計なものは出さない主義なので。●最近あったいい事はなんですか? 絢香のライブチケット取れたことですかね。●携帯をお持ちの方、ただいまの着メロおよび着うたは? 常時振動にしかしていませんので。着メロ・着歌は傍で聴いていてうっとおしいことこの上ないです。●流行らせたい言葉は何? 聖帝サウザー様の名セリフであり、当ブログの基本方針でもある「引かぬ!!媚びぬ!!省みぬ!!」ですか。●皆に勧めたいマイナーアニメ (もしくはゲーム) ゲームだと、 「ハットトリックヒーローズ」(かなり昔のゲーム) 後は、ギャルゲー関連だと菅野ひろゆき(剣野ひろゆき)の「Eve Burst Error」と「Desire」、Key作品の「Air」、ゲームアーツの「グランディア」 あたり。マイナーかどうかは分かりませんが。 アニメだと「Noir」「rain」●今、喉から手が出るくらいほしいものは? 非現実な妄想路線だと、「もこみち君みたいにかっこよくて健康的な体」。 現実路線だと、「高性能且つTVチューナーつきのノートパソコン(東芝Qosmioとか)」かシェンバイザーのヘッドフォン「HD595」。●今までで一番萌えたキャラは?(ジャンル問わず) 現「めざましテレビ」お天気お姉さんの皆藤愛子。「萌えちまったよ。何もかも真っ白な灰に」●好きな髪形は?(ショートとかロングとか) 基本的には肩ぐらいまでの「セミロング」ですが、当人に似合っていればそれほど気にしません。但し、今の柴咲コウさんや星田紫帆さんみたく「長すぎる」のはNG。●好きな食べ物・嫌いな食べ物は? 好きな食べ物:肉系、トマト、きのこ類 嫌いな食べ物:魚介類●普通では飼えない動物で好きな動物は? 妄想世界に入りますと、「バベル2世」の「ロデム」。「北斗の拳」の「牙一族」でもいいです。●12ヶ月のうちで一番好きな月はいつですか? 1月。休みが多いので。●今まで見た中で、今でも強烈に覚えている夢をひとつ教えて下さい 夢を覚えていることはあまりないので・・・。特になしですか・・・。●qあwせdrftgyふじこ 出せますか? 何のことやら意味が分かりません。●割と得意だった数学(算数)の分野 確立●タイムマシンがあったら行ってみたい時代はいつですか? ブルース・リー師父が生きていた時代。●今、一番会いたい人は誰ですか? 宮崎あおい様か長澤まさみ様。●ラーメンの味は何派ですか? とんこつ醤油派ですね。<バツ丸追加の質問> ●ドラえもんの道具で一つだけ手に入れることが出来るとしたら何が欲しいですか? 「液体(薬品)の入った瓶であり、それを飲んだ人の言ったことが全て嘘となり、言ったことと反対のことが実際に起こるという道具」である「ウソ800」 次にバトンを回す人ですが、懇意にしてくださっている人は今仕事で忙しい方ばかりなので、ここは学生で恐らくそれほど忙しくないであろう(失礼ですけど)RUBY CLAWさん、お願いします。 しかし、このバトンって受け取るのが後になればなるほど辛くなってくるな~。 程ほどにしましょう。
2006/03/28 00:35|バツ丸の戯言 |トラックバック:4 |コメント:6 |▲
●Discus 「...Tot Licht!」 95点 ジャンル:プログレ プログレメタル シンフォニックプログレ ジャズ ガムラン ミクスチャー ハードロック・・・もはや形容不能のごった煮音楽 (2004/01/01)1.System Manipulation 2."Breathe" 3.P.E.S.A.N. 4.Verso Kartini - Door Duisternis Tot Licht! 5.Music for 5 Players6.Anne 7.Misfortune Lunatic <注意点> 1・とにかく音楽に節操と落ち着きがなさ過ぎるので、人によっては受け入れられないだろう 2・男性ボーカルも結構入っている 3・唐突に入るガムラン!!?
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このブログをご覧になっている方は、恐らくその殆どが日常的に音楽を聴いておられる方であろう。さて、ところで聴いている音楽の国籍はいったいどれくらいになるだろうか。日本は当然含むとして、洋楽ポップスなどに関心があれば、アメリカやイギリス、北欧諸国が入るだろう。メタルやクラシックが好きであれば、ヨーロッパの多くの国家が入る。ラテンが好きであれば南米諸国も入るが、それでも世界の国の数を考えると、大した数にはならない。自分も家の中のCDを漁って数えたが、せいぜい20数カ国しかなかった・・・。それでも多いほうだとは思うのだが・・・。 個人的に海外音楽の嗜好が、メタルやプログレ中心になっていることから、得てしてヨーロッパ圏、特に白人中心のそれに偏るのは必然である。やはり最高のメタルやプログレというものは、ヨーロッパやアメリカといった国出身の名アーティストにあると今でも思っている。もちろん、東南アジア諸国のアーティストの作品を聴く などという選択肢は、はなからありえるはずもなかった・・・。 だが、傲慢さと偏見に満ちた私の考えをぶっ潰すアーティストが登場した。今回紹介するインドネシアのプログレグループ、「Discus」である。今作はその彼らの2ndアルバムであり、既にプログレマニアの間において伝説的な名盤として称されている作品である。その評価に嘘はない。「インドネシア」といえば、大学の音楽の授業で聴いた「ガムラン」、一般常識として知っている「ジャワ島をはじめとした南国の観光国家」「イスラム国家」「鉱物資源が豊富」といった安直なイメージしかわかない私のちんけな脳みそをいとも簡単に且つ完全に吹き飛ばし、「インドネシアのプログレは素晴らしい」との考えを植えつけるに十分すぎる作品であった。 音楽ジャンルは、上記にあるようにプログレとなる。だが、こういった音楽性を誉める際の上等文句となっている「斬新」「前衛的」といった言葉すら、このグループが奏でる音楽性を表現する上では、余りに生易しすぎる。それは今作の中でもかなりの屈強さを見せる1曲目で早証明される・・・。 この1曲目、とにかく曲展開がイカれまくっている。手拍子によるガムランの演奏と、男性ボーカルによる「お経を読んでいるかのような詠唱」によってはじめられるが、その後は唐突にキング・クリムゾンばりに変拍子を多用しまくったテクニカルなジャズロックと、初期のドリームシアターのようなシャープでスリリングで力強いギター&キーボードの演奏とが渾然一体となった屈強無比の音楽をまざまざと見せ付ける。かと思えば、Mr.SiriusやRenaissanceのボーカル並の美声と歌唱技術を持つ女性ボーカルによるシンフォニック・叙情派プログレ的曲展開となり・・・。かと思えば、間髪おかずにミクスチャーバンドの男性ボーカルのような歌唱とこれまたお経のような詠唱が渾然一体となり・・・。その後はスティーブン・タイラー(エアロスミス)ばりのしゃがれた声での力強い歌唱と、ラウドなギターによる豪快でファンキーなハードロック、女性ボーカルによる余りに美しいシンフォニックプログレ、バカテクによるプログレッシブメタル、牧歌的なガムランが脈絡もなく目まぐるしく展開され、頭の中で整理がつく前にあれよあれよと言う間に9分20秒の演奏時間が終わりを迎える・・・。 3曲目では初期のRenaissanceを髣髴させる男女混声ボーカルとアコースティックギターによる郷愁感あふれるフォークロックを聴かせ、4曲目では同じくRenaissanceの「シェラザード夜話」収録曲のような幻想的な美しさとスケールの大きさのある「ファンタジックプログレ」を聴かせ、5曲目においては、エディ・ジョブソン在籍時のCurved Airのような、「薬入ってんじゃないの」と突っ込みたくなる、「聴いていて気持ちが悪くならずにはいられない」奇怪なバイオリンフレーズをコレでもかと聴かせ続ける・・・。最終曲は複雑な展開をする大曲プログレバラード・・・。 もう、常軌を逸しているとしか言いようのない「ごった煮音楽」のオンパレード。プログレを構成するであろうすべての要素が今作に詰まっていてメルトダウン寸前。楽曲をまとめるだの、アルバムをまとめるだのといった考えは微塵も感じ取れず、ひたすら好きなようやっていたら「こんなん出来ちゃったよ。聴いてみ?」になったとしか思えないぐらいの破天荒な音楽性・・・。プログレ四天王や、Renaissanceをはじめとした西欧圏のプログレ名アーティストの作品にある深遠さや知的さ、奥深さとは無縁であるが、こういった作品が束になっても敵わない「ただただ圧倒されるだけのほとばしるエナジー」や「痛快さ」、そして「インドネシアやインドネシア音楽に対する深い愛情」に満ち満ちている。 このことが、ひたすらバカテクで散漫極まりない音楽であるにも関わらず、通して作品を聴き続けることが出来た一番の理由となっているのだろう。また、暴れ狂う楽曲を作りつつも、バカテクでそれをねじ伏せた個々のメンバーの演奏技術にもただただ驚くだけ。いったいどれだけ練習すればこれほどの演奏が出来るようになるのだろうか。女性ボーカルも、叙情派プログレの名女性ボーカルと比べても何ら遜色ないくらいに上手いし、声も美しい。よもやインドネシアから、プログレ大国であるイギリスやイタリアの名アーティストの名盤に匹敵する作品が出てこようとは・・・。 ただ、「節操や落ち着き」とは全く無縁の音楽性が故に聴きづらい点があるのは否めない。人によってはマイナス評価にもなるだろう。 聴いていて感動するというよりも、余りに凄すぎて・理解不能で「苦笑」してしまう「偉大なるアホ音楽」とでも言うのが、今作に対する正直な感想。 しかし、プログレ好きの人、至高の音楽を追い求めている人であるのなら何が何でも聴いて頂きたい作品。本当に今作は凄い。だが、現在は入手がかなり難しいようだ。実に嘆かわしい・・・。
2006/03/27 00:39|アルバムレビュー |トラックバック:1 |コメント:8 |▲
①奥田英朗 「ガール」 講談社 40点/50点②井上俊 船津衛 「自己と他者の社会学」 有斐閣
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①は安定して高水準の文芸作品を出している名手奥田英朗の最新作。今回は30代のOLたちを主役とした短編集である。簡単に言えば、奥田版「負け犬の遠吠え」か・・・。 育児、結婚、仕事・・・。人生で重要な岐路に立たされつつも日々男性社会の中で奮闘しているワーキングガールたちの生き様や心理が、奥田の流れるような文章でみずみずしく綴られている。 彼女らを通して、今の日本社会や日本企業の結構大きな問題が描かれているにも関わらず、そう深刻に考えることなく、説教臭さを感じることもなくサクサクっと読み進めていけるのは、奥田の文章力あってのものだろう。コミカルで時に切なく、人間の強さ、愚かさなどをさり気なく読者に認識させる軽妙な文体により、読んでいて作中のOLたちと同様、最後には何だか清々しい気分になれる。 また、人物設定もいい。ありきたりなところもあるが、ところどころで中々現実にはありえない「如何にもフィクション的な微妙においしい設定」があることが、同性の女性に「まだ負け犬ではない」「人生まだまだ楽しいことでいっぱい」などと夢や憧れを抱かせつつ、作中人物に対する親近感・共感をもたらした。「え~」と思いつつも、「あるある、こんなこと」と読んでいる人はきっと思うことだろう。この辺りのところは、作者の天性の上手さ、バランス感覚の良さとしか言いようがない。 仕事をしている20代・30代の女性のみならず、男性にも読んでいただきたい傑作短編集である。各話それぞれが魅力に富んでいて面白いのだが、個人的にOLたちがイケメン新入社員に恋し、彼をめぐって壮絶な戦いを繰り広げる最終話の面白さに腹がよじれた。 ところで、今作の144Pで、「第一、婚期や出産年齢が今より早まったら東京のレストランの半分は閉店に追い込まれてるだろう。アパレルと旅行業界は大打撃を受け、日本経済全体が落ち込むだろう」 との、作中主人公の意見には笑ってしまった。確かに、こういった業界だけでなく、アキバ系のオタク業界やガンダム人気をはじめ、日本経済の中で元気な項目は、「独身の20代後半から30代の人間」に支えられている。こういう人たちが皆結婚して子供を2人も3人も作ったら、このような趣味にお金と時間を注ぎ込んでいる場合ではないだろう。もっともな真理である。 果たして今の日本において、本当に効果のある「少子化対策」を取ることが出来るのだろうか・・・。見物であろう。 ②は社会学や心理学のみならず、「人間」や「文化」を考える上で超重要な「私」という概念について分析した本。「印象操作(管理)」理論で有名であり、20世紀の様々な学問に絶大な影響を与えたE・ゴッフマンの「行為と演技-日常生活における自己呈示」での理論を主軸にして、社会や他者との関わりの中で絶えず変化していく社会現象としての「私」を社会学的に解き明かしている。 何故人は、時に自らの命を絶つのだろうか。何故様々な局面で嘘をつき事実をごまかすのだろうか。それは、「私」という存在が常に他者からの視線や評価に晒されているからに他ならない。人はこのことに絶大なプレッシャーを感じている。だから、「いじめ」や「リストラ」という自己評価に決定的なマイナスに繋がることが他者に露見する前に死を選ぶケースが少なくないのである。 こういったお話を始め、この書籍での「私」に対する分析は基本を網羅しつつ多岐にわたって行われている。文章が難しく、しかもお堅く難しい理論が大半を占めるということもあり、結構読むのに苦労を強いられたのだが、中には「ファッション」や「ブランド」に関することや、「模倣の文化」、そして自分にとって興味の深い「求められるアイドル像の変化」「アイドルとファンとの関係の変化」などに関して、少しではあるが分析されていたのが興味深かった。 コミュニケーション関係に興味がある方にお勧め。
2006/03/26 18:09|読書評 |トラックバック:0 |コメント:0 |▲
・評価:30点 公開は今年であるが、映画が作られたのは3年も前である今作。シネコンではなく、ミニシアター中心で公開されていることもあり見るのが大変なのだが(狭いし飲食できないし、すわり心地悪いし・・・)、管理人の最も好きな女優である「宮あおい様」が出演していることもあり、気合を入れて見に行ってきた。 いや、本当に大変だった。名古屋で唯一の公開館となった「名古屋シネマテーク」であるが、本当に昭和の映画館の名残を残した小汚くてせせこましく、妖しい雰囲気。ま、昔からの映画好きにとっては、この雰囲気こそがたまらないわけであるが・・・。私が子供の頃はこういった映画館がたくさんあったので、思わず懐かしさがこみ上げてくる。 話がそれてきたので映画に戻す。 タイトルを見るに、クサくはあるもののしみじみとした良質の恋愛映画になると期待していたのだが・・・。う~む、これは・・・。
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<あらすじ> 愛する人を亡くし心に傷をおった姉(小山田サユリ)を持つユウ(宮あおい)は、いつも川辺で下手なギターを弾いている同級生ヨースケ(瑛太)に心惹かれる。そんな彼女に戸惑いつつも気にしてしまうヨースケ。お互いに好意を持っているのにユウはヨースケに素直に気持ちを伝えられず、一方のヨースケも姉のことばかり気にかける始末。 ユウはそういうヨースケの気持ちと、傷ついた姉を慮って二人をくっつけようと画策する。しかし、そのことが大きな事件を引き起こし、二人を引き裂いてしまった。そして無常にも歳月は流れ17年後。仕事を通して偶然にも二人は再開を遂げる。17年前に止まっていた二人の時間が再び動きはじめる・・・。 まあいわゆるベタなラブストーリー。あらすじを見ている限りでは、意外性こそないが、それなりに面白い作品だと思うことだろう。が・・・。 いかにもミニシアター系で公開されている映画らしく、撮影方法や映像の作り、物語の流れなどが独特。しかし、このことに対する評価が、結局のところ今作に対する評価を決定的なものにすると思う。 映像の殆どが「堤防」「家」「学校」「空」で構成され、さらに1つのカメラをただ延々と回し役者の演技、というよりは主人公たちのやり取りを漫然ととっただけの映像はとにかく間や無駄が多すぎてダラダラしすぎ。まるでバカっプルのいちゃいちゃぶりを見せ付けられているみたいだ・・・。「当人たちにとっては必然さや何らかしらの意味があるのだろうが、それ以外の人にとって無意味・不必要かやり過ぎ」としか思えない理解不能のやり取りが全編にわたり展開される。 大人になってからのヨースケ(西島秀俊)が野波真帆演じる役との会話とか、何故あのコソ泥が最後であんなことをしたのかとか、主人公同士の唐突なキスシーンとか・・・。 登場人物の会話や動きを逐一考えていると完全に頭がパンクするだろう。 音に関してもかなりこだわりがあるようで、本来なら削除されるであろう生活音やノイズなども収められている。 まあ、こういった作品を無条件に「芸術的」だの「前衛的」だのと思える人にとっては良作なのだろう。低予算ながらノスタルジー漂う美しい映像を作り上げたのは確かに大したものだと思う。極限にまで実際の人間のやり取りや生活観を出した点も高い評価に値する。だが、不必要なものまで数多く収め淡々としまくっている今作やその登場人物たちに感情移入することは非常に難しく、見ていて何かが伝わってきたり感じ取ったりすることはなかった。 熱心な宮あおいファンであり、芸術作品や小シアター系作品に対する耐性が少しある私でもそうなので、派手で展開の早い作品が多い王道ハリウッド映画を見慣れている人にとっては、映像の間と間とを埋められる想像力と忍耐力がない限り、見続けるだけでかなりの苦痛が生じる作品だと思う。 さて、本題である宮あおいに関してだが・・・。映画への評価とは違い、やはり彼女は素晴らしい。今日本中を探しても、ここまで自然に役に溶け込める演技が出来る女優はいないだろう。彼女には織田裕二のように「いかにも役を作ってます」的感が全くないのが凄い。そして、端整ではないが、人懐っこく愛らしい笑顔ともの悲しい表情共に抜群の魅力を見せるルックス、スレンダーなスタイルの良さも圧倒的。スクリーンを通して彼女ほど魅力的に映える女性は殆どいない。JJやCancamのモデルが束になってかかっても勝てはしないだろう。10代半ば~20代前半ぐらいでいい女優がかなり出てきている今の邦画界ではあるが、演技の実力とビジュアルの魅力の両方に関し、彼女は1・2歩他より抜け出していると思う。(長澤まさみ、堀北真希、沢尻エリカぐらいか、対抗できるのは・・・。) 今作においても他の役者を圧倒する奮闘振りであった。だが、このことは大きな欠点でもあろう。つまりは、今作のように彼女と同年代か年齢的に近い相手役が必要な作品において、彼女に匹敵できる実力・魅力を持った「男性俳優」がいない、ということである。瑛太はがんばったと思うが、それでも差がありすぎた。このことが少なからず映画のバランスを崩してしまっていたのは本当に残念である。ジャニーズのジャリタレ中心のドラマ・映画作りがもたらした害悪と言えるだろう・・・。なまじ若手女優がそれなりに育っているだけに、今後の邦画界を考える上でこのことは深刻な問題となり続けるだろう(「タッチ」における長澤まさみと斉藤兄弟の関係もこれに該当する)。 宮あおい以外の役者についても少し触れておこう。 大人になってからのユウとヨースケを演じた永作博美と西島秀俊であるが・・・。西島は瑛太の成長したイメージとぴったりで演技も結構良かったが、永作は少し無理があった。演技はまずまずであるが、「低い鼻」と「髪型」以外、「やや丸めの体」「小柄」「まん丸顔」など宮あおいと違う点が多かった・・・。いっそのこと宮あおいをそのまんま起用したほうが良かったのではないだろうか。まあファンであるが故の妄言ではあるが・・・(永作博美は結構好きです)。 姉を演じた小山田サユリは、宮あおいがいなければ絶賛していただろうと言えるくらい良かった。妙な存在感がこの人にはある。 まあウダウダと述べてきたわけであるが、結論としては、いかにも「○○映画祭」に出品されるような映画が好きな「映画通」や「メジャー映画嫌い」の人か、私のように「宮あおい様~」と思っている人、今作を作った石川監督のファンでもない限り全くお勧めできない映画である。<追記> 音楽はあの菅野よう子が担当。壮大な音楽や前衛的な音楽との印象が強いので、アコースティックギターを主軸とした今作のシンプルな音楽に驚いてしまった。しかし、その美しさやスケールの大きさに関してはかつてと全く変わりがない。流石といったところだろう。まだサントラの発売が決まっていないようだが、一刻も早く出していただきたい。
2006/03/25 22:21|映画評 |トラックバック:1 |コメント:0 |▲
●上木彩矢 「Communication Break」
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1・Communication Break ★★★ 作詞:上木彩矢 作曲:徳永暁人 編曲:後藤康二 ビーイングの歴史を代表するのみならず、業界でも頂点狙えそうなハードロッカー上木彩矢の記念すべきメジャーデビューシングル。1st・2nd、特に2ndアルバムでの楽曲の充実振りから、発売前からこのシングルに対する思いが強かったわけであるが・・・。申し訳ないけど、がっかりもいいところ。 作曲が徳永担当ということもあり、やや乾いた感じの、doaの曲に近いグルーブ重視のガレージロックっぽい曲である。しかし、サビをはじめ全体のメロディーの流れが平坦で間延びしており、ロックらしいシャープさやテンポの良さに欠ける。doaの仕事をしてから一気に製作曲数が増えたこともあるのだろうが、倉木楽曲をはじめ徳永曲の質も下げ止まりが効かなくなっているようだ。大野愛果と同じく、既に才能が枯渇したのだろう。 だが、楽曲の質の低さもさることながら、このことと同じかそれ以上に、こういった曲がそもそも上木にあっているのかという根本的なところでの疑問がぬぐえない。 上木ならびに彼女の曲の魅力は、シャープで豪快な展開を有す曲と、エモーショナルで力強く鋭い歌唱、及びそれらの高度な融合により激情を巧みに表現しているところにある。しかし、今回の曲はこういった魅力を全く持っておらず、「だるい」「まったり感」「ノリの良さ」を見せているに過ぎない。上木の歌唱があるからこそ聴けるレベルには達しているが、このような特徴が、彼女の大きな魅力である突き抜けた感や豪快さを大きく奪ってしまった。はっきり言って「ダサい」。 率直に言ってこういった曲調を聴くのであれば、ラブ・サイケデリコを聴いていれば十分。表題曲としてこの曲を持ってきたのは戦略面も含めあらゆる点で失敗であった。2・HAPPY GO LUCKY ★★★☆ 作詞:上木彩矢 作曲:水野幹子 編曲:Bonn 作曲が水野幹子ということを如実に物語る痛快なパンクナンバー。ややかわい目の声音で楽しそうに歌い上げる上木の歌唱はとにかく上手く、楽曲の雰囲気を完璧に守り立てている。 ただ、どうなんだろうか。水野の曲は悪くはないのだが、これといっていい点もない。誰に対しても同じような曲しか書けていないので、上木の魅力を引き出しているとも言い難いし・・・。典型的「カップリング曲」であり、アルバムの中ではアクセント的な曲になる感じか・・・。<総評> 悪くはない。しかし、表題曲のところにも書いたが、過去に優れたミニアルバムを2枚出したハードロックの天才上木のメジャーデビューシングルとして考えた場合、出来が悪いとしか思えない。他のアーティストに対する★1つ半の評価と同じような感じである。 とにかく曲の質が低く曲調も?なのがすべての元凶。どんなに歌が上手くても、曲や曲と歌い手との相性、戦略が伴っていなければその魅力を出し切ることは出来ない。徳永曲にしたことがそもそもの間違いだろう。ミニアルバムにあったシャープさ、重厚さ、問答無用のかっこよさ、激しさは一体どこに行ってしまったのだろうか? 断言するがこの程度の楽曲で売っていくのは不可能だ。 上木は、GIZAの新エースのみならず、今の閉塞した音楽シーンを打ち破ってくれる有力なアーティストになれるとすら思い、期待していたのが・・・。このシングルで一気に彼女に対する評価が下がってしまった。もし今後のシングルやアルバムもこのような調子であるのなら、早晩自分にとって必要なアーティストではなくなるだろう。もう一度初心に返って楽曲作りに精を出していただきたい。一体彼女を売らずして誰を売るというのだ!!? やはりGIZAからのデビューは間違いだったのだろうか・・・。これではZAZZYの真中潤の方がずっと良い。
2006/03/25 01:24|シングルレビュー |トラックバック:0 |コメント:8 |▲
まだ少し肌寒いときもありますが、日に日に強まる日差しや卒業式を迎えた学生たちを多々見かけるなど、春の訪れを確実に感じますね。ま、仕事の関係で私にとっては一年で最も「嫌な」時期になるのですが・・・。 さて、出会いと別れ、新たなスタートの季節ということもあり、昨年・昨年度の音楽試聴生活を踏まえた上で、自分にとっての最強アーティスト・重要アーティストについて一度整理し直してみようと思います。 本論の前にこちら をご覧いただけると幸いです。今回、カテゴリーや選出アーティスト両面共にだいぶ変えますので・・・。 やはりここ一年間、それなりに音楽と向かい合ってきたのと、当ブログに訪れてくださる皆々様から多くのアーティストや作品を紹介いただけたことが大きいでしょう。実に濃密な音楽鑑賞生活をしているものだと自分でも思います。 というわけで、整理の結果をお伝えします。 なお、カテゴリー分けにおいて、同一アーティストが複数箇所に出てきますが、管理人の思うがままの選出でありますのでご了承ください。決して「どっちかに入れろよ!!」などというツッコミはなさらぬようお願いします(泣 それと、せっかく再構築・再選出しておいて何ですが、早くも将来的にどうなるのか、後の候補になりそうなアーティスト・降格しそうなアーティストは、といった点に関しても併記します。 尚、今回は出来るだけ引退者を除外し、「現役アーティスト」にこだわった選出にしました。どれもがバツ丸強力推薦アーティストばかりなので、機会がありましたら是非ともお聴きいただけたらと思います。
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●3大アーティスト ☆ガーネットクロウ 小松未歩 Fayray ガーネットクロウ、小松未歩、Fayrayの3アーティスト。かつての「2大アーティスト」から変更。 現時点において「実力と好みの両面」に関し最も高く評価しているアーティストであり、最重要アーティスト。今回Fayrayはめでたく昇格となった。 ただ、最近小松未歩に対する気持ちが少しずつではあるが揺らいでいる。彼女の8thアルバムの出来如何においては、「ガーネットクロウ・Fayray」の2大アーティストとなる可能性がある。もっと言ってしまえば、もし今年に発表されるであろうガーネットクロウのアルバムが良くなければ、カテゴリー解体かFayray一極、ないしはCOCCOとあわせて「最強ソロアーティスト」にまとめるかもしれない。●2大巨匠 ☆菅野よう子 新居昭乃 カテゴリー継続。この両名に関しては変わりなし。しかし、菅野に関しては「攻殻機動隊」のサントラ第3弾での不出来さが今でもかなり気になっている。次のアルバムがダメであれば、彼女に代え梶浦由記を「新巨匠」として迎えると思う。●最強ソロアーティスト候補 ☆COCCO 「一番」だと思っているソロアーティスト。これは変わりなし。まあ再活動したCOCCOがげんなりさせるようなアルバムを出しても、彼女の過去の功績は余りに大きく・凄すぎるので恐らく変わらないだろう。 現時点で彼女に肉薄できそうな存在はFayray、宇多田ヒカル、OLIVIA、熊木杏里、亜矢。育児休暇から復帰すれば鈴里真帆も。●最強グループアーティスト ☆FEEL SO BAD、Mr.Sirius ZELDAが陥落。実力は凄いのだが、好きになれない部分もあったので。代わりに入ったのが、今年に入ってから存在を知った往年の名シンフォニックプログレグループであるMr.Sirius。FSBは変わらず。やはりこのグループの実力・存在感は何者にも変えがたい。 これに準ずるのがPAMELAH。 現時点でこれらに次ぐグループは、HEAD PHONES PRESIDENT、大鴉、m.o.v.e、See-Saw。●4大美声系 ☆柴田淳 熊木杏里 竹井詩織里 大竹佑季 「楽曲」が優れている上で「声質の魅力・歌唱の魅力」に秀でているボーカリスト。 「3大アーティスト」に昇格したFayrayが抜け、代わりに今年に出たアルバムで結果を出した大竹佑季が昇格。但し、美声に拘る管理人の性格上、ある意味最も変動が激しいカテゴリーだと言える。 現時点で、この4者とそれほど変わらない位置につけていているのはmelody.、Viki、植村花菜、下川みくに、坂本真綾。●ハードロック・メタル四天王 ☆HEAD PHONES PRESIDENT 亜矢 OLIVIA 上木彩矢 最近急速にメタル・ハードロック熱が高まっていることもあり新たに創設。攻撃的であり、エナジーに溢れ、優れた資質に秀でている彼女らは「最強アーティスト」にかなり近い存在。これからの活動が楽しみ。ただ、メジャーデビューシングル曲が良くなかった上木に関しては、今年に出るであろうアルバム次第では一気に降格する可能性が高い。 現時点でこの4者に次ぐ存在は星田紫帆、大鴉、Miz、Yui、中ノ森BAND。●4大前衛系 ☆鈴里真帆 志方あきこ 笹川美和 大竹佑季 カテゴリーは以前より継続。但し、「ハードロック・メタル四天王」のカテゴリーを設けたこともあり、ここではハード系アーティストをはずし、非ハード系プログレや民族音楽系統中心に前衛的で優れた楽曲・歌唱を聴かせてくれるアーティストを選出する。 この4者に次ぐ現時点での存在は、柴咲コウ、安藤裕子、Salyuかと・・・。 以上の様な区分け・選出となりましたが如何でしたでしょうか?
2006/03/23 23:21|バツ丸の戯言 |トラックバック:0 |コメント:8 |▲
最近はCDレビューばっかりだったので、息抜きに読書評を。気楽に読んでやってくださいな。
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●渡部絵美 「愛するスケートに何が起こったのか?―女子フィギュア・トリノ選考の真実」 サンクチュアリ出版 「元オリンピック代表・渡部絵美が女子フィギュアのすべてを綴った!」 との帯タタキにだまされ&フィギュア好き&週刊誌での彼女の発言に賛同するところがあったので、ということもあり、速攻購入した作品なのだが・・・。
率直に言って期待はずれもいいところだった。
確かに代表選考に関する話は書いてあるし、代表選考のよりどころとなっている「ポイント制」や、浅田真央絡みで噴出した年齢制限への疑問、各選手のすべりに対する評価といったこと中心に、競技経験者だからこそ持ちえるであろう鋭い意見はあった。また、日本のみならず世界でも今までに多々あった「不透明な代表選考」の話も面白くはあった。が、総論的には渡部の「フィギュア好きとしての感想文」、「女子フィギュアの歴史を振り返る」的感が否めない。「週刊ポスト」や「週刊現代」といったイエロージャーナリズムあたりで展開した「会長や安藤、代表選考」に対する容赦ない意見に期待していた私のようなものにとっては、余りにがっかりな内容だ。
唯一気を吐いたのが、「安藤選手に対する協会の様々な干渉が彼女をだめにした」的ことを書いた3章。だが、この章において、フィギュア好きなら誰でも知っているであろうスケート連盟の城田会長のことをずっと「S氏」と書いていたのには甚だ理解しかねる。「女子フィギュア・トリノ選考の真実」と銘打っているにも関わらず、結局この様とは・・・。本を出したことそのものに対する不信感がぬぐえない。フィギュアに対する愛や協会への不信があるのなら、もっと徹底的にやれや!!
●生島淳 「スポーツルールはなぜ不公平か」 新潮社 上記渡部の本と同様、書名や帯タタキに惹かれ読んだのであるが・・・。こっちも期待はずれの感が否めなかった。
「明らかにニッポンを標的としたルール変更という名のイジメ。国際スポーツの舞台で繰り返される誤審」 との帯タタキから、日韓ワールドカップにおける世紀の誤審・反則問題や柔道のルール変更を始め、歴史的名誤審や、ルール変更の温床となっているナショナリズムや国家同士の利害、テレビやスポンサーといった点について鋭く分析しているかと思いきや・・・。
結局はサッカー・ラグビー・バスケをいったメジャースポーツの「ルール変更史」の紹介ばかりでこれまたがっかりであった。
個人的には、特に日本人選手にとって大きな影響があるであろう韓国・中国との国際試合における問題や、白人からの差別による不当なルール変更といったことをもっと鋭く追及していただきたかったのだが・・・。
この著者は、トリノ五輪時におけるヤフーコラムを見るに、スポーツに対する知識が豊富で、かなり鋭い意見の持ち主でもあるので、今回のトリノ五輪の様々な問題を含め、誤審やルール変更に関することを主題とした著書を出していただきたい。
●岡嶋二人 「99%の誘拐」 講談社 5点/50点満点
二人一組で制作活動をしていた岡嶋二人の代表作。いわゆる「誘拐」ミステリーである。ミステリーファンからの評判はかなり良いようだが、率直に言って個人的には「ゴミ」とは言わないまでも、「限りなくそれに近い、てんで面白くない」ミステリーであった。
1988年の刊行作品としては考えられないほど、当時の最先端のコンピュータ技術を大胆に盛り込んだ物語設定や、ユニークな身代金の受け渡し方法などは面白い。だが、物語本編が始まるまでがやたら無駄に長い。それでいてこのことが物語の核心や話のオチに重要な影響を与えているわけではなく・・・。
さらに、中盤までで事件の犯人も動機も、さらには事件のかなりの核心部分までもがあっさりと分かってしまい、謎解きの醍醐味は一切なし。しかも、犯人とそれを追う警察との実力差が余りにありすぎて、読者と共に事件を追っていく警察に「事件を解決できそうな感」が全くなく、緊張感に欠けまくっているのも最悪だ。何でミステリー小説の警察ってアホばかりなんだろう。
おまけに途中で分かり、且つ最後に補足説明される「犯行動機」に関しても、読んで納得・共感するどころか「いったいお前は何をしたかったのだ」と???状態で、復讐目的という動機の下、誘拐という重大な犯罪を犯した犯人やもう一人大きな罪を犯した今作の鍵となる人物にとっても、何ともご都合主義的な幕引きとなる始末。いったい著者は作品を通して読者に何を伝えたかったのだろうか。今作の主題とはいったい何だろうか・・・。
東野圭吾や真保裕一といった名手の作品を読んでいるせいか、ミステリー作品に対しかなり厳しい見方をしていると自分でも思うのだが、その点を差し引いても、何とつまらないミステリーが世の中に多いことか。
2006/03/23 00:10|読書評 |トラックバック:1 |コメント:0 |▲
●HEAD PHONES PRESIDENT 「vacancy」 91点 ジャンル:オルタナティブ ミクスチャー モダンへヴィネス プログレッシブメタル プログレッシブロック 民族音楽 (2005/11/23) 1.vacancy2.inside 3.snares 4.Just Like? 5.PALAM Ya-Da 6.Groan and Smile 7.outside <問題点・注意点> 1・5曲目の存在意義がよく分からない 2・全曲英詞 3・前衛的でゴリゴリサウンドでダーク且つヘヴィーな音楽性なので要注意
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世界的に見ても最高レベルの「女性ボーカルミクスチュー系・へヴィーミュージック系グループ」がこの日本から出てくるとは・・・。
自分にとっての最強アーティスト論を考える上でまた一つ重要となるグループが登場した。その名は「HEAD PHONES PRESIDENT」(略称HPP)。今作はその彼らの2ndミニアルバムである。
まず、恐らくこのグループをご存じない方が多いと思われるので簡単に紹介しておこう。
デビューは2000年。メンバーはMAR(G)、HIRO(G)、ANZA(Vo)、NARUMI(Ba)の4人。メンバーにドラマーがいないのは、この手のアーティストグループにおいて非常に珍しいと言える。
ボーカルのANZAこと大山アンザは、かの「桜っ子クラブさくら組」のメンバー。後にミュージカル「セーラームーン」の「月野うさぎ」役、最近ではあの有名な「レ・ミゼラブル」の「エボニーヌ」役を担当するなど大活躍中の舞台俳優である。
その彼女がフロントマンとなって率い、奏でたのは、ミュージカルが持つであろう華やかさや優雅さといったイメージや、アイドルとしての活動暦とはあまりに隔たりのある音楽であった・・・。
ジャンルとしてはミスチャーやエクストリームミュージックになるのであろうか?
それはともかく、こういう系統の音楽には珍しく、コンセプトアルバムの形式をとっている。主題は恐らく、アルバムタイトルになっている「VACANCY」(=「無為」「からっぽ」「虚脱」「うつろ」)な状態での内面との対峙(ないしは、内面との対峙を経た結果としての「VACANCY」)か・・・。
インストであり表題曲である1曲目において、日常の喧騒や日々の生活に疲れた主人公がキレ、心のうちに引きこもる瞬間が描かれる。そして2曲目「Inside」から完全に内面に入り、それ以降の各々曲で様々な心的葛藤を経た後、最終曲「Outside」において、内面と現実とがあいまい且つ渾然一体と描かれながら、恐らく現実へと引き戻されていく、という流れになっていると考えられる。
様々な心的葛藤や精神状態を描いていることもあり音楽性は全く落ち着きがない。激烈で重厚なモダンへヴィネスサウンドが主軸なれど、時にクラシック音楽やオペラ、民族音楽といった音楽の旋律が突如盛り込まれ、美しさや深遠さ、壮大さを見せ付けたかと思えば、一方で脈絡もなく曲が速くなったり遅くなったり、それどころか音がなくなったりと、かなり前衛的で変則的な展開を見せる。
このような複雑且つ深遠な主題の表現や様々な音楽の融合を破綻なく提示したメンバーの作編曲力・演奏力・表現力・知力・想像力にはただただ驚愕と尊敬の他ない。
屈強且つ重厚で体の芯にまで響いてくるドラムとベース。空間をきりさくかのような鋭く歪んだギター。あまりにもの悲しく、美しく、スケールの大きいバイオリンの旋律とコーラス・・・。どれもが見事。
そのすべてが、人間の内面に存在するであろうあまたの感情を見事に表現している。そして、それは、凄まじい才能を有した怪物ボーカリストANZAにより、比類なきレベルにまで引き上げられ、完成を見る。
ミュージカル経験により培われたであろうしっかりとした基礎に裏打ちされた抜群の歌唱技術が、形容しがたいほどの美と情念・狂気・怒り・哀しみを演出する。それは歌唱云々を超え、彼女の一人舞台と言ってもいいだろう。歌を歌っているのではなく歌で演じているのである。
激情を表現しているであろうディストーションシャウトのところで、やはり女性であるが故の少しの弱さ・甘さを見せるが、ノーマル歌唱に関しては完璧と言っても良いほどにお見事。前衛的なトラッド風大曲の6曲目や、形容不能の大作プログレ・プロメタバラードである最終7曲目での歌唱は目頭が熱くなってくるぐらいに美しく、悲壮である。しかし、技量以上に圧巻なのはそのエナジー、カリスマ性、迫力であろう。何かが憑依したかのようにただひたすら激情・情念を吐き出していく様は、まさに狂気。時に聴くのが辛くなってくるぐらいにすさまじいが、同時にそれを聴かずにはいられない中毒性をも秘めている。天才COCCOや椎名林檎・鬼束ちひろ・OLIVIAらに匹敵し、且つ同じ領域で語られるべき歌い手であると言っても過言ではないだろう。まさに「美と慟哭と破壊を支配する女神」。
今作の唯一の問題はただひたすら緩い民族音楽調の5曲目の存在。4曲目と6曲目のつなぎ的役割を果たす半インストのようなものなのだろうが、良く理解できなかった。この曲がないか、代わりに普通の曲が1曲入っていたら「名盤行き」は確実であった・・・。
それと、これは個人的な要望なのだが、今後は今作のような「比較的遅めの曲」だけでなく、絶頂期のメタリカや「ラストインピース」あたりのメガデスのような「知的さと殺傷能力に満ち満ちたスラッシュメタル」的楽曲もやってほしいと思う。
音楽性や歌唱がかなり極まっているので万人にお勧めできはしないが、美と慟哭と破壊がもたらす至高の音世界に身も心も支配されたいのであれば、是非とも聴いて頂きたい一品。COCCOやOLIVAのファンの人には特に。何者にも得がたい感動が今作にはある。
・アーティスト評価 歌唱力 9 () 作曲 10 () 編曲 10 () 独創性 10 () 安定性 9 () 格 10 () 総合 10 () 熱中度 10 ()
<追記> それにしても、このグループ、女性ボーカル・ツーバス・ツインギター&7弦ギター・ミクスチャー系音楽と、どっかしらのグループと実にそっくりである。が、その実力その音楽の出来に関しては、はっきり言って比べることが余りに気の毒なくらいに差がありすぎる。
しかし、くしくもこの両グループは「ほぼ同時期にアメリカデビュー」することになった。片や地道な努力の積み重ねと卓越した実力で。片や組織力で・・・。何だかとてつもなく虚しくなってくるのを抑えることが出来ない。
ま、それはともかく、このグループには「日本にアメリカのアーティスト以上の、本物のヘヴィーミュージックアーティストがいること」を思う存分アメリカ人に見せ付けていただきたい。
2006/03/20 23:07|アルバムレビュー |トラックバック:0 |コメント:2 |▲
●高橋瞳 「sympathy」 64点 ジャンル:ハードロック ハードポップ ラウドロック (2006/03/01) 1. Get the future 2. 青空のナミダ 3. 孤独な群衆 4. コトノハ 5. evergreen 6. Beatin' 7. メロディ 8. 約束 9. もうひとつの夜明け 10. SKULL 11. 僕たちの行方 12. 16 <問題点> 1・ツギハギ的楽曲の存在があり完成度にムラがある 2・ポップにしたいのかハードにしたいのかの方向性が不明確で中途半端 3・2の理由により全体的に印象が薄い 4・キラーソングの不在 5・声量は豊かだが歌唱に気迫や感情表現が足りない 6・編曲が薄目
▽続きを読む▽
昨年より少しずつ顕在化してきた「ハード系ミュージックブーム」の担い手として、ソニーが強力な支援をし続けてきた高橋瞳の1stアルバム。
しかし、ソニーからのごり押しや、彼女がやっているハードロック・ハードポップに対する個人的な関心の高さに反し、彼女に対する評価はデビュー以来
「歌い手としての資質はある。が、曲はさっぱり」 であり続けた。
というわけで、初のアルバムである今作にもさして期待してはいなかったが・・・。結論としては、このようないい加減な思いを払拭するどころか、彼女に対する更なる低評価をもたらしてしまったと言える。
まず、楽曲のレベルが全体的に低い。シングルである11曲目のように、とってつけたような無理な構成が耳障りな曲か、6・10曲目のように単に勢いで押しただけの質が低い歌メロ&方向性が見えてこない安直なパンク路線の曲か、それ以外の「悪くはないけど印象もない」といった曲が今作の大勢を占めている。逆に言えば、2・4・8曲目といった「哀愁」を感じるメロディアスハードロックやハードロックバラードといった曲以外はほぼ全滅の出来。全くといっていいほど印象に残らない。
しかし、楽曲の問題を生み出したのは単純に作曲面や薄目で迫力に欠ける編曲だけでなく、高橋の歌唱によるところも大きいということが今作を聴いてよく分かった・・・。シングルだけでは見えてこなかったハードロックボーカリストとしての大きな欠点である・・・。
年齢や小柄な体型にそぐわない豊かな声量や伸びやかな歌唱は、確かに素晴らしい。が、全体的に大人しく且つ平坦なので聴きやすい反面、ハードロック系ボーカリストにおいて極めて重要である「気迫」「情念」「切れ味」「感情表現」を殆ど感じ取ることが出来ない。これは、資質云々よりも、彼女の出自や人生経験によるところが大きいだろう。こういった音楽は得てして社会や対人関係に対する不満や、怒り・悲しみ・葛藤といった感情を糧とし、歌唱のエネルギーへと転化させていくからである。COCCOしかり、相川七瀬しかり、上木彩矢しかり・・・。そうでなければ、久嶋美さちやasのように、曲と一定の距離を置いたあくまで曲の世界観や作中人物の感情を示す「語り部」に徹し、制御された感情表現をして曲にじわじわと感情を込めていくかである・・・。どちらにしても歌唱に関し、優れた感情表現力や様々な物事に対する思想、人生哲学などが問われるわけだが、15歳の彼女にそれを求めるのはまだ無理だろう。だが、優れた感情表現のないハードロックは気の抜けた炭酸と同じようなもので意味がない。
これは勝手な推測に過ぎないが、情念の放出や卓越した感情制御が出来るほどに、彼女は今までの人生において苦労や不満を感じたことはないのだろうと思う。
一部の曲こそは、彼女の声質の良さや楽曲の良さに助けられ聴くことが出来たが、全体的に何とも聴き応えがなく中途半端な印象しか感じないのは、上記示してきた様々な問題が互いに密接に絡みあい、足を引っ張っているからである。まさに悪循環の地獄絵図。
この悪循環を断ち切るには、技術以上に彼女の歌に対する意識を改革をするか、哀愁ハードロック曲を中心に、歌唱云々を問題にしないような圧倒的な完成度を誇る曲を彼女に与えるかしかないだろう。どちらにしても楽ではないし、時間もかなりかかる。それまで彼女がシーンで生き続けて行けるかであるが・・・。
・アーティスト評価 歌唱力 6 () 作曲 -- () 編曲 6 () 独創性 7 () 安定性 6 () 格 6 () 総合 6 () 熱中度 5 ()
2006/03/19 22:03|アルバムレビュー |トラックバック:0 |コメント:0 |▲
今回で最終。トリを飾るのは、コロムビア所属の竹仲絵里。コロムビアとBeingとが少なからず関係がある、ということで今回のツーマンライブが実現したのだと思う。 竹井終了から準備のため15分くらい経った後、竹仲入場。 ビジュアルに対する率直な感想は「美人」の一言に尽きる。細身、色白、整った顔立ち・・・。典型的な美人である。 それにしても細すぎ。長身なのにあまりに細すぎて抱えてているアコースティックギターがやけに大きく見えるのに思わず苦笑してしまった・・・。
▽続きを読む▽
●竹仲絵里編 1・不明 失恋とその痛手から少しずつ立ち直っていく様を歌ったアコースティックバラード曲。もの悲しさを見せる前半と、アコースティックロック然とした後半との対比が見事。 1曲目ではあったが、竹仲の歌唱はとても良かった。技巧的な上手さはそれほどないが、さすが単身ギターを抱え全国行脚しているだけはあり、相当ライブ慣れしているのが早理解できた。2・不明 牧歌的なアコースティックバラード曲。聴いてとてつもなく心地よくなれる。それは、彼女の歌唱や曲調だけでなく、歌っている時の表情の良さもあるからだろう。見ていて本当に楽しそうに歌を歌っており、「歌が本当に好きなんだな~」とこちらにひしひしと伝わってくる。 それにしても最新シングルの「サヨナラ サヨナラ」といい「garbera」といい、彼女の曲はとにかく長い。叙情的な要素や浮遊感あるギターの挿入も相まって、一歩間違えば「フォークプログレ」「叙情派プログレ」になってしまいそうな様相を見せている。彼女のフェイバリットアーティストを見ると、そのような気配は微塵もないのだが・・・。・MC バンド演奏で比較的ノレる曲をやったこともあり、いつもよりも「疲れている」との発言が・・・。おいおい、大丈夫か? しかし、話をしているときの上品で落ち着いた雰囲気は文句なしに素敵である。3・不明 爽快なロック曲。バンドの演奏も非常に素晴らしく、会場からも自然に手拍子が沸き起こる。特別な何かをしているわけではないが、観客を盛り上げるのが上手い。4・garbera 「サヨナラ サヨナラ」のカップリング曲で、宮崎あおい様主演映画「ギミーヘブン」の主題歌でもある。ダークな内容のこの映画にふさわしい大作慟哭バラード。タイトな演奏に乗る「悲壮」としか言いようがない竹仲の歌唱が聴き手を圧倒していく。技術ではなく、歌に込めた気持ちがそうさせるのであろう。5・不明 前曲に引き続き壮大なバラード曲。6・サヨナラサヨナラ 竹仲に躍進をもたらしたコブクロプロデュースのシングル表題曲。恐らく竹仲のアーティスト人生を代表するバラード大曲であろう。 CDと遜色ないぐらいにしっとりと、且つ力強く歌い上げていく歌唱は、秀逸なメロディーと見事にマッチし、更なる魅力を発揮する。特に切なさが炸裂しているBメロ部分は絶品。竹仲の演奏を堅実に守り立てるバックの演奏も秀逸。今まで演奏された曲も良かったが、この曲だけは別格の雰囲気を出していた。・アンコール 演奏後すぐ退出したが、自然と会場から手拍子が沸き起こる。本日のライブに対する満足感を率直に示していると言えるだろう。それに答え、竹仲が再登場。しかし、バンドメンバーは抜きで彼女一人だけであった。通常は単身で回っていることから、これが本来の姿ではあるのだが・・・。1・ありがとう 弾き語り形式で歌われたが、バンド編成のときと全く遜色ない魅力を見せ付ける。Bメロ部分「ねぇ~」から発せられる哀愁が凄まじい。この人の曲はサビよりもBメロで聴かせる曲が多いようだ。 別れの寂しさと、幸せだったときに対する感謝の気持ちとが見事に曲に現れている。「サヨナラ サヨナラ」と並び彼女の経歴を代表する名曲であろう。<総評> ライブを見るまでは、彼女のライブでの演奏力に疑問があったのだが、そんな疑問を吹き飛ばす好演であった。技術的な上手さや安定感よりも、とにかく歌に対する気持ちが乗った歌唱と歌うときの表情が素晴らしい。何かをしているわけではないが、自然と会場を和ませ、盛り上げる上手さは、天性の資質と数多くの単身ライブがもたらしたものであろう。これぞプロと言うべきものであった。<総・総評> 竹井・竹仲両名とも、それぞれの持つ魅力と実力とを如何なく発揮してくれた見事なライブであった。この両名の上手さ・魅力は、元々持ち合わせている資質のみならず、デビュー時からいろんなところでライブやセッションを行うなど、地道な修練を重ねてきたことがもたらしたものであろう。ポッと出のアーティストや事務所のごり押しで出て来たに過ぎないアーティストにはない強さ・上手さがあった。これぞ「アーティスト」と言うべきものであろう。好き嫌いを超え「一アーティスト」としての尊敬に値する。 恐らく、竹井目当てに来たファンも、竹仲目当てに来たファンも、両名の演奏と楽曲とに満足したことだろう。このライブをきっかけに、少しでも両名が躍進してくれることを願ってならない。はっきり言ってこのレベルのライブハウスでライブをやらせるには、二人の実力・魅力は余りに優れすぎている。 ただ唯一不満だったのは、両名のセッションがなかったこと。せっかくのツーマンライブであるので、出来れば一緒に何曲か歌っていただきたかった。アンコールの際にやってくれると思っていたのだが・・・。 出来れば次回は音響や鑑賞環境に優れた中小規模ホールで且つ単独ライブで各々の演奏を見たい。 竹仲さんの経歴を代表する名曲ですね。 こちらはミニアルバム。まずまずの作品です。
2006/03/19 17:42|ライブ・イベントレポート |トラックバック:0 |コメント:2 |▲
前座終了。次が竹仲・竹井両名のどちらが次に来るか興味深々であったが、前の方にいた人から竹井であることを聞かされる。どうやら舞台のどこかしらに「進行シート」なるものが貼ってあったらしい。 出来れば最後の方が良かったのだが贅沢も言ってられない。 15分くらいセッティングやら配線変えやらで手間取ったがようやく竹井が登場。髪の毛は肩より少し上のところでばっさりと切りそろえられ、色は茶髪になっていて驚いた。右上のところにつけられた髪飾りが何とも妙なかわいさを出していた・・・。服装もいつものパンライブやインストアイベントの時と比べ格段におしゃれ。ケチのつけようもないほどに美しい。 バックメンバーはギター綿貫・キーボード大楠・ドラム亀井という構成。パンライブのとき以上にシンプルであった。
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●竹井詩織里編 1・夕凪 メンバーによってイントロが奏でられる。う~む、いったい何の曲だったか思い出せない。同伴していたK氏に尋ねたら「夕凪では」と返事が返ってきてびっくりした・・・。ライブで全く聴いていなかったものだからすっかり曲の存在が記憶から欠落していたようだ。 1曲目からこの曲をやるとはうれしさ極まりない予想外のこと。このライブに対する、今までのライブとは違う意気込みを感じた。そして、その感じは間違いではなかった・・・。 少し歌唱は固かったが、流石は竹井。Dメロ部分での伸びやかで極上のファルセットは本日における彼女の歌唱の調子の良さを示していた。2・Reflection 楽器編成がシンプルでパーカッションによる入りがなかったことから、1曲目と同様最初は何の曲かわからなかった。 曲の流れも全体の構成もかなり変則的で、ヴォッサ的な編曲でよりムーディーさが全面に押し出されていたのは、ライブならではの醍醐味であろう。 コーラスやパーカッションがなく、サウンド面での物足りなさはあったがそれを補って余りある、より深みを増したBメロ部分での低音歌唱が圧倒的。悩ましく歌い上げる竹井の表情もとても美しい。3・君を知らない街へ もうここまで来ると竹井の歌唱も俄然調子に乗ってくる。以前より定評のあった強弱・緩急といった表情付けにさらに磨きがかかり、特に美声を駆使した高音部分での力の抜けた歌唱が凄すぎた。タイトな演奏も曲に締まりを与えていたように思う。 曲は歌メロをはじめ凡であるが、尚進化を遂げている竹井の歌唱によりもはや良曲と呼べるまでに完成度が上がっている。このような荒業が出来るのは、恐らくGIZAでもこの竹井ぐらいなものだろう。曲を聴いていて少し恐ろしさすら感じてしまったぐらいだ・・・。・MC 今回は非ビーイングアーティストと同じ場を共有するライブということで、通常と違い自己紹介が行われる。バリバリの関西弁でしゃべっているのに「関西人」と紹介したところで観客一同爆笑!! しかもデビュー年を2006年と間違える始末。笑える。 おまけに竹井・竹仲のツーマンライブということで、「今日は竹井・竹仲さんの竹竹コンビ で」とオヤジギャグが炸裂。歌唱のみならずMCも出だしから絶好調であった。4・蜜月 爆笑のMCによるざわつき感のある中、しっとりと綿貫が旋律を奏でていく・・・。何だこの聞き覚えのある旋律は? ま、まさか「蜜月」 か!! キター!! この曲であることを確信した瞬間、思わずガッツポーズをしてしまった。よもやこの曲が披露されるとは・・・。名古屋のインストアイベントの時に「蜜月やってください」との私の願いをかなえてくれたのだろうか。いや、そうであると信じたい(笑)。 10代の時に歌われたCD音源とは違い、こちらは一味も二味も違うアダルトな魅力に満ち溢れていた。観客も彼女の美声に聴き惚れ、静寂と「蜜月」の如きはかなさ・夢のような心地よさが会場の空気を支配する。彼女の美声の魅力が最も活かされた必殺・激殺フレーズであり、この曲の一番の聴かせどころであろう「自由を追いかけてたどりついた果ては孤独 それでもゆめみる...?」 部分での歌唱に思わず涙が出てきそうになった。やはりこの曲は竹井の楽曲の中でも最高最強であり、自分の人生にとっても未来永劫その輝きを落とすことがない至高の曲であることを改めて感じさせられた。 体調は最悪であったが、この曲を聴けて一気に元気が出てきた。わざわざ名古屋から足を運んだ甲斐があったというものである。「わが悲願成就せり!!」 5・世界止めて 竹井の曲の中ではとりたたてのものではないが、コナンタイアップの関係&一番売れたシングルであることからライブで定番となっているこの曲。音程の上げ下げが激しいことから、竹井の歌唱の調子を測る最適な曲になっていると言えるだろう。で、今回であるが、全く問題がなかった。力強く伸びやかな歌唱が冴えに冴え渡る。相変わらず凡曲を良曲へと進化させられる歌唱には圧倒されるだけ。・MC いきなりここで新曲を披露することが告げられる。会場からは歓声が。だが、タイトルすら決まっていない、詞も変わるかも的な発言がされると、一気に笑いの雰囲気に会場が変わったのはいかにも竹井らしい。今年も遠慮なしの全快活動ぶりを見せてはいるが、彼女にとどまる気は全くないようだ。6・新曲 (タイトル未定) 今までのシングル表題曲にはないアップテンポな曲。ジャンル区分が難しいが、そんなこと関係なく畳み掛けるようなサビの流れが面白く印象的。厳しいファンでも納得のいく完成度だと思う。ノリの良さもあり、自然と会場から手拍子が沸き起こる。いつの販売か、どころか本当に発売されるかどうかも怪しいが、最近は同じ調子の平凡なバラード曲ばっかりだったので、出来ればこのような曲も出して欲しいのだが・・・。7・新曲 (タイトル未定) こちらは初期の頃を髣髴させるアコースティックを基調としたちょいブルース風味もあるバラード曲。のどやかで優雅な雰囲気に満ちているが、メロディーや演奏以上に、竹井の声がそう感じさせるのであろう。こちらも水準以上の良曲。・MC 今まで発表してきた作品についての話がされる。そこで、毎年発表するカバーアルバムの影響で「老けて見られることが多い」という衝撃ならぬ笑撃発言が・・・。「どの辺りが老けているのか、どうやったら若く見えるのかを ライブ後のアンケートで建設的な意見をお願いします♪」 ルックスは確かに大人びているが、それは負の面ではなく賞賛されるべきことであろう。この美貌でこんなこと言うのは、世の中同様のことで悩んでいる人に対し喧嘩売っているとしか思えんぞ・・・。 まずは、体育会系的キャラやオヤジ的発言の多さ、肉食といった点を改めた方が良いような気も・・・。何はともあれ、何とも贅沢な悩みではある。8・グルービン~9・Time after Time インストアイベントでもパンライブでも何度か披露された曲であるが、今回出来が一番良かったように思う。終盤に来て歌唱が衰えるどころかますます調子が乗ってきた。・MC またまた衝撃且つ笑撃MCが・・・。ヨーコちゃんというお友達とカフェでお茶していたときのこと。幸せそうな待ち合わせ劇を見せたカップルに二人はうらやましくなったようだ。そこでヨーコちゃんが「今度カフェで私と待ち合わせをしない?」と彼女に提案する。「女同士で待ち合わせをして、何が嬉しいっちゅうねん!!!」と、そのときのことを思い出し怒りを再発させる竹井(?)。 怒りで感情の制御が効かなくなったのか、「やっぱり、私も早くいい人を見つけたいなぁ~」 との衝撃発言がされる・・・。 いや、待ち合わせのシチュエーションを体験したければ私めがいつでもお付き合いしますが・・・。いや、マジで。めくるめくる「蜜月」~もちろん「束の間」ではない~の世界をご一緒しましょうよ・・・。 上記MCから強引に竹井初期の曲であり代表曲であるシングル2作品の披露へとつなげる。こういうところが、「老け(以下略)・・・」。10・静かなるメロディー 記念すべき竹井のデビューシングル。個人的にこの曲を生で聴くのは恐らく初めてだと思うのだが・・・。 ここでも圧倒的な美声っぷりを披露。もうそれは「無敵」としか言いようがないだろう。11・君に恋してる もうここまで来ると彼女の歌唱を形容する言葉がない。ただただ「最高」「美しい」とありきたりの言葉を並べ立てるだけ。原曲よりややノリが良かった編曲は終盤の盛り上がりを構築したように思う。歌唱の見事さっぷりに会場に足を運んだ多くの人が「しおりんに恋している~」と改めて思ったことだろう。・MC~12・桜色 出会いと別れの季節である今。新しい人生や別れを経験する人に対しポンっと背中を押してあげられたら、ということで製作したこの曲。レビューの時には何だかんだと文句を言ったが、やはりいい曲だ。音域や曲の部分部分関係なく縦横無尽に炸裂する見事な歌唱・美声にただただ聴き惚れるだけ。 最後は颯爽と挨拶を済ませ退出。倉庫というか、控え室らしきところでメンバーと賑やかにしゃべっているのが見えたが、いったい何を話していたのだろうか。とても気になる・・・。<総評> 会場の設備が必ずしも良くなかったし、歌唱に関しても以前のパン工場の方が調子が少し良かったようにも思う。が、1stアルバムからの選曲が多く、しかも「蜜月」「夕凪」「君に恋してる」といった、ずっと披露されてこなかった名曲らが披露されたこともあり、選曲に関しては文句なしに最高。ライブにおいても歌唱以上に楽曲を重視する私にとって、今回のライブは竹井のベストライブである。今まで選曲に対して抱いていた不満が一気に解消されたとすら言える。 今回のライブに参加できなかった竹井ファンの方に「申し訳ない」と思いつつ、「ガーネットクロウのライブの抽選に立て続けに漏れたのだから、たまにはこういう幸せがあっても・・・」というのが私の本音(笑 歌唱の出来がどうこう以前に、今回の曲目を見ると、如何に「退屈な大野曲や徳永曲の披露が間違っているか」が良く分かる。こういった曲では竹井の歌唱の凄さを示せても、アーティストとしての魅力・本質を全く伝えられてはいないことを今回のライブで確信した。 もう一つ。これは何度となく言っているが、竹井がこういうちんけなライブハウスでちまちまやるアーティストではないということ。音響面でも、ライブを見る人にとっても優れている中規模ホールで是非ともやっていただきたい。そして、一人でも多く彼女の素晴らしい歌唱を聴いたいただきたいと、さらにその機会をGIZAが何が何でも作って欲しいと願わずにはいられない。 竹仲編に続く。
2006/03/18 22:17|ライブ・イベントレポート |トラックバック:1 |コメント:9 |▲
17日、忙しい仕事をほっぽりだし、最悪の体調をおして竹井&竹仲の「竹竹コンビ」のツーマンライブ行ってまいりました。例によって例のごとく複数回に分けて感想を書いていきます。今回はライブ前の様子と前座を担当した田野崎文さん編。
▽続きを読む▽
4時半にパン工場到着。今回ご一緒するK氏と、わざわざ我々に合うためだけにパン工場にいらっしゃったS氏と歓談。短い時間だったがとても有意義な話ができた。できれば次回はお互い仕事がない日で時間を気にせずにお話できたらと心底思う。
5時になり今回の会場となるKnava到着。注意して探さないと思わず見逃してしまいそうな目立たなさ。同伴者がいてよかったよ。
ところで、今回のライブ。チケット予約が名前と電話番号だけで完結したのでいったいどのようにチケットの受け渡しと鑑賞場所の決定をするのか疑問だったのだが、当初予想した最悪の形式である
「早いもの勝ち」 なのにはがっかりした・・・。だったら最初からそう案内しておけよ!!
6時から会場入場開始。チケット代と強制的に買わされる飲み物代の徴収を別々にするもんだから人の進みが悪い。何で一緒に徴収しないのだろうか。そうすれば料金3000円となり、小銭のつり銭を用意する必要もないし、客の方も支払いしやすいのに・・・。とは言え、たかだか200人程度の入場者なので思ったよりも早く全員が入り終えた。時間にしてわずか10分ほど。ライブ開始は7時。その間ずっと立ちっぱなし。体調が悪いこともあり、早くも疲れてきて気分が悪くなってしまった・・・。
この規模で1時間も前に入場させるなんていったいどういう了見だ?
どう考えても20分前からで十分。同じぐらいの広さであるパン工場だって30分前からの入場なのに・・・。かなり腹が立ってしまった。しっかりしろよ!!おい!!
何とか堪えに堪えて辛抱強く待ち続ける。7時ちょうどになるや否や、いきなり照明が暗くなり会場左端に置かれたピアノにライトが集約される。何のご挨拶もなしに前座の人の演奏が開始された・・・。
●田野崎文 前座の人の名は田野崎文。徳間ジャパン所属で昨年10月にデビューした新人アーティストとのこと。
情報はこちら 北海道出身で今年23歳となる若手である。
露出度の高いドレスをまとっていたが、北海道出身らしく色白でスレンダーな美人。なかなかの好印象。
後に竹井・竹仲が控えているので、ここはざっと簡潔に感想を書いていく。
<セットリスト> 1・不明 2・あのときこのとき 3・雨女 4・いつくしみの声 5・自分 自らのピアノ演奏に歌唱という、いわゆる「ピアノ引き語り」系のようだ。愛憎・怨念、人と自然との関わりを綴った芸術性・前衛感・自虐性のある完成度の高い詞をじっくり丁寧に歌いこんでいく・・・。
楽曲は情念系・民謡童謡系に近い。もっとわかりやすくいうと、「
一青の声質で笹川美和の曲を歌った」 であろうか。楽曲の世界観や高音部分で声がひっくり返る&語尾を強く伸ばす歌唱スタイルは、本人たちには失礼ながらかなり似ているように思う。
う~む、どうなんだろうか。
歌唱もピアノ演奏もなかなかにうまいのだが、曲と歌唱に露骨に笹川っぽさを感じてしまうのが厳しい。
そして、それ以上の問題は、笹川的でありながらも曲は笹川に比べだいぶ大人しめで、牧歌的な要素もあること。笹川を聴いているのが影響しているのであろうが、聴いていて歌いまわしと楽曲の世界観が微妙に合っておらず、歌唱が浮いているように思ってしまうのである・・・。
また、同じ旋律の繰り返しが多く、全体的に冗長さを感じてしまうのも問題。曲を短くするか、歌唱やリズム感をシャープにした方がいいように思うのだが・・・。
つまりは、この手のアーティストに重要な「キレ具合」や「前衛さ」が物足りなく、強烈に聴き手を引きずり込む魅力に欠けているということだ。悪くはないのだが・・・。
唯一の例外であり、かなり出来がよかったのが3曲目の「雨女」。曲名も印象的だが、ジャズ風味の軽快な演奏に彼女のダークな叙情性に満ちた歌唱が何とも印象的であった。こういった曲調を柱としてより自身の音楽性を追及していけば、結構面白いアーティストになれると思う。逆に言うと、現状のままでいくのなら、メジャーシーンでしっかりと活動していくのは難しい、でもあるのだが・・・。今後の精進に期待したい。
次回から竹井編。結論から言いますと、今までの竹井ライブの中で最高最強の選曲でしたね。
田野崎さんの1stアルバム。
2006/03/18 00:42|ライブ・イベントレポート |トラックバック:0 |コメント:2 |▲
1日間隔が空いてしまいましたが、引き続きアルバム、DVD、その他をやっていきます。
▽続きを読む▽
●アルバム編 ★3月15日 ●CORE OF SOUL 「CORE OF SOUL THE BEST 」 △
COSのラストアルバム。今作発表後のコンサートをもって解散。素晴らしい1stアルバム以降、理解に苦しむ路線の変更により自らの才能や魅力を腐らせてきたのが今回の結果に繋がった一番の理由だと思います。
●平原綾香 「4つのL」 △
「一発屋」と言われていたのはもはや過去のこと。大御所ミュージシャンらのサポートにも恵まれ、既に日本を代表するアーティストまで成長した平原の3rdアルバム。抜群の伸びやかさと個性を誇る歌唱を活かした良シングルを始め安定感があることから、今作にも期待できますね。
視聴は
こちら ★3月24日 ●Rie fu 「ROSE ALBUM」 ○
昨年ブレイクした?Rie fu約1年ぶりの2ndアルバム。シーンやソニーでの存在感はかなり薄れているようにも思いますが、作品は彼女の持ち味である、古きよき70年代ポップス・ロックを存分に楽しむことが出来る良作の予感あり。
視聴は
こちら ★3月29日 ●上原奈美 「15」 ×
時代の流れに反するケバさを出したビジュアル戦略と未熟すぎる歌唱があり、早取り残された感のある東芝EMI新人アーティスト&現役ティーンズモデルである上原の1stアルバム。果たして自分を取り巻く環境・状況を好転させられる作品になっていますかどうか・・・。今作でダメならそのままフェードアウトの可能性大。
★4月5日 ●HIGH and MIGHTY COLOR 「傲音プログレッシブ」 ×
昨年真摯なメタルファンを歓喜させるどころか絶望と屈辱を味あわせたハイカラ。その彼らが約7ヶ月と短い間隔で送り出してきた2NDフルアルバム。何だか今度はプログレファンにまで敵を作りそうなアルバム名がついていますが、シングル「一輪の花」の完成度と短い制作時間を考えると、あのセンスにかけるギターを始め全ての要素において奇跡的な進化でもない限り出来に期待するのは無理がありすぎですな。メタルやハードロックシーンとそこで活動しているアーティストの品位を貶める作品でないことを願ってなりません。お願いだから。
視聴は
こちら ★3月29日 ●サンタラ 「WAIT,CATCH&RUN」 △
ソニー所属の男女デュオ、サンタラの2ndアルバム。「フォーク・ブルース」なる独特の音楽をやっているようですね。どことなく懐かしく、慟哭にあふれた泥臭く且つ洗練された音楽は中々面白いと思います。
視聴は
こちら ★4月12日 ●melody. 「Be as one」 ○
melody.久々の2ndアルバム。最新シングルを始め、何だかんだ言ってもシングルの出来がまずまずなので、このアルバムも恐らくいい仕上がりになるのではと思います。今作でいいところを見せないとあまたいる強力ライバルにさらに押されると可能性あり。ふんばりどころだ!!
●DVD・その他編 ★3月15日 ●島谷ひとみ ○
昨年のライブツアーを収録したDVD。その麗しきお姿を見るために今作を買うのは、果たして安いのか高いのか・・・?
個人的にはこういった作品を気軽に買えるくらいの「小金持ち」になりたいものです。はい。
★3月29日 ●クイーンズライク 「オペレーションマインドクライム2」 ◎
かつてはHR/HMのシーンに大きな影響を与え、ドリームシアターとともにメタル、プログレメタルシーンを牽引してきたクイーンズライチ。だが、陰なプログレの名作「Promised Land」の次作、「Here in the Frontia」以降グランジに傾倒した作品作りをしてメタル・プログレファンを裏切り続け、瞬く間に業界盟主の座から滑り落ちた・・・。その彼らが18年ぶりに、ハードロック・メタル史上のみならず、「コンセプトアルバム」を語る上で絶対に欠かすことが出来ない歴史的大傑作「オペレーションマインドクライム」の続編である作品をついに送り出してきた。
う~む、かなり聴きたくはあるが、それ以上に怖さが・・・。まあ「オペレーションマインドクライム」レベルのものを望むのはムシが良すぎですが、せめて偉大な1作目を汚さない出来であることを祈るだけですね。
2006/03/16 23:43|未分類 |トラックバック:0 |コメント:4 |▲
●YUI 「FROM ME TO YOU」 84点 ジャンル:ロック ハードロック アコースティックロック(2006/2/22) 1.Merry-Go-Round 2.feel my soul3.Ready to love 4.Swing of lie 5.LIFE 6.Blue wind7.I can't say 8.Simply white9.Just my way 10.Tomorrow's way 11.I know 12.TOKYO 13.Spiral & Escape <問題点・注意点> 1・英語の発音が稚拙すぎてその部分だけ安っぽく聴こえてしまう 2・シェリル・クロウやアブリルの熱心なファンの方にはウケが悪いかも 3・幼い歌唱と声質は聴き手を選ぶ可能性あり
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有力アーティストを数多く抱えるソニーにおいて、映画出演、雑誌ジャック、社提供の音楽番組への独占出演など「破格」とも言える扱いを受け続けている新人アーティストYUIの1stアルバム。
作風は、ギターを主軸としたロック、ハードロック、アコースティックロック、ちょいラウドロックと、多彩なロックサウンドを全編にわたって展開している。
「アブリル・ラヴィーン+シェリル・クロウ÷2」 に矢井田瞳や川本真琴といったアーティストのエッセンスを加えた感じ、とでも言えば分かるだろうか・・・。(4曲目などはかなりアブリルっぽい)
よく言えば、王道に忠実。悪く言えば、有名アーティストのおいしいところ取りとも思えなくもないが・・・。しかし、そうではあれど、単なる模倣にとどまらない魅力が彼女や今作にあふれていると思う。
まず、その大きなものは繊細で弱弱しい歌唱であろう。技術的には稚拙であるが、気持ちが十二分に乗った歌唱と、彼女の実年齢からはかけ離れているレトロな風味漂う且つ比較的硬質な編曲と歌唱・声質とのミスマッチ感が素晴らしい。若者の心的葛藤や希望、思い、若者ならではの純粋さや傷つきやすさといったものを飾らずに綴った彼女の素直な詞と絶妙な相乗効果をあげ、聴いていてとにかく切なくなってくる。
そして特筆すべきは作曲センス。対外的に「声質の良さ」や「詞の良さ」がウリとされていたが、個人的に彼女に関し最も賞賛されるべき点は作曲だと考えている。
確かにまだ完全に個性を確立したとは言えないし、ところどころ甘いと思うところもないではない。が、彼女の作る曲は、タイアップ全盛や着メロ・着ウタ全盛時代に顕著になったツギハギ的楽曲製作による
「とってつけたような無理な曲展開」「サビだけが良くてあとはダメ」 がなく、全体の流れが非常にスムーズで自然。どのように曲を作っているのかはわからないが、恐らく作っているときに頭の中で楽曲構成の全体像が見えているのであろう。これは教わって出来ることではなく天性のセンスだと考える。
それのみならず、自らの歌唱や詞世界とマッチした水準以上の曲を作品通してきちんと送り出せているから、何とも大したものである。10代のアーティストに成熟さを要求しがち・成熟さを押し出しがちなシーンにおいて、惜しげもなく自らの未熟さ・弱さを押し出している潔さも良い。歌唱は弱弱しくても、詞で自らの弱さをさらけ出してはいても何者にも媚びない一本芯の通った強さ、気高さといったものが曲を通して強く伝わってくる。他の10代アーティストとの決定的な違いであり、支持されている理由であろう。
シャープでアップテンポのアコースティックロック曲である1曲目、切ないロックバラードである3・7曲目、ハードでエモーショナルなハードロックバラード曲である4曲目、爽快でいきの良さを感じる5曲目などは、上記彼女の魅力や特性が如何なく発揮された良曲。アーティストの魅力というものが、「歌唱技術」ではなくあくまで「楽曲」と「歌い手の声質」、及びその両方の相性・一体感にあることを見事に物語っている。
楽曲や声質に関しては特に不満・問題点はないのだが、唯一気になったのが発音の悪さ。日本語部分はまだいいのだが、英詞部分での発音の悪さがかなり気になってしまった。申し訳ないが、英詞の部分だけ極端に安っぽく聴こえてしまうのが、今作の唯一にして最大の欠点・不満点である。今時の若者でここまで英語発音が下手な人も珍しい・・・。別にネイティブ並になる必要はないが、せめて自身の曲と歌唱の魅力を損なわないレベルにまでには上手くなって欲しいと思わずにはいられない。それが出来ないのであれば、全部日本語で詞を書いたほうが良いだろう。
細かいところを言い出せばいくらでも今作に対しケチをつけられるが、逆にそういった細部の粗を尽く魅力に変えられている今作は、デビューアルバムとしてはほぼ完璧な作品ではないだろうか。作風や声質に抵抗がある人も少なからず居そうであるし、ソニーのごり押しに反感を感じる人もいるだろうが、そういった先入観・偏見なしに是非とも聴いていただきたいと思う。
今後は、今もっているイノセンスな魅力を維持しつつ、より自らのアーティスト色を確立していくかが課題であろう。先が楽しみだ。
・アーティスト評価 歌唱力 8 () 作曲 8 () 編曲 8 () 独創性 6 () 安定性 8 () 格 6 () 総合 8 () 熱中度 9 ()
2006/03/15 00:25|アルバムレビュー |トラックバック:1 |コメント:0 |▲
いや~、本日は寒かったですが、確実に春が近づいてきていますね。 まあ季節や月関係なく音楽を聴きまくっていることには何の代わりもないのですけどね。 というわけで今月も「早聴き小僧!!」をやっていきますよ。 しかし、先月は物凄く多かったのですが、今月はちと少ない。
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●シングル編 ★3月15日 ●樹海 「あなたがいた森」 △
ジェネオンエンターテイメント所属で、男・サポート、女・ボーカルの混性ユニットの形式をとる新人アーティスト「樹海」のデビューシングル。アニメ「Fate/stay night」の主題歌。せつなくスケールの大きいバラード曲ですね。
試聴は
こちら ●上木彩矢 「Communication Break 」 △
ビーイングの最終兵器であるハードロッカー・メタラー、上木姐御のメジャーデビューシングル。「ようやくこの時が来たのか」と感慨深いものがあるのだが・・・。試聴の感想は「何か感じな違うな」だ・・・。何だかグルーブ重視になり突き抜けた感や疾走感がないのが気になる。大丈夫か!!?
試聴は
こちら ●mihimaruGT 「さよならのうた 」 ○
阿久津の歌唱とこった電子サウンドが凄まじいせつなさを放出するバラード曲。曲名が示しているようにこの季節に即した「別れ」がテーマとなっています。試聴した感じでは結構好きなんですけど、そろそろ初期の頃のような「脱力系」ソングを聴きたいと思っているのは、私だけじゃないでしょう。
試聴は
こちら ★3月29日 ●misono 「VS 」 △
元day after tomorrowのボーカル、misonoのソロデビューシングルでっす。グループ解散の理由であろう北野のSAYAKAのロマンスが終わった今、もはやmisonoのソロデビューに意味がなくなっているように思うのは私の気のせいでしょうか・・・。ま、曲が良ければいいのですけどね。それともう一つの関心どころであろう「減量」は出来たのでしょうか・・・?
●愛内里菜 「GLORIOUS/PRECIOUS PLACE」 ○
プレイステーション用ソフト『Another Century’s Episode 2』イメージソング・エンディングソング。作曲は大野ですが、久々の愛内らしいアップテンポでダイナミック、そしてメロディアスな曲で期待できそう。
試聴は
こちら ●植村花菜 「GLORIOUS/PRECIOUS PLACE」 ×
地道な活動が功を奏し少しずつではあるものの人気を獲得しつつある植村花菜アルバム発表後初シングル。しかし、松任谷由実のカバーとはいったい何故? 試聴した感じではかなりアレンジが変わっていて原曲の雰囲気がなくなっています。あんまり合っているとは思えないのですが・・・。歌は抜群ですが。
試聴は
こちら ★4月5日 ●BoA 「七色の明日~brand new beat~ / Your Color」 ○
アルバム発表後間髪いれずに発表されたシングル。大型タイアップつきのダブルA面。曲調などは全く分からないのですが、アルバムの出来が結構良かったので期待しています。
●Salyu 「Tower」 ○
一青窈作詞という驚きびっくりの曲。レーベルの枠を超えてますな。FM-AICHIで聴いた限りでは、いかにもSalyuらしい感じの曲に仕上がっております。ファンなら安心して聴くことが出来るでしょう。
アルバムとDVD、洋楽作品に関してはまた改めて。
2006/03/14 20:31|未分類 |トラックバック:0 |コメント:0 |▲
・評価:60点 週刊少年ジャンプ、テレビアニメともに「リアルタイム」で「北斗の拳」を見続けてきた私にとって、少年時代を考える上で切っても切り離すことが出来ない「かけがえのない作品」であった。 学校において、仲間同士で「北斗百烈拳」ならぬ「五烈拳ぐらい?」や意味不明な「秘孔ツキ」、切れるはずのない「南斗水鳥拳」を浴びせあい、挨拶代わりに交わされる会話といえば、「お前はもう死んでいる」 「おい、お前ら、俺の名を言ってみろ!!」 「兄より優れた弟はいねえ」 「あ~、聞こえんな~」 「俺は天才だ!!天才の俺に何が出来ん!!?」 「引かぬ!媚びぬ!省みぬ!」 (当ブログの運営方針にもなっている) といったアニメ史上に燦然と輝く名台詞の数々。もちろん「ひでぶ」「あべし」「たわば」「ごじば」 は当たり前!! また、なまじ背が高くデブであろうものなら問答無用に「ハート様」と命名されるなど、外見に対する容赦ない差別すら行われていた・・・。程度はどうあれ、恐らくこれが「北斗の拳連載時」における日本の小学校の日常風景だったように思う。今の漫画で子どもにここまで影響を与えるものがあるだろうか? 「全員」とまでは言わないが、かなり多くの子どもたちが虜になっていたのは間違いないだろう。 まあ、思い出話をしだすとキリがなくなるのでここまでにしておくが、この作品を見て育った人々も今では20代後半から40才ぐらいになった。「お金に融通が効く」「好きなことには惜しみなく金をつぎ込む」というこの世代の特性を当て込んでの「リバイバルブーム」に、絶大な人気を今尚誇っている今作がもれるはずもなく・・・。 「蒼天の拳」の連載開始、そして「パチスロ」での大成功を経てついに劇場で、しかも「新 救世主」ならぬ「真 救世主」と銘打たれた「新説北斗の拳」とも言うべきものが放映されることとなった。 原作制作に携わった人々が作り上げたとはいえ、どう考えても当時のオリジナルを越えられるはずもないことは、恐らく当事者も今尚この作品を支持している熱心なファンにも分かっているはず。だが、そうであっても、たとえどんなに酷い出来になりそうな予感があっても、見に行かずにはいられないのが「ジャンプ黄金期」で育った世代の悲しい性。 玉砕覚悟で見に行ってきた・・・。
▽続きを読む▽
劇場版シリーズとなる「真救世主伝説 北斗の拳 ラオウ伝」はどうやら5部作となるらしい。第1作となる今作「純愛の章」は、原作・アニメでいうと、ラオウとケンシロウの1回目の対決が終わった後、つまりはシュウとケンシロウの出会いからケンシロウとサウザーとの対決終了部分に該当する。この部分が大胆にカット・再構築されているのだが・・・。 原作やアニメとの大きな違いは、レイナとソウガという新キャラを加え、彼らを通して「北斗3兄弟」「シュウ、サウザー」を描いていること。 このことと、「ケンシロウとシュウとの出会い、ラオウとサウザーとの関係が少し詳細に描かれていることもあり、「北斗3兄弟」と「南斗六聖拳」の使い手との関係が局所的ではあるが理解しやすくなっていると言えるだろう。 そして、原作・アニメにあったギャグがかなり抑えられ、シリアスな作りになっているのも大きな違いである。千葉繁を柱とした豪華声優によるあのノリこそ「北斗の拳の醍醐味」と考えている人は今作は避けた方が良い。 まあ、元々今作で描かれている部分は「北斗の拳」の中でもかなり面白い所である。酷い話名場面の要所要所と大筋の流れさえきちんと押さえてさえいれば、新キャラが出てこようと多少話が変わっていようと、演出方法に問題があろうと、作品が「ゴミ」レベルになることはありえない。さすがは「腐っても鯛」。シュウとケンシロウとの出会いと別れのところや、シュウが聖帝十字陵で死ぬところはやはりとても面白く、感動的であった。 だが、以前レビューを書いた「Zガンダム」と同様、元々そんなに無駄のないテレビシリーズ本編を2時間弱の映画にまとめることそのものにかなり無理があるわけで・・・。 「南斗六聖拳」の話が出てくるのに、当然のことながら今作ではサウザーとシュウの二人しかでておらず・・・。「じゃあ他の4人はいったい」ということになる。初めて見る人は、当たり前だが分かるはずもない。「真」だの何だのと言いながらも、制作陣のどこかに「どうせこの映画を見る人の殆どがリアルタイムで原作やアニメを見た人・「蒼天の拳」から遡って原作を読んだ人」との甘えがあるように思えてならない。 また、シュウとサウザーの両名が「レイ」や「ユダ」が使用していたような技を使っているところもあり、各「南斗聖拳」の区別が全くついていないのも良く分からない。 「北斗の拳」や「北斗3兄弟」を考える上で重要極まりないであろう、「リュウケン」「レイ」、そして「ユリア」の存在を無視して話を進めている点も見る人にとって不親切であろう。新キャラの起用や演出方法の変更で多少なりとも補足したところで、根本的な説明がないのでハナから原作未読者がこの映画の本質を理解できるはずがない。 そして今作に限ってのストーリー面での致命的な問題は、今作の主役の一人であろう「サウザー」の人物描写が全くなっていなかったことにある。シン以降初めてケンシロウを倒した重要人物であるにも関わらず、「何故彼が悪逆非道なことをするようになったか」が綺麗さっぱり描かれかったのは救いがたい。よって、作中においてクライマックスであろう、ケンシロウが「苦しみ・痛み」を伴わない「有情拳」でサウザーを葬るところや聖帝十字陵が崩れ落ちるところでの感動が全くなくなってしまった・・・。 何だかんだといいながらも、原作が原作なので今作は面白くはあった。しかし、この部分のいい加減さにより結論としては「映画的に失敗」であると言わざるを得ない。 さて、かなり長くなったが、ストーリー以外のことについても書いていく。 やはり、その中でも最も重要なのは「声優」であろう。アニメ版では、重要キャラのみならず雑魚役・端役ですら「国宝・重要文化財」レベルの名声優が声をあてるという破格の豪華さを見せつけていたわけであるが・・・。 ケンシロウを演じた阿部ちゃんに関しては良かったと思う。もちろん神谷明とは比べようもないし、感情が高ぶるところで声音が変わりすぎといった問題があったが、彼が「非声優」であることを考えたら、今回の演技ぶりは何の非難も受けるものではないだろう。大健闘したと言ってよも良いぐらいだ。しかし、他の非声優に関しては・・・。 レイラとナレーションを担当した柴咲コウはあまり上手くなかった。どうにも声が硬くしゃべりのテンポが悪い。映画俳優と声優とに求められる資質・技術の違いをまざまざと痛感させられた。 サウザーとシュウに関しては、今回は大塚明夫・大塚芳忠という「日本最強レベルの大声優W大塚」が担当。演技に関してはケチのつけようもない程上手いが、個人的にはアニメ版の声をあてた銀河万丈・森功至の方が良かった。特にサウザーに関しては、あの低く渋みに溢れてた銀河万丈氏の声での「引かぬ・媚びぬ・省みぬ」 が魂まで染み付いていることもあり・・・。 トキの声をあてた堀内賢雄も演技は良かったのだがどうにも土師孝也の渋い声のイメージが払拭できず・・・。 リンとバットに関しては坂本真綾、浪川大輔が声をあてたがこちらも演技どうこう以前に声があっていない。特に坂本に関しては「やっぱり彼女は洋画吹き替え専門OR歌手」だなと痛感した次第。 しかし、何よりの問題はラオウ。何故か今回宇梶剛が担当したわけであるが・・・。本人はかなりがんばったと思うし、非難を覚悟で仕事を受けたのは賞賛に値するのかもしれないが、結果は最悪。演技や発声云々以前に根本的に「いいおじさん」的な彼の声質があっていない。大きく作品の質を貶めてしまった。声質だけで聴き手の魂を震わせ圧倒する国宝・一代年寄レベルの大声優・内海賢二の代わりなど、彼だけでなく他の名声優であっても絶対に不可能。もう少しマシな選択肢はなかったのか? 当人が亡くなったわけではないのに、この交代劇はいったい何故? 一番の犠牲者は他ならぬ宇梶であろう。他のキャラの声優を変えても、少なくともラオウとサウザーだけは代えてほしくなかった。 今回こそ、比較的セリフ数が少なく、尚且つ宇梶に対する配慮からか「驕るなサウザー。貴様の体の謎はトキが知っておるわ」 を始めとした名セリフがカットされていたが、2作目や3作目ではそうもいくまい。何とかなるとも思えないが何とかしていただきたい。 それとやたらと「アニメ、アニメ」した絵も・・・。特にリンが酷い。また、オリジナルキャラのレイラに関しては、作者原哲夫の弟子で「シティーハンター」の作者でもある「北条司」がキャラデザを担当したが、当然のことながら他のキャラと露骨に違っていて浮いていて・・・。せっかくの劇場版であるのに・・・<最後に> 今作のエンディング「ピエロ」を歌っているのは上木彩矢。B’zのカバーであるが率直な感想は「イマイチ」だった。曲が悪いからなのか、それとも上木と曲との相性が悪いからなのか分からないがどうも・・・。 普通こういった大型タイアップで且つ新人を売り出す場合、「オリジナル曲」でいくでしょう、普通は!! 何だかあんまりいい出だしではないような・・・。
2006/03/14 18:08|映画評 |トラックバック:0 |コメント:9 |▲
・評価価格:60点 まちゃまちゃが早朝の渋谷(だったけか?)を昆虫や節足動物のように徘徊するCMでおなじみ?の今作品。鑑賞ポイントがたまったことと主役であるシャーリーズ・セロンが結構好きなこともあり見に行ってきました。 ということで、毎度ではありますが、簡単な作品説明と勝手きわまりない感想とを書いていきます。
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<あらすじ>舞台は現在から400年くらいあとの地球。2011年に流行したウイルスにより人類の99%が死滅。残された人類は荒廃した自然に囲まれつつ城塞都市「ブレーニャ」に集まり生き続けてきた。そして約400年後の2415年・・・。 高度な科学技術の恩恵で、人々はそこで何不自由なく幸せに生きているように見えた。が、実はある一族の独裁支配の下、「超管理社会」と「反政府的な者に対する容赦ない拉致・粛清」が裏で横行する恐怖の世界であったのだ。しかし、政府に対する人々の不信・反抗心を完全に根絶することは出来ず、地下で反政府組織の芽が確実に育っていく・・・。 独裁支配を打破し、人々に真の自由をもたらすために反政府組織は「モニカン」という特殊技能を有する暗殺のプロを秘密裏に養成。その中でも最も優秀なイーオン(シャーリーズ)に指導者暗殺の指令が下される。 圧倒的な暗殺技術をして瞬く間にリーダーのところにたどり着いたイーオン。しかし、そこで彼女が見て知った驚愕の事実は・・・。 荒廃した地球環境、高度な科学技術、超管理社会、科学の発展に反比例して「種」として確実に弱まっている人類・・・。そして、「悪」と教えられ「倒すことが絶対」とされていた政府や指導者が実はそうではなく、「真相」が教えられてきたことと全く違っているどんでん返しのストーリー展開など、「マトリックス」や「攻殻機動隊」といった有名作品の流れを汲んだ王道の要素を満載したSF作品である。原作はティーンズ対象のアニメ作品とのこと。何一つ目新しい点はないが、一方で安心して見ることができるとも言えるだろう。だが・・・。 主役を演じたシャーリーズ・セロンに関しては、とにかくスクリーンを通しての存在感と美しさが圧倒的過ぎた。原作の設定もあり自慢のブロンドを封印してはいるものの、元々の美しいルックスと177センチもの長身と全く無駄な肉のないスレンダーな体型が損なわれるはずもなく・・・。 原作よりも衣装の露出度が少なかったのは残念であったが、「ミニミニ大作戦」や「スタンドアップ」の時とは全く違う、危険な色香とどんな状況にも動じない冷静さとを兼ね備えた凄腕美貌の暗殺者を文字通り「体」で演じきれていたように思う。抜群のスタイルと昔バレリーナを目指していた程の運動神経と柔軟性とを活かしたワイヤーアクションは、それが故にタメ息モノに美しい。はっきり言って彼女を前にして他の役者たちは女王に対する一兵卒の如きの存在でしかなかった。人類様々な人種がいれど、遺伝子的な違いはほんの少しでしかない。しかし、その「ほんの少し」があまりに不平等な結果を人類にもたらしているという厳然たる事実を今作でのシャーリーズを見て改めて思い知らされた・・・。ああ無常。 と、シャーリーズの容貌絶賛で話が大きくそれてしまったが、評価点60点という結果が示すように映画作品としての出来がどうかと言われると結構問題が多い。 まずはアクションシーン。シャーリーズはよくがんばったと言えるが、今作の見所とされていたはずにも関わらず、アクションシーンがそれほど多くなかった。しかも、その殆どにおいてカメラが役者に接近しすぎで、その切れ味や迫力を伝え切れているとは言いがたかった。シャーリーズの美貌とスタイルがあったからこそ何とか水準レベルに踏みとどまったものの、彼女の長身とスタイルの良さを存分に活かすために「引いたカメラワーク」に徹し、より動きのダイナミックさを出したほうが良かったように思う。 そしてもう一つの問題は説明不足なストーリー。ことの真相や、科学万能主義や自然に対する傲慢さを見せる人類に対する啓蒙を含んだ作品性はいいのだが、今作においてかなり重要であるはずの「反政府組織」の目的や存在意義などに関し全く明かされていないのは理解に苦しむ。これでも、ありきたりではあるが「反政府組織の方が実は悪だった」というような設定が明かされれば良かったのであるが・・・。あえてそれをうやむやにしたのは、ひょっとしたら反響次第で「2」を作ろうという今の映画界の悪しき風潮があるからなのか? どっちにしても大きな減点要素には違いないが・・・。 つまりは、人類に対する啓蒙を含んだSF作品としても、SFアクション作品としても中途半端なのである。正直なところシャーリーズの美貌以外にこれといっての見所がない。個人的にはうだうだ思想的なものはいれず、純粋にシャーリーズの美貌を存分に堪能できるシャープなアクション作品に徹したほうが良かったと思う。 しかし、シャーリーズファンであるのなら絶対に見に行くべき作品であるのは間違いない。
2006/03/13 18:29|映画評 |トラックバック:4 |コメント:0 |▲
●Mr.Sirius 「Barren Dream 」(デジタルリマスター盤) 97点 ジャンル:シンフォニックロック・メタル、プログレッシブロック (1987年)(入手困難)1.峡谷倶楽部 (all the fallen people) ・overture ・madrigal ・rhapsody ・fantasy 2.Sweet Revenge 3.Step Into Easter 4.間奏曲 (intermezzo) 5.エターナルジェラシー (eternal jelousy) ・prelude ・intake ・stillglow ・return 6.Lagrima 7.不毛の夢 (barren dream) ・act I ・act II ・act III 8.エターナルジェラシー (シングルバージョン) <注意点・問題点> 1・バラードが多目か 2・展開美・構築美が2ndアルバムに比べると甘い=釜木不在だからか? 3・キャッチーさとは無縁の壮大な構成 4・声楽的な大木の歌唱は聴き手を選ぶ 5・フルートのアレンジがやや単調か
▽続きを読む▽
2ndアルバム「Dirge」において最高評価の100点をつけた日本を代表する名プログレグループ、Mr.Sirius。今作は彼らの記念すべき1stアルバムである。今回、とある方の好意により聴くことが出来た。
「Dirge」で抱いた感動よ再び!!との気持ちで聴いたわけであるが、それは全く間違っていた。2ndアルバムに匹敵するが、それとは違う感動がそこにあったのである。
プログレッシブメタルの要素が出ていた2ndアルバムに比べると全体的におとなし目で、どちらかと言うとシンフォニックロックに近い仕上がりとなっている。
このことと、超絶技巧のスーパーギタリストである釜木が今作に参加していないこともあり、怒涛の展開美や構築美、壮絶な演奏バトルによる恐ろしいまでの緊張感の創出といった点においては残念ながら2ndアルバムよりも劣っている。また、全体の流れに関しても、部分部分で「間延びしているな~」と思えるところも少なからずあった。彼らの特徴の一つであるフルートの挿入がやや多目で且つ均質的になっているのは少し気になってしまった。
だが、そういった甘さ・粗さを補って余りある魅力~美しさと聴き易さ~で今作は満ち満ちている。とにかくシンフォニックプログレならではの美しさや壮大な叙情性が凄く、これら点に関しては2ndアルバムすら大きく凌いでいると言えるだろう。
特に、宮武のクラシックギターの音色と、アニー・ハズラムを連想させるスケールが大きくどこまでも広がっていくかのような大木の歌唱が比類なき美しさを誇る3曲目と、2ndアルバム収録曲に通ずるギター・フルート・キーボードのスリリングな壮絶演奏バトルが印象的な5曲目は圧巻。それは、今作のタイトルである「Barren Dream」=「不毛の夢」の如きはかなき美しさ・悲しさを秘めている・・・。まさに至高のアート。もちろん、それ以外の曲に関しても非常にレベルが高く、このグループだからこそ言いたくなってくる上記因縁めいたことぐらいしか問題がない。日本のアーティストでこのレベルの演奏・楽曲を聴かせられること自体が一つの奇蹟であろう。日本プログレ界最高峰のコンポーサーである宮武と最高の歌姫である大木の出会いに感謝せねばなるまい。
点数こそ2ndアルバムより低くしたが、好みではこちらの方が上。一生聴き続けていける作品だ。
ただ、何だかんだ言っても今作は大作プログレ作品。通常のJ-popやロックに慣れている人、及び音楽に娯楽性しか求めていない人にとっては聴き辛いことこの上ない、まさに「お呼びでない」作品。しかし、音楽に芸術性や神聖なものを求めているのであれば、今の商業音楽に対し何らかの不満を持っているのであれば、シンフォニックプログレの頂点を極めたMr.Siriusの作品を是非とも聴いていただきたく思う。「日本の音楽が海外に比べてレベルが低い」などという言説が如何に嘘っぱちであるかがよお~くご理解いただけることだろう。
だが悲しいことに現状では1stアルバムはほぼ入手不可、2ndアルバムに関しても一部のところやフランスからの輸入でしか入手できないなど深刻な状況になっている。それほど古いとは言えない作品なのに一体何故なのだろうか。音楽を侮辱するにも程がある。一刻も早いデジタルリマスター再発と、それ以上にこのグループの再結成を願ってならない。
・アーティスト評価 歌唱力 10 () 作曲 10 () 編曲 9 () 独創性 10 () 安定性 9 () 格 10 () 総合 10 () 熱中度 10 ()
2006/03/12 20:12|アルバムレビュー |トラックバック:1 |コメント:16 |▲
●ナナムジカ 「くるりくるり」
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1・くるりくるり ★★★★ 作詞:西島梢 作曲:松藤由里 編曲:243 絢香と共に将来のワーナーを支えていくであろう新人であり、業界を代表する「同性デュオ」になりつつあるナナムジカ久しぶりの2ndシングル。これまた絢香と同じく研音俳優主演ドラマである「小早川伸木の恋」のエンディング曲。 曲調は前シングル表題曲と同じく、叙情的な歌メロにクラシックや民族音楽的なスケールの大きい編曲が施されたバラード曲。既に彼女らの個性とも言える荘厳さとダークさと慟哭さとが曲を支配している。出だしのバイオリンの演奏から一気に「ナナムジカワールド」に引き込まれること請け合いであろう。 松藤のピアノも相変わらず冴え渡っている。普通この手の「音楽エリート」の場合、ピアノの腕前を披露したいがためにどうしても技術自慢の演奏になったり、演奏そのものを全面に出したくなったりするものなのだが、彼女にはそれがない。あくまで淡々と職人的な演奏に徹し、西島の歌唱を堅実に守り立て、彼女らの確固たる音楽世界を築き上げている。 彼らのもう一つの大きな特徴である、難解ではあるが深く、それでいて「生きとし生けるものの命の重みやはかなさ」を描ききった詞も秀逸という他ない。私の貧困な読解力では全く理解できず、「いった愛する人は結局生きているのか死んでいるのかどっち?」などと思ったりとするのだが、輪廻転生・死後の世界を表現した無常観たっぷりの西島の詞に対し、そのような「時間軸に制約された」問いかけをすること自体意味なことなのかもしれない。恐ろしいまでのスケールの大きさである。 正直に言って、キャラ設定が滅裂し暴走している低レベルの恋愛ドラマのエンディングにしては、あまりに高尚過ぎ。不相応もいいところだろう。 但し、「単一の曲」としては文句がなかったのだが、「ナナムジカ」を考えるときにこの曲には大きな問題があると言わざるを得ない。が、それは総評でまとめて書くのでここでは割愛。2・君が瞳をひらく時 ★☆ 作詞:西島梢 作曲:松藤由里 編曲:243 表題曲とうって変わって西島の歌唱と松藤のピアノが主軸のピアノバラード曲。愛する人に対する悲壮とも言える強い思いを感じ取れる悲しい曲なのだが・・・。 Bメロをはじめメロディーが平坦でやたらと間延びしており終始「ダラダラ」した感が否めない。また、西島の典型的「声楽的歌唱」に近い歌いまわしも平坦過ぎて全く個性を感じ取れない。いかにもNHKのお堅いラジオ番組やクラシックチャンネルなどでかかっていそうな感じの曲で、曲の出来の悪さもさることながら、ポップス・バラード曲としての面白みにことごとく欠如している。音楽エリートという点がことごとく悪い方向へと行ってしまったのを示す曲であろう。<総評> 彼女らの魅力が如何なく発揮された表題曲こそ★4つと高評価をつけたが、彼女らの先を考えると今回のシングルは問題が多すぎると言わざるを得ない。 まず一つは曲調。「Ta-lila~僕を見つけて~」を聴いた人ならお分かりかと思うが、この曲と今回の曲、曲調・編曲・「輪廻転生」を描いた詞の内容・歌唱といった点でかなり似通っている。 両曲のサビを交互交互に聴いていたり歌っていたりすると、「どっちがどっち」なのか分からなくなってくる。 既にこの手の曲が彼女らのアーティスト性を象徴した「必殺の曲」となっている点は最大限に評価すべきであるが、それにしてもシングル2枚しか出していないのに表題曲の曲調が似通いすぎているのもどうかと思う。まあ「今回の曲の方がデビュー曲よりも先に作った」「タイアップ」といった事情があったのだろうが、はや「守りに入っている感」「マンネリ感」がありありとしている。音楽的に優れた資質を持っているのだから、もっと果敢な挑戦を行ってもいいのではないだろうか。いくら表題曲が良くてもこれではいけない。 1つ目の問題と被るところもあるが、2つ目の問題として「カップリング曲の出来が悪すぎる」がある。総じて優等生的過ぎるクラシカルなバラード曲ばかり。単調で、聴いていて面白みや魅力が全くない。音楽エリートが故に陥る問題であろう。現時点では、ピアノバラードの作り手としての能力はあまりないと言わざるを得ない。 そして最後は西島の歌唱。声楽的な彼女の歌唱は確かに上手い。が、NHKの合唱コンクールや第九のコンサートを見れば分かるが、こういった歌唱スタイルは常に「平坦さ」や「無個性さ」と表裏一体となる。今回でこのグループの曲4曲聴いたわけだが、忠実に声楽の基本を踏襲しているが故に、声の出し方や声音の使い方に関し相違を感じ取ることが出来なかった。彼女がクラシックやオペラの歌い手を目指すのであれば、これでもいいだろう。しかし、今後もJ-popの領域に身を置くのであれば、今の歌唱スタイルを見直さなければならない。この世界では必ずしも「上手い歌唱=魅力的な歌唱」とはならないのだから・・・。 以上挙げた問題を何とかしない限り、個人的には彼女らの今後の活動はかなり厳しくなってくるように思う。4月に発売予定であるアルバムにおいてことごとく問題が払拭されることを願ってならない。
2006/03/11 20:16|シングルレビュー |トラックバック:1 |コメント:0 |▲
・評価:65点 「新約Zガンダム」の最終章。1作目と2作目の出来が酷かったことから、もはや「テレビ版とオチが違うこと」しか今作に対する関心がなかったのだが・・・。ま、何とか無事納まったという感じか・・・。 今作に対して語りだしたら、それこそキリがないのだが、とりあえず3部作の中では一番マシな出来だったとは思う。
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元々話しにあまり無駄がなかったZガンダムの特性上、劇場3部作で話をまとめることにより生ずる「展開の無理さ加減」は、過去2作と比べるとマシとはいえ、やはり如何ともしがたい・・・。 さっき出撃して退却したかと思えば、その直後に再び最前線にいて戦っていたり、数秒前と極端に場所が変わっていたりと、まさに「2時間で京都名所めぐり」とか「2時間でディズニーランド制覇」に等しい強引さ。ま、このシリーズを全く知らない人が今作を見るはずないだろうが、それでも、テレビ版を見るなり雑誌やネットなどである程度の作品に対する知識を仕入れておかないと、超特急レベルに速い話の流れを理解するのは容易ではない。 笑えたのがハマーンの乗るキュベレイの描写。カミーユに左腕を切られた場面の次の場面で完全に直っている。艦や基地に戻った描写が全くないのに・・・。 但し、それでもカットやつなぎが上手かったのか、話の流れとしては今までで一番無理がなかった。シリーズ最終章にふさわしい重厚且つハラハラさせる人間ドラマに仕上がったように思う。 個人的に3部作で一番不安であった「カットによってヤザンの出番が殆どなくなるのでは?」が全くなかったのがとてつもなくうれしかった。 「史上最強のオールドタイプぶり」を如何なく発揮してくれているので、ヤザンファンは安心して見て頂けるだろう。 懸念され続けた「絵」に関しても、圧倒的に新画像が多かったのと、恐ろしいまでに展開が早く、ストーリーに嫌でも集中させられることもあり、旧画像との不整合さは殆ど感じなかった。新画像のキュベレイとジオは悶絶モノにかっこよく、その戦闘シーンたるやガンダムファンであるのならおそらく感涙モノではなかろうか。コレだけのためでもガンダムファンならお金を払って見に行ってもいいとすら思う。 また、1作目から見受けられたように「シャアが強くなっていたこと」が今作でも引き継がれていたのは良かった。テレビシリーズでは一方的にやられただけの「3大巨頭対決」であるが、結果として今作でもやられたとはいえ、格段に抵抗を見せたのでシャアファンの方は一安心だろう。 一方、絵と並ぶ大きな問題であった声優に関しては・・・。 やはり加齢もあるのか、主要キャラに勢いを感じなかったのが痛い。ところどころで声が変わっているようにも思うところがあるのだが、ひょっとしたらアニメ版のものをそのまま流用でもしているのだろうか? ハマーン、シロッコ両名に関しては特にそれを感じてしまった。仕方ないこととはいえ、悲しいことには変わりがない。ああ無情。 まあそれでも、カミーユ、シャア、シロッコ、ハマーン、バスク、ブライト、アムロ、ヤザンといった主要キャラの声優を変えなかったのは評価に値する。最近やたらと映画やアニメの声あてでタレントや俳優、お笑い芸人を起用しまくるという下種な風潮があるが、それが如何に愚かであるかを、以前より衰えた彼らの演技ですら十分すぎるほどに物語っている。「声あてはプロである声優がやるべき」。これは絶対真理。 (*映画・アニメをめぐる声あての問題に関してはいずれ「エンタメ問答」で書きます。初の非音楽ネタになりますがお楽しみに?) ところでサラに関しては、「だいぶ上手くなっているな~」と思ったのだが、声優が代わっていた。やはり池脇千鶴を起用したことに対する批判が多かったからか? どうせ変えるなら水谷優子にしてほしかったが、由々しき大人の事情があったのだろう。 このことよりも気になったのが、「名セリフが微妙に変わっていたこと」「カットされていたこと」。ハマーンの「このキュベレイ、なめてもらっては困る」 が「このキュベレイを見くびるな」 に代わっていたり、ジェリド君の「貴様はオレの・・・」 やカミーユの「ジェリド、貴様・貴様・貴様!!」 がなかったりと不満あり。う~む、残念。 で、ある意味今作の核である「新エンディング」に関してだが・・・。 いい悪いとかよりも、「え、こうなっちゃったの!!」との感想の方が強かった。どう受け止めたらいいのか、未だに分からない。世間では賛否両論渦巻くだろうが・・・。 今までは「家族や母性・父性」といったものに否定的な監督の変節ぶりを象徴するオチであった・・・。 まあ、オチに対する解釈は人それぞれであるが、一つ絶対確実なのは、このオチだと「後のガンダムシリーズ」に全く繋がらないこと。ZZガンダムならびにジュドー君の存在が完全否定されてしまった・・・。<シリーズ総評> ケチを付け出したらキリがないが、往年のZファンであるのなら「まあ、それなりに満足できる」といった感じか。ただ、どうしても中途半端な感じが否めなかった。 シリーズレビューで何度となく書いてきたが、きちんとZガンダムを作り直したいのであれば、やはり1年かけてテレビシリーズでやるべきだったと思う。ガンダム人気や富野監督の実力・社会的地位を考えるととりたてて難しいことではないだろうに・・・。 悪くはないが、この程度の出来・内容であるのならわざわざ作り直す必要もなかったように思う。比較することが間違いなのかも知れないが、やはりテレビシリーズの方が格段に面白かった。もうそれほど長くはないであろう監督人生の華を飾るものではないだろう・・・。
2006/03/11 20:06|映画評 |トラックバック:1 |コメント:0 |▲
今回で「超個人的声質ランキングバトン」シリーズ最後になります。 いよいよメインの邦楽女性アーティスト編。10人の選考は非常につらかった。20人であれば、納得いく選考が出来たのですが・・・。 おそらく忘れている人もいることでしょう。とりあえず今思いつく人をつれづれなるままに書いてみました。1週間後に聞かれたら違う回答になる可能性もあり。但し上位5人に関しては変わらないと思います。 果たして選出の内容に皆様が「なるほど~」と思っていただけるか、それとも「あかんな」と切り捨てられるかとても気になりますね。ご意見・ご感想などあれば宜しくお願いします。 では、発表です。今回は10位から書いていきます。
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惜しくも選考漏れは、菅崎茜、長瀬美夕、島谷ひとみ、中森明菜、大竹佑季、坂本真綾、新居昭乃、森高千里、星花(EX:大鴉)、北原愛子といった面々・・・。10位:melody. 「魅惑のクリスタルボイス」「プラチナボイス」と称される透明感溢れる声質は洋楽ポップス・R&B系ボーカリストの中でも群を抜いて素敵ですね。 9位:Fayray 官能的な艶っぽさとダークさとを演出するやや低めの声質に煩悩と感情とがいたく刺激されます。特に最新アルバムにおけるプログレ曲での歌唱は、やすりで体をすられているようなひりひりとした感触がありました。これぞ「大人の歌唱」「女王の歌唱」と言うべきものでしょう。8位:下川みくに かわいさと哀愁と伸びやかさを高度に兼ね備えた声質は聴いていて切なくなってきますね。どの曲種においても、どの音域においても声を魅力的に活かせる技術・器用さもお見事です。特にミドルテンポの穏かなバラード曲での歌唱は絶品!!7位:水原由貴 (EX:PAMELAH) 私的90年代最高ボーカリストの一人。 曲種によって甘さ、かわいさ、エロさ、自虐さ、シャープさ、哀愁、力強さといった様々な要素を自在に演出できる声質はすばらしいの一言。シャープでアップテンポの曲におけるエモーショナルで鋭い歌唱は今聴いてもゾクゾクするものがあります。今のBEING/GIZAにこの手の歌い手がいないな~。というか業界全体を見渡してもいない。6位:小松未歩 技術的には稚拙ですが、繊細さや哀愁、弱弱しさを感じさせる声質がタマリマセン。彼女よりうまい歌い手は腐るほどいますが、彼女の作る曲を彼女以上に歌いこなせる人は殆どいないでしょうね。失恋を主題としたダークなバラード曲での、声質の良さを駆使した「無表情」の歌唱は理屈ぬきで泣けます。5位:中村由利 単なる「声の美しさ」という観点では今回選考した他者より少し劣るものの、声そのものが持つ迫力・存在感の強さ、スケールの大きさに関してはJ-pop史上の女性ボーカルの中でも最高レベルでしょう。どんな曲を歌わせても「彼女の曲では」と思ってしまうような個性・魅力があると思います。 特に個人的に「絶対領域」と称している中低音域での歌唱に悶絶させられました。 最近は絶対領域に頼ることなく、高音域でも声の魅力を損なわず、さらに多種多様の曲種を様々な声音を駆使して歌いこなせるようになるなど歌い手としてまだまだ進化・成長していますね。4位:柴田淳 聴いていてうっとりさせられる美しさが彼女の声にはあると思います。高音・低音問わずその伸びやかさと情感たっぷりの歌唱・声質は、やや演歌的なスローテンポのバラードで比類なき美しさがありますね。説得力ありすぎ!! 歌の上手さ、歌唱技術の高さ両点のバランスの良さ・魅力に関し現時点では業界最高レベルでしょう。3位:熊木杏里 歌唱そのものに技術的な凄さがありませんが、繊細さと透明感に満ち満ちた弱弱しい声質が、彼女自らが作り上げた思考且つ孤高の楽曲と詞ととをこの上なく魅力的なものとします。何者にも媚びない気高さをどことなく感じるのもいいですね。「とにかく歌唱・声質の魅力に強烈に惹かれて・・・」ではなく、気づいたらいつの間にか抜け出せなくなっていた・・・。そんな危険な魅力が彼女の声にはありますね。2位:OLIVIA 私的エイベックス最高最強アーティストであり、「四大前衛系」の一人であるOLIVIA。 小悪魔的な危険な魅力と甘さ・妖しさとを振りまき聴き手を惑わしたかと思えば、一方で「天使が降臨」したかのような厳粛で神聖な雰囲気を携えた声を聴かせ、聴き手を萎縮させる・・・。それだけでなく圧倒的なエナジーとシャープさとで聴き手を叩き潰す・・・。そのあまりに変幻自在の声音には、彼女の持つ様々な魅力や精神状態がそのまま憑依しているかのようですね。美しさ・凄み・シャープさ・恐怖さの演出において彼女の声・歌唱には全く隙がありません。聴いていてイッてしまいますわ。 余談ですが4月5日から始まるアニメ版「NANA」でトラネスのレイナの歌の吹き替えをやるようで。エンディング曲も担当されるようです。カリスマボーカリストである原作の設定にばっちし合うと思いますね。ここ数年音沙汰がなかっただけに電撃的な復活劇はうれしいのですが、エイベックス的商業主義によって彼女の音楽性が汚されないかどうかとても心配です。しかし、本来の実力が出せれば、ナナの歌吹き替えをやる土屋アンナや、実写版に登場した中島・伊藤由奈の3名が束になってもOLIVIAには勝てんでしょう。1位:竹井詩織里 今回の「キングオブ声質」の栄冠はGIZAの竹井に。どこまでも伸びやかで気品や凛とした美しさがあり、それでいて聴き手を包み込むかのような温かみや、スケールの大きさのある歌唱の核となっている彼女の声質は、「これぞ美声!!」と言えるものがあるでしょう。聴いていて恍惚としてしまいます。 以前では少し弱かった低音域での歌唱も今では完全にモノにしており、完全無欠の歌い手へと日に日に近づいております。彼女の唯一にして最大の問題は、彼女の声・歌唱の魅力を如何なく引き出し、成長させる曲がないことですね。「GIZAのロイ・カーン」 と呼びますわ、これからは。 とうことで以上「超個人的声質ランキングバトン」でした。 どなたかこのバトンを受け取っていただける方がいらっしゃればお願いいたします。 「Start in my blog」のhyroさん、「適当日記」の秋さん、「style of my own」のアイデアルさん、「日本の歌姫」のリアノンさん、「凛の音楽日記」の凛さん、「クールの人間万華鏡」のクールさんのご意見を是非ともお聞きしたいところ。 もしお暇なときがあり、ご迷惑でなければ答えてやってくださいまし。
2006/03/10 14:54|バツ丸の戯言 |トラックバック:6 |コメント:14 |▲
今回から女性ボーカル編です。こちらはお勧めのアルバムも併記しますよ~。セコイですけど・・・。 海外女性に関してですが、今回このバトンに回答していて自分が如何に洋楽作品を聴いていないことが明らかになりましたね・・・。情けない。
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●海外女性ボーカリスト 1・カレン・カーペンター (EX:カーペンターズ) 私にとっての「最高の歌姫」。包み込むようなスケールの大きな歌唱と何者にも汚すことが出来ない気品と美しさと温かみのある声質は20世紀最高の歌姫と称すに足るものでしょう。今後彼女を超えるボーカリストは永遠に出てこないでしょうね。2・アニー・ハズラム (EX:Renaissance) 英国が生み出した史上最強の女性ボーカルプログレグループのボーカリスト。私にとっての「最高の歌姫」パート2。4オクターブの音域と田園風景の温かみ・広がり感を連想させる歌唱、天使ファルセットと悪魔のスキャットを自在に使い分ける声音の多彩さはまさに「歌の女神」としか言いようがありません。3・ジュリアン・リーガン (EX:ALL ABOUT EVE) 80年代に大人気だったニューウェイブバンド、オールアバウトイブのボーカリスト。歌唱技術はそれほどないですが、アイドル的なかわいさや甘さのある声質はとても魅力的。4・ソーニャ・クリスティーナ (EX:Curved Air) ルネッサンスと双璧を為す70年代名女性ボーカルプログレバンドCurved Airのボーカリスト。凄まじい美声とかではないですが、全編から漂う虚ろな美しさを携えた声質と、聴くといっちゃいそうな凄まじくダークでドラッグやってる的キレた歌唱に全身なます切りにされます。5・サンディー・ガンフィールド (EX:GÅTE) ノルウェーが生み出した新進気鋭のラジカルトラッド、プログレをやるグループ、ゴーテのボーカリスト。この人も凄まじい美声の持ち主ではないですが、声質の変幻自在さと切れ味の凄さにぶっ飛ばされますね。小悪魔らしいかわいさがあるのも大きな魅力です。6・アネク・ヴァン・ガースバーゲン (EX:ギャザリング) ゴシック四天王が一つ、ギャザリングのボーカリスト。とにかく伸びやかで力強い歌唱・声質が凄まじい。どの音域においても声の魅力が損なわれることはありません。7・リブ・クリスティン (EX:シアターオブトラジティー、Leaves' Eyes) ゴスクイーンと称された名ゴスボーカリスト。中世的な妖しさと気品、少女のようなかわいさを併せ持った声質は、この称号にふさわしいですね。8・Origa 菅野巨匠に見出されたロシアのボーカリスト。妖艶な声質に複数の言語を駆使する歌唱は天上界レベルですね。9・サラ・ブライトマン ま、このボーカルは反則ですな。10・タニア・トゥルネン (EX:Nightwish) 問答無用の迫力を持ったオペラ歌唱的声質にぐいぐいと押しつぶされます。えげつないです。 惜しくも選考もれはWithin Temptationのシャロン・アデル、Kate Bush、ジャニス・ジョプリン、キャンディス・ナイト(ブラックモアズナイト)、エイミー・リー(エヴァネッセンス)あたりかと。
2006/03/09 22:20|バツ丸の戯言 |トラックバック:0 |コメント:3 |▲
当ブログと相互リンク関係にあるRUBY CLAWさんの所から「超個人的声質ランキングバトン」なるものが回ってきました。 ルールは(RUBY CLAWさんの所から引用)1)現役・引退・生死・国籍・知名度・ジャンルは一切問わず、歌声の好きなヴォーカリストを男女それぞれ5名ないし10名ずつ選出してランク付けする。ただし、ブログの方向性次第では条件付でランク付けをしても構わない(例:邦楽メジャーシーンの現役女性ヴォーカリストのみ)。その際はその条件を明記すること。また、歌声の好きなヴォーカリストが5名ないし10名に満たなければ無理に選出しなくてよい。 2)あくまでもこれは声の好みを問うものであり、歌唱力等の要素は出来る限り加味せずにランク付けするよう努める。 3)番外編として、自分のブログが荒れるのを覚悟の上で、歌声の嫌いなヴォーカリストを挙げても構わない。ただし、この場合もあくまで声の好みだけで選出するよう努めること。 4)エントリーのタイトルは「超個人的声質ランキングバトン」とする。 5)バトンのお約束で、可能な人は他のブロガーさんに回す。 とのこと。 本日はパンライブ鑑賞で音楽が聴けないことから、中継見ながら作成しました。 全ジャンルごちゃ混ぜのものは出来ませんので、海外男性、海外女性、邦楽男性、邦楽女性の4つに分けます。 とりあえず思いつくままに回答しました。なにぶん鳥頭なんで大事な人を忘れている可能性があります。「この人入っていないよ~、忘れているよ~」と思われる方がありましたら、遠慮なくご指摘ください。速攻でランク変えるかもしれません(泣
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●邦楽男性ボーカル編 1・原田真二 男性1位はこの人。今では面影はありませんが、私が彼の曲を熱心に聴いていたときはまさに加齢知らずの「変声期前の少年の声」。その高音に憧れましたね。もちろん出せませんでしたが・・・。2・玉置浩二 かすれ気味でありますが、低音でも高音でもセクシーな声質は絶品。「ワインレッドの心」「恋の予感」「熱視線」「好きさ」での歌唱はもう悶絶モノ。当時物まねの定番でありましたが、何故かキモくなったんだよね。3・久保田利伸 伸びやかで力強く、本格的なR&Bシンガーにも劣らない歌唱は本当に素晴らしかったですね。彼がいなければ平井堅も出て来れなかったと思います。4・草野マサムネ とにかく天まで届きそうな高音に圧倒されましたね。特に「ロビンソン」ですが・・・。裏声でも歌えんですよ。スピッツの曲をキー変更なしで歌えたら本当にかっこいいと思う。女の子もいちころさ!!5・カールスモーキー石井 「浪漫飛行」をはじめ悩ましい歌唱にうっとりデスね。私が若かりし頃は、久保田・石井両名の曲を如何に上手く歌いこなせるかが、人に対し自分の歌の上手さを誇示する何よりの命題でございました。 惜しくも選考もれは鈴木雅之、藤井フミヤ、小田和正あたりかと・・・。●海外男性 (英語苦手につき、人名表記・グループ名表記に関しカタカナが多くなりますがご了承ください。)1・フレディー・マーキュリー (EX:クイーン) やっぱり1位は彼っきゃないですわ。暑苦しさや男臭さ溢れるハードロック・メタルの世界に貴族的優雅さや繊細さを持ち込み、その世界観を一変させた功労者。どこまでも伸びやかで、それでいて力強く表情豊かで崩れを知らない彼の歌唱は、キングオブボーカリストと言うに足るものだと思います。2・ロイ・カーン (EX:Conception、Kamelot) 恐らく現時点で歌唱技術・声質・表現力・柔軟性に最も秀でた歌いてではないだろうか。HMの世界に身をおいてはいるものの、その歌唱はフレディーの後継者とも言うべき美しさと高貴さとに満ち満ちています。とにかく聴いていて「惚れる」歌唱。メタル云々を超越していますね。 但し、余りに凄すぎる歌唱が故に曲が彼の歌唱に全く追いついておりません。彼の歌唱すべてを引き出せる作曲家がどこかにいないものでしょうか。3・スティーブ・ペリー (EX:ジャーニー) 「Open Arms」で聴かせる、高音でも全く勢いや力強さが落ちない声量の豊かさと惚れ惚れとする美声っぷりに脱帽。4・ドン・ヘンリー (EX:イーグルス) 「ホテルカリフォルニア」での哀愁漂う声質・歌唱はもう涙・涙・・・。一生聴き続けていられます。5・サミー・ヘイガー (EX:ヴァンヘイレン) とにかく「若造お断り!!」と言わんばかりの渋すぎる歌唱に悶絶。アルバム「バランス」収録の「Don't tell me」の歌唱・声質がその中でもダントツ一番ですね。聴いていて「もう私をどうにでもして・・・」と思ってしまいます。 6・ポール・マッカートニー (EX:ビートルズ) 永遠に残る名曲の数々での表情豊かな歌唱に引き込まれます。個人的に「ミシェル」での歌唱が・・・(号泣7・ジェフ・テイト (EX:クイーンズライチ) どの音域においても歌唱・声質が全く崩れない屈強の技術が凄まじい。メタルボーカリストの醍醐味すべてが彼の歌唱にあります。今の若いメタルボーカリストにも見習っていただきたいですね。8・エドワード・ボーヴィンガ (EX:ELEGY) 鼓膜が破れそうなくらいに切れ味のあるハイトーン歌唱に驚愕。元ハロウィンのマイケル・キスクすら凌駕していましたね。9・ティム・クリステンセン (EX:DIZZY MIZZ RIZY) 歌唱力に秀でているわけではないですが、ソフトで甘い声質と少しの郷愁をかもし出すメロディーとの相性が素晴らしかったですね。10・ビリー・ジョエル 「永遠のピアノマン」である彼の歌唱・声質は、「HONESTY」「ストレンジャー」といった悲しい曲、哀愁漂う曲で存分にその魅力が発揮されますね。最高音より少し低いところでの歌唱が秀逸。 惜しくも選考もれは、ジェフ・スコット・ソート(EX:インヴェイ、タリスマン)、マイケル・キスク(EX:ハロウィン)、ミカエル・スタンネ(EX:ダーク・トランキュリティー)、ゲイリー・パーデン(EX:MSG)、ロブ・ハルフォード(EX:ジューダス・プリースト)、マイケル・フレクシグ(EX:ZENO)、トミー・ハート(EX:フェアウォーニング) あたりかと。 女性ボーカル編に続きます。
2006/03/09 21:26|バツ丸の戯言 |トラックバック:0 |コメント:2 |▲
・評価:75点/100点 新春の邦画作品として恐らく最も話題となっている作品であろう今作。意外と評判が良いこともあり見に行ってきた。 昔は洋画一辺倒であったが、今ではその質の低さと、それに反比例するかのように良質の邦画作品が結構出てきたこともあり、今ではすっかり邦画ばかり見るようになった私。 ただ、今の邦画の良作は総じて恋愛モノか感動モノ、青春モノばかりで、年齢・性別などを問わず楽しめる娯楽作品があまり多くないのが、数少ない不満点である。邦画業界の課題でもあるだろう。 だが、この「県庁の星」は久々の「良質な娯楽作品」と言える作品であった。
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成績優秀で将来を嘱望されている県庁のエリート公務員野村(織田裕二)。(地方公務員でエリートと言うのもなんだか・・・だが・・・)。婚約者はゼネコンの社長の娘、200億もするビックプロジェクトを手がけ、それによって更なる出世を目論むなど、まさにエリートならではの順風満風の人生を送っていた。そこにあるのは文字通りの「輝かしい未来」であるはずだった。 しかし、そのプロジェクトの本格始動の前に、このビックプロジェクトの踏み台に過ぎぬ「民間企業との人事交流」の一貫として地元のスーパーに派遣され研修を受けることとなる・・・。 だがそこは、不採算店が故の厳しい人員カットからろくに裏方の整理も惣菜作りも出来ていない3流スーパーであった。当然店員のモチベーションは低い。挙句の果てに、研修担当者はずっと年下のパート二宮あき(柴咲コウ)。彼が生きてきた世界では全く考えられない非常識なことばかりがここにはあった・・・。 「どうせ短い間の研修。真剣にやる必要はない」「仕事のことを分かっちゃいない」といったいい加減で敵対的な感情をお互い持っているが故に当然良好な関係が築けるはずもなく・・・。 しかし、それですまなくなるような事情がお互いに生じてしまう。 野村の方は自ら立案したプロジェクトからはずされ、さらに婚約者にもふられ、一夜にしてプライドと自分の居場所・生きがいを失くしてしまう。一方の二宮も、消防官と保健衛生局の職員が抜き打ちで店頭チェックに来たことにより、一気にスーパー閉店の危機と対峙させられることに・・・。 ここで状況打開・自分という存在の確認のためのお互いの知識と存在が必要となったのである。そしてスーパーの大改革が始まる。それを通して二人は自分に欠けていたもの、大事なものを見つけていく・・・。 以上が大雑把なストーリー。話としては深みも取り立てての面白みもないのだが、映画としてのつくりが非常にしっかりしているので安心して見ていられる。公務員・スーパーそれぞれの登場人物たちの軽快なセリフ回しも良く途中で観客を飽きさせない。序盤から中盤にかけての見所であろう、秀才や頭の固いお役人にありがちな「融通のなさ」「マニュアル第一主義」と「客商売の常識」とのギャップを浮き立たせたお約束のギャグは、わかってはいるがおもしろい。 また、巨大な公共事業と一般人との関係や公共事業の問題を、2グループに分けての弁当売上げ競争で示した演出もとても上手かった。また、脇役を固める俳優たちの渋い演技も冴えていて良い。どっからどう見てもスーパーの店員としか思えないようなはまりっぷり。見事だ。 主役二人の演技についても触れておかねばならないだろう。 まず織田の方だが、非常に良かったと思う。エリート公務員という役柄に合っているかどうかに関しては疑問があるが、とにかく一挙一投足まで考えぬいたであろう役作りと、全く迷いのない堂々たる演技が素晴らしい。まあ、途中階段で泣くところやプロジェクト建設予定地で寝ているところなどの演技は、少しそのクササが鼻についたが、少なくとも「踊るシリーズ」でのふざけ気味の演技よりははるかに出来が良かった。いったいこの人の自信はどっから来るのだろうか・・・。 柴咲に関しては、演技は上手いとはいえないが、とにかくスクリーン通しての存在感が凄い。「髪がこんなに長くてスタイル抜群のパート店員なんていない」「こんな目つきが鋭い店員はいない」「こんな強烈な存在感を発する店員はいない」などと思わず突っ込みたくもなってくるが、長澤まさみや宮崎あおいらと同じく、技術よりも自らの魅力で押し切った今回の演技は個人的には高く評価している。 実際にスーパーにいそうな脇役らと、どうひいき目に見ても現実にいそうにない雰囲気を出している織田と柴咲・・・。このミスマッチ感がひょっとしたら今作の一番見所なのかもしれない・・・。いい意味での「作り物」的おもしろさがこれによってうまくでている。主役がきちんと作中で立っているという点に関しては完璧。 ただ残念なのは、野村がプロジェクトからはずされた説明が少し足りなかったことと、見せ場であろう他のお役人・公務員とのやり取りが少なかったことか。また「2」を意識したのではと思しき「あっさり」としたラストにも評価が分かれるところであろう。 しかし、総じて万人にお勧めできる娯楽作品。ご家族や彼氏・彼女と春休みを利用して是非見に行って頂きたい。
2006/03/08 00:22|映画評 |トラックバック:0 |コメント:0 |▲
いや~ついに3月になりましたね~。仕事のこと考えると鬱になりますgが・・・。体調も良くありませんし・・・。 それはさておき今月に入ってからというものの、管理人の音楽熱が一気にヒートアップ&変化しております。 管理人は一度ある方向へと動き出すと、次に興味・関心のある何かを見つけない限りひたすらそれに突き進むという悪い癖があります。 今回は今、バツ丸がはまりにはまりそうになっている音楽=現在予約中の作品について書いていきましょう。 また、その時によく参照している雑誌についても書いていきます。
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今回注文したのは以下の3作品。簡単に解説をつけて行きます。
メロディックゴシックメタル、プログレッシブメロディックデスメタルの最高峰グループOpeth(オーペス)の8thアルバム。男性ボーカル。
最近めっきりメタル熱が冷めている私。今月の「BURRN」内、2005年総評のところで何名かの編集委員が「ベスト10アルバム」に選出し、その中でも今の私に最も音楽観の近い奥野氏の「ZEPやパープル、クリムゾンが好きであるなら・・・ロックやプログレが好きであるのなら何が何でも聴いておくべき」「2000年代最高の1枚」との文章(たぶん、こんな感じ)に感化され速攻予約。
う~む、何だかよく分からんが凄そう。下記URL(HMVですが)で試聴できるが、はっきり言ってこれで作品を理解するのは無理。
試聴はこちら カナダ出身の2人組女性ボーカルグループ。ヴォーカル・ハーモニー、ケルト・ハープ、ピアノを中心とし、その他にも管弦楽器をはじめ数多くの楽器を盛り込んだ「ケルト・フォークの伝統とクラシックを融合した神秘的音楽」を行っているらしい。レビューを見るに、あまりに深遠であまりに美しく、もはや「悠遠の領域」に達しているとのこと。
音源が全くない状態なので音楽性が全く想像できないが、楽しみでならない。
こちらはアメリカの3人組女性グループ。中世音楽やケルトに傾倒した、何ともはかなく、何とも美しくそれでいて優雅な音楽を奏でている。以下のURLで何曲が試聴できるが、その中でも「Lionheart」には圧倒された。モロ好み・・・。たまらん。
試聴はこちら 日本の女性ボーカルももちろんいいのだが、やはり時には洋楽で「最強アーティスト」を探したくなってくるもの。その際に参考、というか「聖典」とも言えるものが以下の2雑誌だ。
上はBURRN1997年5月号。表紙は「ブラックモアズナイト」の活動を始め1stアルバムを出したばかりの頃のリッチー御大。この作品においてルネッサンスの「Ocean Gypsy」をカバーしていることから、
「ロック×(フォーク/トラッド/+クラシック)=?」 と題し、ルネッサンスを筆頭としたケルトやフォーク、トラッドからの影響を受けた女性ボーカルプログレやフォーク・トラッドの名アーティスト、名盤が多数紹介されている。
現時点において、最強女性ボーカルグループとして君臨し続けているRenaissanceやCurved Airや、ニューウェイブの人気グループAll About Eve
といったアーティストとの出会いはすべてこの号がきっかけとなっている。今回購入する上記の2作品に関しても、この号で紹介されている。まさに最強女性アーティスト作品の宝箱とも言うべき内容だ。
下は1998年4月号。こちらは女性シンフォニックプログレ・メタルグループであるラナ・レーンの当時の最新作の発表に合わせ、
「ロックシーンを飾った歌姫たち」 と特集が組まれた。
こっちは、上の号に比べ紹介アーティスト数・アルバム数は少なく、RenaissanceとCurved Air中心の構成であるものの、かなりマニアック。未だに紹介されているアーティストの殆どがわからない。しかし、この号がなければ、史上最高最強の夢想歌姫、Kate Bushや最高のブルースロッカーであるジャニス・ジョプリンに興味を持つことはなかっただろう。
今、この両号がシンコーミュージックに残っているかどうかは分からないが、もしこの文をご覧になった方で「最強最高の女性アーティスト」を求めているのであれば、取り寄せる価値は十二分にあると思う。
2006/03/07 00:50|バツ丸の戯言 |トラックバック:0 |コメント:0 |▲