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映画評~「ミュンヘン」~評価が難しい映画だな・・・日本人には

・評価70点/100点


言わずと知れた、近代オリンピック史上最大の不祥事である「ミュンヘン事件」を扱ったスピルバーグ監督映画。といっても、事件そのものではなく、事件後にテロ事件の首謀者・実行者に対するイスラエル報復計画とそれを具体的に行ったメンバー、その中でもリーダーである人物の人間性や苦悩を主に描いたものである。いわゆる社会派映画。


監督であるスピルバーグはユダヤ系であるが、作品は決してイスラエルよりではない。それどころか、かなり人間くさいアラブ人の描写や残酷さを見せるユダヤ人の描写、ユダヤ人に批判的な描写があるなど、どちらからも距離を置いた淡々とした描き方に、中東諸国やイスラエルで賛否両論渦巻き、しゃれにならない事態になっているらしい・・・。


ただ、どうなんだろうか。こういうノンフィクションに近いフィクション作品の場合、評価が難しい。

まあ、事件そのものが考えさせられるものであるから、やはり面白くはあるのだが・・・。

戦闘シーンや爆破シーン、殺戮シーンに関してもお見事。さすがはスピルバーグとも言うべき見事さで、その迫力・凄みに関しては文句なしに素晴らしい。極力「いかにも映画的な大げささや派手さ」を排し、あくまで純然とした暴力表現に徹しているのが好結果に繋がったと言える。


また、報復計画に従事しているメンバーの人物描写も見事。

最初は愛国心とアラブ人テロリストに対する復讐心に満ち満ちており、テロ首謀者・実行者以外に被害者を出さないよう完璧な計画を立て、それを見事にこなしていた。しかし、だんだんと報復行為に対する社会的な扱いが大きくなり、敵側にも報復メンバーの素性が知れ、追う側だけでなく追われる側にもなるにつれ、完璧な計画や鉄のようなメンバーの意志に狂いが生じてくる・・・。

だんだんと計画がずさんになり、全く関係ない人まで殺したり、傷つけたり、挙句の果てに味方が死んだりしてしまう。さらに、敵を殺せど殺せど、次々と際限なく新たな敵が出てくる状況がメンバーを精神的に追い詰めていく。そういった不安を払拭するためにメンバーはより一層狂気と暴力とに走るという究極の悪循環がここに完成する。

しかし、同時にそれは、報復任務に対する疑問・不信をもメンバーに感じさせるに至った。「自分たちは正しいのか」「正義はどこにあるのかと」「敵も味方も愛する家族がいる血の通った人間」と・・・。


淡々としていて、且つ放映時間の長さから時々たるみがちになるが、丁寧でしっかりとした作りもあり、実に見ごたえがあった。だが・・・。


今作の唯一にして一番の問題は、「歴史的事件とは言え、何故34年も前の事件を今取り上げたのか」との問いに答えられていないことである。つまり、この作品を通してスピルバーグが何を言いたかったのかがイマイチはっきりとしないのだ。


例えば、公文書公開があったり、どっかしらから「極秘資料」が見つかったりするなどして、今まで公になっていなかった「歴史的事実」を映画を通して見せたのであればいいのだが、今作にはそれがない。某組織が事件に関わっていたことを匂わす描写が少しあるものの、それは「衝撃的」と言うに値しない。大方の鑑賞者は知らなくても、社会情勢や歴史に関心がある人であるのなら、大概は知っているであろうことだから・・・。

かといって、淡々と且つ良くも悪くも中立的な立場に徹した描写もあり、「凄惨だ」ということ以外に際限なき復讐・憎しみの連鎖に対する強烈な批判性や啓蒙の提示があるわけでもない。

まあこの点に関しては、「あえて主義主張を盛り込まないことで映画的な面白さが増した」とか、「この事件を知らない若い人に関心を持ってもらう導入的役割を果たした」とかと好意的な意見もきっとあることだろう。だが、個人的には釈然としないものがあった。あえてラストをぼかしたのにも不満。

とは言え、全体的には良く出来た作品のように思う。

但し、イスラエルVSパレスチナという対立構図やその理由を、宗教的な対立による戦争や土地を追われ祖国を失うという経験のない日本人が(沖縄や北方四島に住んでいる人は別)中々理解できないこともあり、さらに内容の重さ・暗さもあるので、「スピルバーグ作品だから」との理由で安直に見に行くのはやめたほうがいいだろう。上映時間が2時間50分ぐらいもあることから、見に行く際にはそれなりの覚悟が必要だ。





こちらは今作の原作本。より深くこの問題を考えたいと思っていらっしゃる方にお勧めです。


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2006/02/12 20:14|映画評トラックバック:1コメント:0

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ミュンヘン
凄い映画だ。「プライベート・ライアン」の最初のノルマンディー上陸のシーンを、「オーシャンズ11」で少しだけ薄めたような映画である。これほど衝撃的な映画は、なかなかない。
シカゴ発 映画の精神医学 2006/03/05(日) 09:31

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