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読書日記~正義の刃は誰に向けられる?~その1

●東野圭吾 「さまよう刃」 (朝日新聞社) 49点/50点



最近、「容疑者Xの献身」での直木賞受賞、「白夜行」のテレビドラマ化と勢いに乗りつつある東野圭吾の大傑作作品の一つ。「白夜行」と同様、東野作品のみならず、ミステリー史上においても屈指の社会派ミステリー作品である。

実は今作の書評は「歌姫バカ一代」からの使いまわし。とは言っても、なんと「歌姫バカ一代」では管理人の実力不足と怠慢とがあり書評を完成させてはいなかった。もはやどなたも覚えておられないだろうが、個人的にずっと頭に引っかかっていたので、今回この場を利用して、過去の分を含め「完成版」というべきものを作成することに決めた(そう宣言でもしない限り永久に書くことはないだろうし・・・。)。

というわけで、今回はそのときに書いた分を公開する。かなり長いがこれでも終わりではない。恐らく2・3回になる予定。すいません。




東野圭吾は、すでにデビューして20年年近くと、もうベテランといってもいいミステリー作家。デビュー当初こそ、古典的ミステリーの流れを踏襲する作品を多々書いていたが、わずか数年後の80年代後半から既に、従来のミステリーが当然としてきたお約束である、「ダイイングメッセージ」「密室トリック」「探偵が事件を解決」「館監禁・孤島」のあり方や、あまりにも現実とかけ離れた作風のあり方に辛らつな批判を繰り返したため、業界から睨まれる問題作家となってしまった。

その一方で、単なる批判にとどまらず、多くの作品を通して、自ら呈したその批判への回答となる革新的といってもいい新機軸のミステリー小説を提示してきた業界の革命者でもある。非現実的で子供騙しのトリックに代わり、彼が小説を通して示したのは、人の感情の動き、物語としての精緻さ、時代性、社会性、リアルさ、斬新なテーマ、そしてそれらをもっての読者への「問いかけ」である。歴史的傑作であり、戦後ミステリー小説の金字塔と認識している「白夜行」(1999年)以降、この側面を一層強め、もはやミステリー小説の醍醐味たる犯人あて・謎解きといった要素は微塵もなくなってしまった。しかし、従来のミステリーにはない、圧倒的なストーリー性と感動と緊張感とをもたらしたといえるだろう。横山秀夫や伊坂幸太郎や「このミステリーがすごい」で賞賛を受けた作家が書く、マンネリズムと奇抜さと幼稚さばかりが目立ち、さらにナルシスト的要素も強く、しかも作品としての論理性にも面白みにも欠ける「バカミステリー・ゴミステリー」作品が跳梁跋扈する今のミステリー会において、常に良作を送り続ける東野は、自分にとって「ミステリー会のガーネットクロウ」といってもいい存在となっている。いつまでも奇抜さや古典的要素に支配されている作家など、彼の影を踏むことすら敵わないだろう。その差は縮まるどころか年々広がってきている。


天才ともいうべき彼が、最新作である今作で扱った主題は「少年犯罪」「復讐」「法律問題」。それらが織り成すことによって構築された今作は、この時代を象徴する最高傑作の小説ということができるだろう。


この本を読んでいてつくづく思う。表題のように、「正義の刃は誰に向けられているのか」=「法律はいったい何のためにあるのか」「犯罪被害者の心の傷は誰が癒すのか」ということを・・・。

このテーマを、「レイプされた挙句無残に殺された少女」の父親が犯人に復讐しようとする行為を通し、鋭く読者に問いかけた作品である。時代性という点では「白夜行」「幻夜」からの、「復讐」「殺意」や人の悪意や醜い感情を描いている点では「殺人の門」からの、人間の作り上げたものに振り回される(ここでは法律や社会制度、文化・風習)点では「分身」「変身」からの影響を感じさせると共に、各々の要素に関しさらに磨きがかかったといえるのではないだろうか。もはやそれは神がかっているといってもいい。


主人公は中学3年生の娘を持つ男。妻を早くに失ってしまったため、それ以降娘と2人で生活していたのだが、世の多くの父親がそうであるように、娘の急な成長振りとそれに伴うすれ様々な違いに戸惑い、悩みつつも、娘を信じ日々を堅実に過ごしていた。娘からどう思われようとも、娘の成長こそが主人公の生き甲斐であったからである。しかし、突然当たり前の日常に破滅が訪れる・・・。

夏休みの恒例行事といえる花火大会に友人と行ったきり帰ってこなかった。そう、それが娘との永遠の別れ・・・。かねてからクロロホルムで眠らせ拉致した上で集団レイプを繰り返す少年たちの餌食となった挙句、数日後無残な姿で川から発見された。

こういった作品にありがちな残虐な描写やエロな描写は極力抑えられてはいるが、それとは対照的に、事件の前後における少年たちの、現代人の病理を高密度に凝縮したかのごとくの秀逸な心理描写に引きずり込まれずにはいられない。特に人をレイプし殺してしまったことに何ひとつ悪いと思うどころか、「死体が見つかってうぜえ」ぐらいにしか思っておらず、「いかにして責任逃れしようか」と姑息なアリバイ工作をなめた態度で考えている描写を前に、主人公の犯人に対する怒り・憎しみと完全に一体化し、「こいつら死刑」「ぶっ殺す」と口走ってしまうこと請け合いだろう。そうなってしまったが最後、続きを読みたいと思う気持ちをとめることができなくなる。そう、その時点で東野が仕掛けた罠に完全にはまってしまっているのである。そこから、主人公を中心としつつも、犯人の少年、事件を追っかける警察官、事件を報道するマスコミ、主人公と同じく娘をレイプされ殺された家族、自分の子供が悪いことをしているのを重々承知していながらも「自分の子供は何も悪くない」と思い込む加害者の家族、司法や少年法の問題点、などなど様々な人の感情や制度が交錯する壮大な物語が展開される・・・。


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2006/03/30 01:05|読書評トラックバック:0コメント:0

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