バツ丸のエンタメ問答

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映画評「天使の卵」~良作ではあるがストーリーや演出面で不満あり

・評価: 70点
(原作の「ラスト」に特に思い入れのある人は50~60点くらい。原作未読の人は75点くらい)


書店勤務という立場と年間100冊以上は本を読むこともあり、「いい作品」「面白い作品」と思える作品との出会いはそれなりにある(とは言え、音楽に比べると遥かに少ないし、駄作に出会う比率が高いのだが)。しかし、心に鮮烈な印象や感動を残し続ける、それこそ生涯大事にしたいと思えるほどの素晴らしい作品はと言うと、当たり前であるが殆どないのが実情である。今回評を書く「天使の卵」は紛れもなくその素晴らしい作品の一つに数えられるものである。設定、ストーリー、文章・・・。この作品を「すばる新人賞」に選出した選考作家のコメントにあるようにそのどれもにおいて「凡」である。しかし、凡な作品では決して得ることが出来ない鮮烈な印象と涙が零れ落ちそうなほどの感動がそこに確実に存在する・・・。何故なんだろう。

今作の主題は、「愛する人との別れとその悲しみ」という、ここ数年におけるエンターテイメント界の主流となっている「純愛系・お泣かせ系」の定番とも言うべきものであるが、今のそういった作品と今作とでは、比べるのが馬鹿らしくなってくるぐらいに登場人物の感情表現のリアルさ丁寧さなどに関して差がありすぎるからであろう。凡に徹しながらも、登場人物の確かな生き様や感情が確かに息づいている彼女の文章や作風は、そうであるが故に読み手の心を捉えて離さない・・・。まさに村山文学の真骨頂。

今や直木賞を取り、人気女流作家の一人になっている彼女であるが、今作はその地位をもたらすきっかけとなった作品であり、素晴らしい作品が多い村山作品の中で今尚「最高傑作」の一つとして称されている作品であるのだ。私は今作を読んで彼女の熱心なファンとなった・・・。だからこそ、今作に対する想いには並々ならぬものがある。人気作家の作品の安易な映像化が横行する映画業界・ドラマ業界・・・。そういった流れを受けての今作の映像化に関しては、はっきり言って不安感や不信感、そして怒りしか感じるものがなかった。村山作品ならではの繊細で丁寧な描写が映像で再現できるようなものだとは思えないからだ。だが、一方で主役である春姫を演じることになった小西真奈美に関しては「ハマり役なのでは」との気持ちもあった・・・。

村山作品に対する思い、小西真奈美ファンとしての立場・・・、そういった様々な思いを抱えながら今作を見に行ったのであるが・・・。








<あらすじ>

美大入学を目指す19歳の浪人生、一本槍歩太(市原隼人)。彼には既に文系の大学に行った器量よしの夏姫(沢尻エリカ)との交際も順調で、後は無事大学の試験に合格するだけだった。

ある時、満員電車の中で偶然であった美しい年上の女性(小西真奈美)に心惹かれてしまい、彼女のことが頭から離れなくなってしまう・・・。彼女にもう一度会いたい・・・。そんな気持ちを抱えながら後の日々を悶々と過ごしていた・・・。だが、精神を病んで精神病院で入院している父を見舞いに行った際、そこで思いもかけず彼女~五堂春妃~との再会を果たす。新しく父の主治医となったのである。彼女目当てで今まで以上に病院へと橋を運ぶようになった歩太・・・。何かにつけて彼女に話しかけるにつれ、より一層彼女への思いを募らせていく。

しかし、8歳もの年の差、そして何より彼女は夏姫の姉でしかも結婚歴のある女性・・・。そうそう簡単には事を運ばせない様々な障害が厳然と存在していた。だが、ある出来事を通じ、お互いが似たような境遇に居、同じ心の傷を抱えていることを知ってから急速に2人の距離は縮まっていき、愛を深めていく・・・。悩み傷つきながらも気がつけば二人はお互いへの思いを抑えることが出来ないまでになっていた・・・。だが、そのことが、2人の運命をとんでもない方向へと導いていく・・・。


<感想など>

エンドロールこそ、歩太を演じた市原や春妃を演じた小西の名が先に出てくるが、歩太&春妃が主役で夏姫は脇役の原作とは違い、沢尻演じる「夏姫の視点」~しかも物語の世界から4年後のそれ~で物語を振り返る形となっている。原作未読の人にとっては恐らく「主役は夏姫」と思うのではないだろうか・・・。それぐらいに彼女の露出が多い。

しかし、映画版ならではのこの演出が今作の評価・出来に少なからず影響を与えている・・・。

今作に関してはあくまで「歩太と春妃の恋愛」が主軸との認識があるので、要所要所で夏姫の回想が押し出されたこの演出方法は、作品の流れをぶった切っているように思え、良いとは思えない。それは今作の10年後の世界の物語を描いた「天使の梯子」でやっていることでもあるので・・・。何故あえて「今作から4年後」の世界を劇中に盛り込む必要があるのか・・・。見る限りにおいてそうするう意味をあまり感じられないでいる。今作原作に思いいれのある人程、よりそう思わずにはいられないだろう。

また、夏姫の露出が多いことにより、相対的に歩太と春妃の交流場面が少なくなっていたのも気になるところ。時間的な制約のある映画なので仕方ない面もあるが、やはり2人の関係を考える上で重要となる場面・セリフは一つでも多く出してほしかったように思う。私のように原作を精読している者であればいいのだが、今作を始めている人にとっては、何故両名が惹かれあったのかの理由がイマイチ判然としないことだろう。よって、作中人物への感情移入を妨げてもいる。

そして、このこと以上に「ラスト」の変更にこそ、この演出方法による顕著な弊害が出ているのが物凄く気になった。

そう、原作ファンにとって、何で今作のファンになったのかの一番の理由は、あまりに痛々しい某人物からの非難の言葉を経ての、あの鮮烈にして衝撃的なラストがあるからだろう。個人的にも読み進めるうちに積もり積もった感動があのラストの1ページにおいて一気に爆発し、涙したことを昨日のことのように思い出せる。

だが、ネタバレになりすぎるのであまりここでは書けないのだが、作中において極めて重要であろうはずの何故●●が●●●のか、その●●●ことの持つ意味に関し、映画版では殆ど語られていない。さらに悪いことに、本来は歩太と夏姫の●●の物語が付け加えられる始末・・・。今作においては、歩太は●●してはいないのに・・・。ヤフーの映画評において今作の評価平均が3点を割るなど極めて低い評価となっているのは、総じてこういった点が、特に原作のファンにとって容認できなかったからだろう。もちろん、個人的にも×。

思うにこのような作りになってしまったのには、映画公開日翌日に放送される「天使の梯子」の存在があったからだと考えられる。原作においてすら、本来は続編が出るはずではなかった作品に、無理やり続編を作ったことによる弊害が出ているので(*小説「天使の梯子」を私はあまり高く評価していない)、それが映像化によってさらに増幅されたと言える。何とも居心地が悪い。


さて、役者に関しても述べておこう。

歩太を演じた市原に関しては、当初の予想通りちょっと暑苦しい印象が否めなかった。ルックスは端整でいいのだが、どうにも口調や声質、さらには演技が全体的に暑苦しくて・・・。原作の歩太に関しては「通常はクールだが、春妃の前ではアツい奴」とのイメージがあるので、違和感が少なからずあった。

一方の夏姫と春妃であるが・・・。前者を演じた沢尻は、個人的にはかなりはまっていたと思う。天真爛漫でちょっぴり我侭で、それでいて寂しがりやでもある夏姫のキャラを沢尻はその見事なビジュアルと演技力とで演じ切れていた。今年彼女は数多くの映画やテレビに出演しているが、現時点で今作が一番出来がいいのではないだろうか。ただ、彼女に4年後の世界~女教師を演じさせたのは、少し無理があったが・・・。

春妃を演じた小西に関しても、「他に居ない」と言える位にはまっていたと思う。若者が憧れるに足る「妖艶でいて儚い魅力を有し、さらには心に傷を抱えた女性」をこれ以上ない、というくらいに演じられていたのではないだろうか。モノトーン調の映像、白基調の映像で映し出される彼女の美しさは思わず息を呑んでしまいそうだ・・・。もちろん、演技に関しても全く不満はない。改めて小西真奈美という希代の女優の凄さを思い知らされた次第。
それにしても、まさかあんなシーンがあるとは・・・。市原よ、うらやましすぎるぞ!!

まあ、役者に関しては概ね良かったと思う。しかし、既に述べてきたように演出や脚本面での問題が、そういった良さを削いでしまっていたように思う。

以上の点から考えるに、説明不足の点が多々あれど、原作を読み込んでいない人の方が楽しんで見ることが出来るのではないだろうか。原作ファンの方は見に行く際にある程度の覚悟が必要かと思う。





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2006/10/21 18:53|映画評トラックバック:1コメント:2

コメント
原作は存じてます。
>バツ丸さん
 書店に勤務だったんですか初めて知りました。
 今回のレビューですが私、原作は読みました。確か、もう10年くらい前の作品ではなかったでしょうか?
 活字が苦手な私でも物語の世界に入り込めた素晴らしい作品であったと記憶しております。今回、実写化されたんですね。
 原作と実写版とストーリが同じであればバツ丸さんがいくら内容を伏せても私には見え見えです。(笑)
 >それにしても、まさかあんなシーンがあるとは・・・。
 もしや、あのシーン? だとすればオレが変わりたいですね。(笑)
 >「ラスト」の変更にこそ・・・
 ラストが原作と違うんですか?原作の内容だからこそあの作品の意義と言うものがあると思うのです。主人公の男性にはかわいそうですが。
 小西さんは私も好きな女優さんです。(*^_^*)
 駄レスですみませんでした。

 
ライト #dHR2KU3g|2006/10/23(月) 11:03 [ 編集 ]

うらやましいっす
>ライトさんへ

一応書店に勤めています。ダメ店員ですけど。原作は約10年ほど前ですね。

これは紛れもない名作だと思います。

この前の土曜日から公開されています。ストーリーは最後を除きちゅうじつですし、大筋が代わるわけではないので、伏字部分は分かる人にはわかります。

不必要にあんなシーンが多いです。コニタンがあそこまでやるとは思いもしませんでした。私も代わりたい。

ラストの変更は今作の良さを低減させていますね。残念です。続編の「天使の梯子」を意識したが故の変更なのでしょうけど。
バツ丸 #-|2006/10/25(水) 00:19 [ 編集 ]

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沢尻エリカ【沢尻エリカ画像・動画・壁紙】 2006/10/22(日) 00:35

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