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映画評「父親たちの星条旗」~迫力満点でセンスの良い反戦映画

・評価:80点
(但し、あくまで暫定且つ今作のみに対する評価。「硫黄島からの手紙」と2部作になっているので、最終的な評価はこちらの作品鑑賞時に記す。)

*今作はかなり描写がゲチョグロなので、食後直後の鑑賞やそういうのがダメな方は要注意!!







<あらすじ>

日米戦争において日本の敗色が色濃くなりつつも、より熾烈さを極め始めていた1945年・・・。アメリカにとっては護衛戦闘機の配備、緊急着陸基地の確保によって長距離爆撃の効果を上げるため。日本にとっては本土防衛の最終ラインとして、硫黄島(作中では「いおうじま」と呼称されているが正式には「いおうとう」)は重要極まりない拠点であった。

よって、米軍はこの島攻略のため圧倒的な物量と人員の投入とに余念がなかった。そういったこともあり、当初戦闘はたった「5日」で終わると予想されていた・・・。

事実、島の海岸線が見渡せる戦略上の重要拠点である「摺鉢山」を5日で攻略し、そこに「星条旗」を立てることに成功する。戦況は圧倒的に米軍有利かと思われた。

しかし、着実に島を攻略しながらも、日本軍の頑強な抵抗にあり、すぐには戦争は終わらず、死者と戦費を際限なく増やす壮絶な状況に陥っていた・・・。それはアメリカ本土にも大きな影響を与え、人々の間に疲弊感や戦争に対する嫌気を蔓延させてもいた・・・。

だが、「星条旗」を摺鉢山山頂に突き立てる6人の兵士の姿を捉えた写真がアメリカ国民を一気に熱狂させる(この写真はピューリッツァー賞を獲得)。しかし、この星条旗を突き立てた行為は実は「2度目」であり、いわゆる「やらせ」に近いものであったのだが・・・。

この盛り上がりを見た政府は、星条旗を突き立てた兵士を前線から本国に呼び戻し「英雄」に仕立て上げ、国民の戦意高揚や戦費調達のため全米各地を回らせる「広告塔」としての役割を負わせた・・・。

しかし、既に星条旗を突き立てた6人のうち3名は、その後の過酷な戦闘により死亡。それでも政府は「事実」を歪曲し別人を「当事者」として起用するなどなりふりかまわない強引な手法で戦費調達キャンペーンを推し進めていく・・・。英雄に祭り上げられ、本国に呼び戻された3名の兵士にとって、人々、特に戦死者の遺族に対し「嘘」を平然と、しかも爽やかにつき通さなければならない状況は、戦場とは全く違う過酷さに満ちており確実に彼らの心身を蝕んでいく・・・。

戦友への思い、家族への思い、母国への思い、戦争への思い、国家権力の恐ろしさ、群集心理の恐ろしさ、戦争の恐ろしさ・・・。そういった様々な恐怖や矛盾を抱えながらも、彼らは「道化」を演じ続けた・・・。



<感想など>

第二次世界大戦の末期である1945年の2月18日から3月22日にかけて行われた戦いで、同大戦における数々の戦闘の中で最も激烈さを極めたと言われている「硫黄島の戦い」を、この戦いに参加し、星条旗を擂鉢山に突き立てたがために「英雄」扱いされ、戦費調達の広告塔として悲しくも国家・政府に振り回された3名の兵士の視点・心理を通し表現すると共に、さらにはその残酷さやそれさえも利用する国家権力の恐ろしさを表現した作品である。よって、いわゆる「ドンパチ」の描写に主眼を置いた戦争映画とは違い、「プラトーン」のように一般兵士の視点を通して描いた戦争映画によくあるように「反戦色」が極めて強い。

しかし、今作と他の反戦作品との決定的な違いは、その描写においてねちっこさすら感じさせる「反戦描写」「政府批判」が殆どないことである。イースト・ウッドはド迫力且つゲチョグロ残酷な戦闘シーン、「ミリオンダラー・ベイビー」で見せた人間の内面に鋭く迫る重厚なストーリー、そして、彼ならではの痛烈でいてシャープな批判性をして、見事に戦争そのものの虚しさ。さらには、一見「愛国心」や「国旗」の重要さを見せているようで、実はそういったものが「愚かな幻影に過ぎない」ということを鮮やかに示した。この3つの要素のバランス及び対比の上手さたるや秀逸と言う他ない。

戦闘シーンに関しては、CGを多用しているもののそれが故の安っぽさや軽さは微塵もない。惜しみなく投入された人員と資金、それに立脚する素晴らしい音響とリアルな描写が戦争映画史上屈指と言える完成度で見ているものをひきつけずにはいられない。今作を見てしまうと、ここ数年で公開された日本の戦争映画~「亡国のイージス」「男たちの大和」「戦国自衛隊1945」といった作品はもはや子供だましにしか見えない。戦争映画におけるアメリカと日本の映画界との圧倒的な実力・ノウハウの差というものを嫌でも認識させられる。

しかし、これと同じくらい、いやそれ以上に素晴らしいのは残りの2つの描写である。

特に痛快だったのは、冒頭わずか数分において、今までのアメリカ軍を描いた戦争映画の表現主題である「アメリカは兵士を決して見捨てない」をあっさり否定したことである。それは、アメリカという国家の本質に対する果敢な批判であると言える。


歴史、特に戦争に関するそれにおいては、歳月の経過による戦争当事者の死亡・高齢化に伴う「記憶の風化」もあるが、同時にそれが、戦争当時には明らかになっていなかった、ないしは隠されていた「真実」を明らかにするのを促進させる場合もある。特にアメリカが関わる戦争史の場合、それによって明らかになるのは、アメリカという国家が有す本質的な暴力性・残忍さ・狡猾さ、そして恐怖である。

アメリカは、自国の国益~国の基幹産業である石油産業や軍需産業に代表されるそれ~やそれに関わる特権階級のためには他国民のみならず「自国民」の命すら平気で犠牲に出来る国家である。「アメリカは兵士を決して見捨てない」という言葉に反し、既に進藤栄一の「敗戦の逆説―戦後日本はどうつくられたか」、本多勝一の「「真珠湾」からイラクまで― アメリカ式謀略戦争の実体」、ロバート・B・スティネットの「真珠湾の真実 ― ルーズベルト欺瞞の日々 」などで明らかにされているように、真珠湾では何千人もの兵士を日本の攻撃を予見できているにも関わらずアメリカ国民の戦意高揚のために見殺しにし、ベトナムでは勝利のために枯葉剤をばら撒き、イラク・アメリカ戦争(断じて「湾岸戦争」とは言わない)ではウラン弾をうちまくって放射能漬けにし、さらには「9・11テロ」ですら事前に予見できていたのにあえて攻撃をさせた説が出てくるなど、これらことを裏付ける証拠はここ数年において数多く出てきている。この硫黄島戦に関する一件もこのことを示す顕著な一例だと言える。しかも戦況に関し優位な状況にあってすらこういったことをするのがアメリカと他国との大きな違いであろう・・・。


最近になって明らかになった真珠湾攻撃の真実や原爆投下の真実を見ていてつくづく思う・・・、「アメリカに戦争をしかけた(仕掛けられた)ことは近代日本における最たる過ち」であると・・・。

かなり話がそれてしまったが、今作は改めてアメリカが建国以来常に持ち続けている暗黒面を再認識させてくれるものであろう。今の日本はすっかりアメリカの属国と化しているが、今作を見て少しでもそういった状況が如何に危険であるかを認識していただけたらと思わずにはいられない。

果たして来月公開予定の、日本側の視点から「硫黄島戦」を描いた「硫黄島からの手紙」がどのような仕上がりになるか、とても楽しみだ。
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2006/11/01 22:40|映画評トラックバック:0コメント:0

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