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映画評「手紙」~犯罪と贖罪について考えさせられる佳作

・評価:80点
(*原作既読。但し、内容はかなり忘れている)

今日、雨の中朝早く起きて見に行ってきました。ね、ネムイ・・・。しかし、その甲斐あってか予想よりもはるかに空いていてのんびりと鑑賞できましたね。









<あらすじ>

兄、武島剛志(玉山鉄ニ)と弟、直貴(山田孝之)は早くに両親を亡くして以来、お互いを支えながら必死に生きてきた。生活のために早々と学業から身を引き、肉体労働に従事している兄は、それが故に元々頭の良い弟に少しでも学問を修めて欲しいと、身を削って働いてきた。しかし、皮肉にもそのことが彼の腰を蝕み、リストラという最悪の事態を招いてしまい、無情にも彼を追い詰めていく・・・。

弟の大学進学費欲しさに金持ちの家に盗みに入る剛志・・・、しかし、「あること」で躊躇してしまったがために、家の者に姿を見られてしまい、もみ合った末に不幸にも相手を殺してしまう・・・。当然、殺人犯という極めて重い罪で剛志は府中の刑務所に収監。弟の直貴は、必然的に大学進学を諦めることとなり、決して待遇や就労環境がいいとはいえない工場作業員として働くことになる。お笑い芸人になるのが彼の夢であったが、「凶悪な殺人犯の弟」という厳然たる事実が、就職・仕事・恋愛・対人関係といった様々な人生の重大局面に影を落とし、彼を絶望と屈辱にまみれさせ続けた・・・。

そんな彼の状況・心境を全く知らないまま、剛志は毎月欠かさず彼にとりとめもないことを書いた「手紙」を直貴に送り続けた。そのことがより一層直貴のぶつけようのない怒りを増幅させていく・・・。しかし、どこに逃げても、何をしていても、「殺人犯の弟という事実」からは逃れることは出来なかった。そして、この事実が、彼にとって極めて重要であろう事を見失わせてしまった・・・。


<感想など>

「ゲームの名は誘拐」「宿命」「変身」などなど、意外にも映画化されている東野作品。しかし、その従来のミステリーとは完全に一線を隔した特殊でありながらも極めて普遍性のある作風・設定であるが故に、その映像化は尽くロクな結果にならなかった。今作に関しても、「この深くて重い作品性を映像化するのは無理」。さらには主要人物を山田孝之・沢尻エリカが演じていることもあり、「ドラマ版タイヨウのうたと一緒じゃねえか」、との考えしか持てなかった。だが、結果はその逆で、中々の良作であったと思う。


話は、一言で言えば、「犯罪と贖罪、人とのつながり」について極めて深く・重く、考えさせられるものである。重大な犯罪を犯した者の親族がどういう目にあわされるのかや、そういった人物に対する世間一般の心理、人と人との関係・血縁といったものを非常に丁寧に描き、鑑賞者に「答えなど出ようがない深くて重い問い」を投げかける点は、「人の死や病気」、「非現実的な設定」を安易に乱発して楽に「泣き」や「感動」、「ウケ」を取ろうとしているここ何年もの邦画や韓国映画、テレビドラマや小説らとの決定的な違いであると言えよう。ナルシズムと時流追随しかないこれら作品とは違い、東野作品は「人と社会」ときちんと向き合い、それらをきちんと描いているのである。

また、非常に重くて暗いテーマなれど、随所に作中人物に助け船を出しているのも、今作の大きな特徴である。直貴をずっと影から支え続けてきた女性由美子(沢尻エリカ)の存在、被害者の長男(吹越満)との対話、極めて少数ではあるが理解を示してくれる会社関係者・・・。実際はそうそう都合よく行かないのだろうなと思いつつも、そのことが決してマイナス評価にならず、「人とのつながりの大事さ」「人をもう少し信じてみよう」との気持にさせられる。完全に救いようがない展開にしない、適度な映画的展開をも盛り込んだバランスの良さは、絶妙と言えるのではないだろうか。

監督の見事な手腕もあり、原作にあるこういった作品性や深みに関し全く損なわれていない。原作との一番の違いは、主人公直貴の設定が「ミュージシャン志望」から「お笑い芸人志望」に変えられていたことであるが、このことがラストにおいて原作以上の感動をもたらす要因となった。まさか、こういった流れで来るとは・・・。演出も決して「泣かせよう」とするための過剰さやあざとさを見せず、適度な抑制を効かせ、確実に話を締め、盛り上げていく・・・。見事だ・・・。そして、それに答えた俳優達の演技もまた見事であった。


通常、今作のような社会的な内容で且つ極端に登場人物が少ない作品の場合、通常の映画以上に役者の演技・魅力が重要となってくる。ストーリーや演出が良くても役者が良くなければ、すべてがパアとなってしまう。だが、今作で主要人物である剛志・直貴・由美子を演じた玉山・山田・沢尻の3者は、山田以外の2者に関しては「かっこよすぎて・綺麗過ぎて」、原作キャラのイメージからかなり逸脱していたものの、気持ちの入った堂々たる演技は本当に素晴らしかった。山田・沢尻コンビに対する不満を持っていた人も、両者の演技を見ればそれは確実に霧散するだろう。

だが、意外と言ったら失礼であるが、今作で一番健闘したのは、玉山であろう。特に最終場面における彼の演技は非常に良かった。「え、彼っていい俳優だったんだ」ときっと多くの方が思うのではないだろうか。「NANA」をはじめとした今までの彼の出演作品では全く見ることが出来ない新たな魅力である。


今作は作風が故に、決して見ていて楽しい映画とか、デートムービーに最適な映画とかというわけではないが、犯罪と贖罪、人とのつながりについて大いに考えさせてくれる素晴らしい作品である。お決まりで安易な「お泣かせ映画」に辟易している人に見ていただきたい作品だ。

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2006/11/11 17:50|映画評トラックバック:0コメント:0

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