バツ丸のエンタメ問答

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映画評「紀子の食卓」~バツ丸は小シネ映画が苦手?2

・評価:60点
(今作鑑賞前に「自殺サークル」をご覧いただくことをお勧めします。管理人は見ておりません)



ちょっと間が空きましたが、小シアター系映画評第2弾です。








<あらすじ>

島原紀子(吹石一恵)はまじめで大人しい平凡な女子高生。地方新聞の記者をやっているやさしい父徹三(光石研)、絵が好きでおしとやかな母、ちょっと生意気だが明るくかわいい妹ユカ(吉高由里子)の家族4人でのどかな田舎で生活していた。物凄く豊かではないが、不幸からは程遠く、これといった深刻な問題もないどこにでもありそうな平凡な一家族・・・。

しかし、そういった「見かけ」とは裏腹に、紀子は田舎での生活や家族との関係に不満や苛立ちを感じていた。何より、そう思いつつもそれらから抜け出せない自分自身を腹ただしく思っていた・・・。

ひょんなことから、学校の情報室で「廃墟ドットコム」というサイトを見つけた彼女は、「ミツコ」というHNで書き込みを続け、そこで知り合った人々こうした悩みを打ち明けていた。

「この人たちなら自分を理解してくれる」「本当の自分を出せるかもしれない」と思った紀子は、ある日家が停電した時に家出を決行し、「廃墟ドットコム」の掲示板の中でもリーダー的役割を果たしていた「上野駅54」を頼りに東京に向かう・・・。そして上野駅で「上野駅54」を名乗る女性クミコ(つぐみ)と出会う・・・。

クミコは「家族サークル」というレンタル家族会社の経営者。紀子は彼女に引きずられ、「ミツコ」という名でレンタル家族の仕事をすることになる。最初は戸惑い隠せない紀子であるが、様々な状況や人々との間で「娘」役を演じる自分が求められていることに充実感を得るようになっていた・・・。既に彼女は「紀子」ではなかった・・・。

一方、残りの家族は紀子の失踪に心を痛めていた。妹のユカは、ある日新宿で起きた女子高生54人の集団自殺のニュースにおぼろげながら姉の存在らしきものを感じとり、事件の謎解きと姉の行方を捜すために東京へと向かう。

家に残された父と母。娘の失踪に責任を感じた母はユカの失踪2ヶ月後に自殺。平凡そうな家族の瞬く間の崩壊・・・。悲しみと怒りに打ち震えた父は、執念で娘たちが失踪した理由を探すうちに、ユカと同じく、「廃墟ドットコム」「自殺サークル」「家族サークル」にたどり着く。そして彼も、娘をこの手に戻すために東京へと向かうのであった・・・。



<感想など>

今作は、何気ないことがきっかけで完全崩壊する家族及びその崩壊への道筋と再生。生まれたときにコインロッカーに捨てられたが故に自分が何者かを知らないレンタル家族経営者の、家族や血縁といったものに対する憎しみなどを通し、現代の家族関係、人間関係及びその希薄さ、自分探しといったものやその問題をかなり辛らつにあぶりだした作品である。

「個性」だの「自分らしく」だのといった言葉があらゆるところで喧伝されまくる現代社会。しかし、どう思おうと、実際には人は人の集まる集団の中で生きており、その中において何らかしらの役割を与えられ、それに即した行動をとる。父・母・娘・息子・兄弟・教師・社長・学生・キャプテン・評論家・彼氏彼女などなど・・・。まるで何かの役を演じるように・・・。各構成員が暗黙の了解で自らの役割を演じているからこそ、家族や会社、社会というものが成立可能となる。家族はその中でも最小の集団である。
(社会学において家族は最小の集団単位とされている)


このような役割規定は、人それぞれの「アイデンティティー」の土台でもあるが、一方で人を著しく追い詰め、傷つけ、疲弊させもする・・・。過労死するまで働いてしまうサラリーマンや、暴力彼氏・夫に殴られ続ける彼女・妻、子供を虐待する親などはその典型であろう。また、演じる役割がなくなることによる弊害も凄まじい。定年退職後燃えつき症候群になってしまう男性などもまたその典型である。


今作での島原家は、暗黙の了解で「幸せな家族」を演じていた。両親はそのことに関し無自覚で、それこそが「幸せ」と思っていたが、娘たちはそうではなかった。各々の認識のずれが家族関係に亀裂を生じさせ悲劇をもたらす・・・。


娘たちは「本物の家族」から逃避し、レンタル家族会社に依頼する人物と社の構成員とによる「虚構の家族」に取り込まれていく。傍から見ると、レンタル家族内で行われる会話や行動は如何にも嘘っぽいものであるが、当人たちにとっては、そこで与えられる役割に魅力・生きがいを感じているが故にこの上ない安らげる場所となっている。虚構が現実を侵食し、虚構にしか魅力・生きがいを見出せなくなる・・・。虚構こそが彼らにとっての真実・リアルであるのだ。これらはネット全盛の現代における重要テーマであり問題でもあろう。

監督は「家族関係」に焦点を当てることにより、こういった問題に鋭く切り込み、鑑賞者にも厳しく問いかけていく。「あなたはあなたの関係者ですか」と、「本当のあなたはどこに居るのか」と・・・。


今作のこういった主題設定は非常に面白くあったのだが・・・。ただ如何せん、その演出や構成に難があったように思う。



今作は、「紀子」「ユカ」「クミコ」「徹三」の4パートに別れ、「クミコ」までの3パートが最終的に最終パートである「徹三」のパートをして収束する構成になっている。上映時間も3時間近くと、邦画としては異例の長さだ。が、そのうちの2時間近くを占める、紀子演じる吹石とユカ演じる吉高の怒涛のモノローグ及び、頻繁にカットが変わりすぎる画面構成がとにかくうっとおしくて仕方がない。

特に前者に関しては、映像や役者の演技があった上でのモノローグではなく、モノローグに即して映像や演技を合わせているかの有様を見せる。余りにも饒舌過多。このような手法に馴染めない人にとっては、開始からの2時間は地獄でしかないだろう。私も退屈さと睡魔との激闘であった。

また、「自殺サークル」の話や「新宿駅女子高生54人集団自殺」の話が随所に盛り込まれるものの、「家族関係」を主としているはずの今作においてその必然性があまり良く理解できなかったのも問題だ。まあ「自殺サークル」を見ていないが故の認識かもしれないが・・・。なまじ上記の話が、血がいっぱいのグログロ描写であったので、よりこのことが気になって仕方がなかった。


ただ、徹三が執念で娘たちを探し出し、対面するところを描いた最終パート「徹三」に入ってからは俄然面白くなった。本当の家族がレンタル家族として集まり、それぞれの役割、つまりは「本当の家族での役割」を必死に演じる・・・。「幸せになろう」との一心で娘を取り戻そうとやっきになった徹三にとって何と痛烈な皮肉であろうか・・・。鍋を囲む場面のシュールさ、怖さ、おぞましさ、迫力に関しては、今まで見てきた映画の中でも最上級の印象であった。この終盤1時間近くがなければ、今作はそれこそ10点や20点レベルの評価になっていたことだろう。

もう少しモノローグを押さえ、余分な映像や話を廃していたら、かなりの傑作になったのではないだろうか。



さて、俳優の演技に関してだが・・・。
主役を演じた吹石は、本当はかなりの美人であるが、今作でのやぼったさや、虚構に自我を侵食される様の演技は非常に良かったと言える。ただ、映画に欠ける意気込みが少し空回りしたのか、全体的に演技がやや固かったのが気になったところ。

だが、それ以上に、今作でキーパーソンとなるクミコを演じたつぐみ(小柄で華奢であるがかなりエエ体をしている。てっきり10代後半か20歳前後かと思いきや、76年生まれの30歳だとは・・・。恐ろしく童顔だ)や、妹のユカを演じた吉高の魅力と演技に押されていたように思う。

吉高に関しては、しゃべりこそ今時の10代らしく「フニャフニャ」であったが、そのかわいさと存在感溢れる演技は今作出演者の中でも圧倒的だった。今の10代の女優でここまで鮮烈な印象を残すものは殆ど居ないのではないだろうか(成海・福田・大後ぐらいか・・・)。何とも恐ろしい逸材。日本の映画界は彼女を大切に大切に育てていって欲しいと思う。
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2006/11/30 01:21|映画評トラックバック:0コメント:0

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