バツ丸のエンタメ問答

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「BOOK OF THE YEAR~2006年」

先回で「アンチ総評」関係が終了したので、これからはまともな総評をどしどしやっていきます!!

第一弾は「本」!!

例年と同様「文芸部門」「非文芸部門」の2項目で大賞・次点作品を選出していきます。





●文芸部門


・大賞:真保裕一 「栄光なき凱旋」 小学館


栄光なき凱旋 上 栄光なき凱旋 上
真保 裕一 (2006/04/17)
小学館

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栄光なき凱旋 下 栄光なき凱旋 下
真保 裕一 (2006/04/17)
小学館

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真珠湾攻撃から始まった日米戦争や、それに翻弄された、「アメリカ人として扱われず白人達から差別され、一方でアメリカ生まれであるが故に日本人扱いもされない日系人」の壮絶な生き様・苦悩を通し、戦争や社会の残酷さや愚かさ、人種差別や文化差別を行う人間の醜さ、人間の尊厳は何かといった様々な問題・事柄を、アメリカ側の視点・日本側の視点・日系人の視点を盛り込みつつそのどれにも安易に組することなく、最新の歴史学説を踏まえた上で完璧に描ききった壮大な人間ドラマ。希代のストーリーテラーにして設定の鬼である真保の作品の中でも間違いなく最高峰の作品であろう。

主人公の3人は完全にフィクションであるが、しかし、そうとは思えないほどのリアルさや心に圧倒的に迫ってくる臨場感に引き込まれずにはいられない。「パールハーバー」という世紀のクソッタレ映画では決して味わえない感動・深み・重みがここにある。



・次点 東野圭吾 「赤い指」


赤い指 赤い指
東野 圭吾 (2006/07/25)
講談社

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上記真保同様、元はミステリー出の作家であるものの、近年は謎解きの要素が皆無の社会派ミステリーを出している東野。その彼の人気シリーズの一つ「加賀恭一郎シリーズ」の最新作とも言うべき作品。

後半の謎解き面で少し納得いかないところがあるが、今作は、「手紙」で示した「贖罪の問題」、「さまよう刃」で示した「加害者・被害者を取り巻く問題」「醜い人間心理」、「殺人の門」で示した「殺意の醸成」といった彼が主題として盛り込んでいった社会問題・人間感情といったものをより突き詰めた作品だと言えるだろう。昨今世間をにぎわしている少年による凶悪犯罪の問題をこれほどまでに正鵠に捉えた作品はないように思う。奇を全くてらわず、真正面から難題に取り組み、さらにはそれを読者にあざやかに突き立てる様は、陳腐なれど「天才」としか言いようがない。

安易な感動や簡単に答えを与えてくれる作品が、いかに薄っぺらでつまらないものであるかを今作が明確に教えてくれる。




・村山由佳 「夢のあとさき~おいしいコーヒーのいれか方10」


夢のあとさき―おいしいコーヒーのいれ方〈10〉 夢のあとさき―おいしいコーヒーのいれ方〈10〉
村山 由佳、志田 光郷 他 (2006/05)
集英社

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もはや女流作家の重鎮と言ってもいい村山の出世作シリーズ最新作。相変わらず読み手を魅了してやまない繊細な感情表現と人間心理の本質を突いた言葉の数々はすばらしい。こんなに平凡な設定とストーリーで何でここまで惹かれるのか・・・。まさに「凡の非凡」。

今巻で劇的に動いた勝利とかれんの関係が今後どうなっていくのか・・・。




●非文芸部門


・大賞 中野麻美 「労働ダンピング」 岩波書店

労働ダンピング―雇用の多様化の果てに 労働ダンピング―雇用の多様化の果てに
中野 麻美 (2006/10)
岩波書店

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巷では「景気回復」だの、「いざなぎ景気を超えた」だのと言われているが、企業の業績とは違い、一向に回復するどころかより悪くなっているのが人々の就労環境だろう。正規の社員を減らし派遣やバイト・パートでの置き換えによる「薄給」「福利厚生なし」といった搾取が常態化している。一方で少数化された正社員を苛烈な能力主義・成果主義に晒し、人間的な生活をおくらせない長時間労働や過剰な仕事量を労働者にもたらしている責任をすべて「自己責任」「能力が足りない」と労働者に転嫁する始末。日本を代表し、1兆円を越える業績を上げているトヨタにおいても、労働者を「モノ」や機械の部品の一つのようにしか見ない風潮が益々強まっているのは、今の日本企業社会の象徴であると言える。それどころか、より企業が労働者を好き勝手に出来るよう、様々な圧力を政府にかけ、さらに政府がそれに応じているというのが、紛れもない日本の実体だ。
しかし、この「大人が大人をイジメ続けている」と言えることは、今深刻な問題と化している子供のいじめや学力低下、非婚・少子高齢社会の加速の根本的理由であろう。今の日本は民主主義でも官僚主義でもなく、明らかに「企業主義社会」。

この作品はそのことを、鋭い筆致を持って厳しく批判したものである。著者はまだ若いのだが、明快且つ論理的で分かりやすく、それでいて時折怒りや憤りを織り交ぜたその文章にグイグイ引きこまれずにはいられない。まだきちんとした労働経験のない若者・学生はもちろん、既に社会人として一線で働いている人すべてに読んでいただきたい屈指の好著。



・次点:

橘木俊詔 「格差社会―何が問題なのか」 岩波書店

格差社会―何が問題なのか 格差社会―何が問題なのか
橘木 俊詔 (2006/09)
岩波書店

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今年の流行語の候補にもなった「格差社会」。今やこのことを主題として扱った本は数限りなくあるが、極力思想的なものや感情的なものを廃し、具体的なデータとそれに基づく論証で構成された今作はそれら書籍の中でもトップレベルの出来。

しかし、この著者が今作で示した「未来予想図」にこの先の日本がなっていくとすれば、日本はもう終わりだろう。最終章での著者の提言を1つでもいいから、政府には実行してほしいと思う。



・「人気女子アナ公式ファイル」 学習研究社

人気女子アナ公式ファイル 人気女子アナ公式ファイル
(2006/09)
学習研究社

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高木千佳子・杉崎美香・皆藤愛子・中田有紀・大石恵・松岡洋子・甲斐まり恵らフリーのアナウンス業を主とするタレントを擁す、日本最高最強の美女集団「セントフォース」の公式ガイドブック。彼女らの美麗な写真とインタビューを存分に堪能することが出来る。値段からは想像もつかないほど良く出来た本だ。女子アナファン、セントフォースファンならマストバイ!!



・井上勝生 「幕末・維新1」
幕末・維新 幕末・維新
井上 勝生 (2006/11)
岩波書店

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この期に及んで、歴史的に極めて重大な事柄に関する学問的な定説や一般的な常識を覆す発見・事実が数多く出てきている。1192年とされていた鎌倉幕府設立が、既にそうではなくなっていることや、真珠湾攻撃・原爆投下の真相などは、その一つであろう。日本の歴史において非常に大きな変化を見せた幕末に関しても、どうやらこのことが言える様だ。

今の日本史教育がどうなっているかが良く知らないのでなんともいえないところもあるのだが、恐らくある程度以上の年齢の人であれば、「ペリー来航」やそれに単を発す鎖国解除~開国に対し、「無理やりさせられた」的印象があることだろう。このことをレイプに例えているのを目にしたことも何度となくある。

また、開国までにいたる日本とアメリカを始めとした諸外国との交渉に関しても、終始日本側が後手後手で稚拙、外国側がその逆との印象を持っている人も少なくないように思う。

しかし、この書籍で示された数々の資料を見るに、当時の幕府高官たちは、列強諸国の中国侵略以降、その当時の国際情勢や国際法・列強諸国の侵略状況をかなり詳しく研究し、近い将来来るであろう諸外国の日本来航及び、そこで出るであろう開国交渉にしっかりと備えていたことがよく分かる。

ペリーとの交渉においても、かなり弁舌巧みにやり込めており、アメリカ側の方が相当幼稚且つ強引で非常識であるのが、どうやら実情のようだ。当時の幕府高官は相当に優秀であったということだ。日本近代史において非常にネックになった「不平等条約」に関しても、アメリカに強引に押し切られたOR日本政府の弱腰というより、言語解釈の問題及びアメリカ側の詐欺的手法に騙されたがために成立した側面の方が強いようだ・・・。何とも酷い話だ。


今までの歴史観を当然と思っていたので、これらの説には大いに驚かされた・・・。

この書籍は全10巻予定の「維新史再考」シリーズの第1巻。残り9巻においてどのような説・歴史的事実が明らかになるかとても楽しみだ。
全巻を通して、第二次大戦におけるアジア侵略を正当化する一つの論拠になっている「幕末から連綿と続いた外交危機説~帝国主義諸国による日本の植民地化を防ぐために仕方がなかった」を覆していくようだが果たして・・・。

幕末史に興味のある人は必読だろう。
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2006/12/04 23:31|読書評トラックバック:0コメント:2

コメント

いや~凄いですねぇ・・・(・∀・)
音楽、書評などなど・・精力的な活動には敬服します。ただ書くだけでも大変だというのに内容が面白いから凄い。

今回も楽しく読ませていただきました。

東野の赤い指は読みましたよ。今年のベストセラーとなった手紙とかよりも
ハマりましたね~。手紙も悪くはないんですけどね。

手紙は彼の作品にしては大衆性が出すぎたかな・・犯罪や贖罪などのテーマや犯罪を犯した人だけを話題に出すのではなく身内・被害者を話題に出すとか、惹きつけるモノは確かにあったんですけどね~。う~ん、いまいち展開が(・∀・)
ゆきお。 #-|2006/12/10(日) 09:46 [ 編集 ]

お返事遅れて申し訳ありません
>ゆきおさんへ

いや、最近は更新ペースが下がりまくって歯がゆいです。

今の調子だと一日3記事くらい更新しても3・4年はネタに困らないくらいに書きたいことでいっぱいで・・・。

赤い指はやはり東野というべき面白さですね。

「手紙」は悪くないですけど、同じテーマの作品では、真保の「繋がれた明日」の方が出来がいいと思います。これはお勧めで今文庫でも出ていると思いますので機会があれば読んでみてくださいな。

手紙よりも、その内容の重さ・深さで「赤い指」の方が私もいいと思います。

しかし、ここ最近の彼の作品ではやはり「容疑者Xの献身」が一番でしょうね。
バツ丸 #-|2006/12/14(木) 23:11 [ 編集 ]

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