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映画評「かちこみ! ドラゴン・タイガー・ゲート」~これでいいのか?香港(中国)アクション映画界

・評価:55点


映画として面白くはあったものの、ジャッキー・チェンの新作「プロジェクトBB」に釈然としないものを感じた私。そういったこともあり、ジャッキーと並ぶ香港アクション映画界の重鎮で「カンフー天皇」と称されているドニー・イェンの新作である今作に並々ならぬ期待をしていた。Gyaoで組まれている特集で見ることが出来た「予告編」でのアクションシーンが非常に良かったことも、この思いに拍車をかけたと言えるだろう。

しかし、既に上記点数が示しているように結果は芳しくなかった。幼少時から香港アクション映画を大変ひいきにしてきた私にとって、非常に残念な結果と言う他ない。


今作の映画評を通し、自分なりに現在の「香港アクション映画」の問題について示していく。





<あらすじ>

行き場をなくした孤児達を引き取り、武術と正義とを伝道する由緒ある道場「龍虎門」。

ここで生まれ・育ち、武道の修行に励んでいるタイガー(ニコラス・ツェー)は、ある日仲間とレストランで一緒に食事にしている時、秘密結社“江湖”の連中の「あるもの」をめぐるいざこざに巻き込まれる。

長きに渡る修行で培った足技で組織の手下どもを次々に倒していくタイガーと、その戦いの最中知り合い一緒に戦うことになったヌンチャク使いのターボ(コン・ウー)。しかし、組織の手下どもと全く違う風格・雰囲気を漂わす一人の人物に2人はあっさりとあしらわれてしまう。だが、その人物こそ、かつてタイガーと生き別れた実の兄貴、ドラゴン(ドニー・イェン)であったのだ・・・。

タイガーも師匠もドラゴンに龍虎門に戻ってくるよう促す。しかし、彼は、母親を失って以降自分を息子のように育ててくれた江湖のボスに恩義を感じ、彼と彼の娘の傍でボディーガードとして仕え続けた。

しかし、ある日、江湖のボスの行いに不満を抱く巨大犯罪組織「羅刹門」が動き出しボスを暗殺する。そして、非道なる彼らの矛先は、この社会の「正義」の象徴である「龍虎門」に向けられる。門下生は必死に応戦したが、羅刹門のボス、シブミの圧倒的な力を前になす術なく倒され、師匠の命と道場の看板を奪われてしまう・・・。

羅刹門との激烈な戦いで瀕死の重傷を負ったドラゴン、タイガー、ターボの3名。打倒羅刹門のため、師匠の教えと龍虎門を守るために彼らは更なる強さを身につけ死の淵から立ち上がる・・・。羅刹門との最終決戦の火蓋がついに切って落とされた!!



<感想など>

原作は、地元香港では35年も連載が続いている国民的人気漫画だそうだ。日本で言えば、「こち亀」や「ゴルゴ13」、「超人ロック」のようなものか。

原作は未読なので分からないが、実写である今作を見た範囲で、かなり長い例えになるが強引に今作を説明すると、

「北斗の拳」や「魁!!男塾」のような「友情熱血に時におばかなノリを有した戦いモノ」という作風に、押井守作品のような「近未来SFの世界観を持ちながらノスタルジーを感じさせる映像とアメコミ的な原色を多用した映像やファッションを融合させたそれ」に、儒教的な思想を加えたアクション映画


とでも言えばいいだろうか。また、恣意的に曲解した珍妙な日本人や日本文化が当然のように登場するところは、タランティーノの「キル・ビル」にも通ずるものがあろう。率直に言って無茶苦茶、荒唐無稽。イロモノが嫌いな人であれば、絶対に避けたほうが良い。



だが、画面構成や世界観以上に無茶苦茶で荒唐無稽なのは、ストーリーとキャラ設定だ。これほどまでの長期連載の漫画をわずか2時間どころか、90分くらいの映画に押し込めたこともあってか、はっきり言ってストーリーも人物描写も全くもって不親切でよく理解できない。そもそも脚本や設定の雑さは香港アクションの一つの特徴であり魅力でもあるのだが、今作に関してはそのような言葉で片付けることは出来ないだろう。今作における話の性急さや強引さ、ご都合主義加減と比べると、「真・北斗の拳」シリーズや「新訳Zガンダム」シリーズのそれは「かわいい」と思えてしまう。タイガーとマフィアのボスの娘が出会う場面を始め、ストーリー展開やキャラ設定の大半は理解不能のまま終わってしまう。ドラゴンがあることであるキャラをぶっ飛ばしたのに、何事もなかったかのようにそのキャラが後の場面で出てきているのも・・・。

他にも、話の最終舞台が当然「羅刹門本部」であるのに、ボス以外誰も人がいないし、ドラゴン以外の2人はさして活躍せずあっさりボスに片付けられるし・・・、

「そういうもんだろう」と言われればそれまでなのだろうが、それでも「何なんだろう」と思わずにはいられない。


しかし、今までこの手の作品の映画評を書いたときに何度も言っているが、ストーリーやキャラ設定がいくらダメでも、肝心要の格闘やアクション部分の出来が良ければ、そうあれこれ文句を書くこともなかっただろう。結局このような不満を感じ上記採点結果になってしまったのには、アクション面に対する著しい不満があったからである。


冒頭のレストランにおける乱闘や、タイガーとドラゴンの対決場面では、従来の中国伝統的な武術アクションに現代的なかっこよさを加えた、「力強くそれでいてシャープ」なドニーならではのアクションが、ジャッキーやリンチェイ、リー師父作品にはない打撃の重みや痛み、暴力性をはっきり感じさせてくれる。そうであっても、細部まで意識が届いた所作もあり、どこかしら気品や風格すらにじみ出ているのは、ドニーのアクション俳優・武術指導者としての有能さを示していよう。

冒頭での鋭い手技や中間部分における棒術は、ほんと流石と言うべきものがあった。相変わらず凄まじい。


しかし、良かったのはその冒頭の場面だけであった。冒頭が素晴らしいので終盤はどれほどの素晴らしさを見せるのかと期待していたが、結果は全く逆。

これまた、「そういうもんだから」言われればそれまでなのだが、あまりにトリックに頼りすぎ。最後の戦いはもう完全に「X-MEN」や「スパイダーマン」、「マトリックス」、そして「少林サッカー」の世界。人の域をあまりに超え過ぎた戦いぶりは、娯楽の映画作品としての説得力すらなく、面白みもなく、見ていて陳腐さ滑稽さ、幼稚さしかなく見ていて苦痛でしかない。本格派であり、随一の肉体派でもあるドニーがこのようなアクション構成にする必然性を全く見出せない。冒頭場面や中盤の重要場面がそれほどトリック・CGを多用しておらず出来が良かったことから尚のこと疑問と不満とが湧き上がってくる。こういうのを見たければ何も今作など見ずに、ハリウッドが制作した「アメコミ」の実写作品を見ていればいいわけで・・・。トリックの使用を抑え、あくまで登場人物たちの身体能力や格闘能力を存分にいかしたつくりにして欲しかった。


世の中にはこういうタイプの映画を好きな人が数多くいるのも分かっているが、個人的には、ドニー・イェンのような本格派香港アクション俳優にこんなシロモノを求めてはいない。ジャッキーが老い、一方でひたすらガチンコ街道を突っ走る「タイアクション映画」の台頭もあり、香港アクション映画は危機に瀕している。それはドニー・イェン自身も今作に関するインタビューで述べている。だが、以前映画評を書いた「プロジェクトBB」のようなストーリー重視のアクション映画や、今作のようにトリックバリバリの映画が、このような状況を打開するものであるとは、個人的には全く思えない。期待が大きかっただけにほんと残念極まりない結果としか言いようがない・・・。


というわけで、最後に、この先の香港アクション映画がどうあるべきかについて記して終わりとする。

いろいろ考えた結果、香港アクション映画界が進む道としては、


1・トリックやCGをふんだんに利用し、映像美やストーリーや思想性重視を追求する
2・タイアクション映画と同様の「ガチンコ路線」



1は、「グリーンディスティニー」や「英雄」、「墨攻」のような作品を作り続けることである。中国伝統の、今をおいても世界一のワイヤーアクションと中国の大自然を大量に盛り込んだ美しい映像をして、「君主論」や「愛」といったテーマを表現していく・・・。

2は、かつてのジャッキーやドニー作品にあり、そして、今のタイアクション映画のウリになっている「NO CG」「NO ワイヤー」を突き詰めていく、ということだ。


しかし、率直に言って1は逃げでしかないだろう。一方2は、既にトニー・ジャーが「トム・ヤン・クン」において信じられないレベルのアクションを見せ付けたこともあり、同一路線で今作を凌ぐのは並大抵のことではない。現時点ではかなり非現実的であろう。

つまりは、1は言わずもがな、2の方法論に関しても、トニー・ジャー作品を越えられる目算が立たない限り(絶頂期のジャッキーやドニー・イェンレベル以上のものが出てこない限り)、中国映画界の窮状を救うものではない、というわけだ。


では、どうしたら良いのであろうか・・・。ここで私は第3の道を提唱したい。


それは、「ガチンコ路線」を柱にしつつ伝統のワイヤーアクションを「不自然」と感じさせない「効果的」な範囲で使用し、80年代のジャッキー作品のような娯楽作品としての面白さ、映像の面白さを追求する

ということである。


トニー・ジャーを筆頭としたタイのアクション映画は、「リアル」であるが故に凄いのだが、それが極まりすぎていることもあり、「暴力性」や「残忍さ」が前面に出てしまい、アクション映画の醍醐味である爽快感や楽しさに欠けがちという唯一の欠点がある。


つまりは、ここに上手くつけこむ、と言うわけだ。タイのアクション映画と同一路線を行くのでもなく、面白みや個性がないトリック路線でもなく、今まで培った伝統と技術とを如何なく生かしつつ、アクション映画としての面白みや新たな可能性を香港アクション映画界には追求してほしいと切に思う。

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2007/04/28 01:33|映画評トラックバック:0コメント:0

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