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映画評「腑抜けども、悲しみの愛を見せろ」~反清純・反感動系を地で行く作品

・評価:85点


「難病・闘病・奇蹟・死亡」が主題となっているバカ映画がはびこる邦画業界。そんな風潮に飽き飽きしていたこともあり、そういった風潮とは真逆を行く今作のストーリー、キャラ設定には密かに期待していた。


しかし、観賞前にチェックしたあの「キネマ旬報」での映画評において、4人の評者すべてが高く評価していたこともあり、頭の中で不安がよぎる。

インタビュー記事、公開予定の映画チェックをはじめとした各種情報収集、雑学養成といった観点からこの雑誌を毎号チェックしてはいるのだが、実は個人的にこの雑誌の映画評が物凄く嫌いなのだ。一般的な見解からかけ離れた論点がずれまくりのお高くとまった文章にも、★評価にも賛同できたためしが殆どない。こんなとろい評価・評論をしているからこそ業界が良くならないのだと、毎度毎度読んでいて感じずにはいられない。

だが、今回は初めてと言っていいぐらいに評者の意見と私の意見とがかみ合ったようだ・・・。





<あらすじ>


うだるような暑さで包まれた北陸のとある過疎村。そこで生活をしている和合(わごう)曽太郎とその妻加津子が、無残にも大型ダンプに轢かれ死亡した。

両名の葬儀の日、4年前に「女優になる」と言って東京に行ってから全く音沙汰がなかった娘の澄伽(佐藤江梨子)が少し遅れて帰ってきた。

両親は亡くなったが、後妻である加津子の連れ子で長男(兄)の宍道(永瀬正敏)とその妻待子(永作博美)、次女で澄伽の妹である清深(佐津川愛美)らとの久々の対面。


普通であるのなら、両親の死に悲しみつつも久しぶりに家族と再開したこともあり、家族同士でいろいろ積もる話をすることであろう。


しかし、この家族、全く以って「普通」「ありきたり」ではなかった・・・。


長男夫婦は新婚であるにも関わらず、長男である宍道側の「ある理由」によりセックスレスで、しかも、妻に対し昔の下女のような扱いをしている。

その妻である待子も一見理不尽な夫の暴力に耐える従順でおしとやかな妻にしか見えないが、腹の内では何を考えているのかよく分からず、時折不気味さすら感じさせる笑顔で変な歌を歌いながらシュールで気持ち悪い人形を作っている・・・。

長女の澄伽は、実力も何もないくせに自分のことを「才能のある女優」と勝手に思い込み、自分がビックな存在になれないのは、自分の魅力・実力を全く評価しない業界連中や社会が悪いと言い放つ超傲慢で自意識過剰な女。しかも、4年前、両親に女優になることも上京することも反対されたため、上京資金を稼ぐのに地元の金持ち同級生相手に売春までした。さらには、上京に反対した父親を怒りで理性を失ったとはいえ切りつけようとすらする始末。


そんな家族の様を1人冷静に見続けていた次女の清深は、体が弱く大人しいのだが、その風貌・言動のままの少女ではない・・・。漫画を描く特技・趣味もあり、一家の醜聞・痴態の一部始終をほくそえみながら「楳図かずおも真っ青な程の残虐でシュールなホラー漫画」テイストで描きあげ、出版社に投稿してしまう。何とそれが、新人賞を受賞し、少女ホラー漫画雑誌に題材的に掲載されることになった。

才能ある若き天才少女漫画家としての確固たる評価を清深は業界から得たものの、それと引き換えに村民から家族は馬鹿にされるようになり、姉の澄伽は逃げるかのように上京することとなった。家族が崩壊したのである。


葬式のために久々に家に帰ってきた姉の澄伽は、自分に恥をかかせた妹を未だに恨んでいた。「あんたが変な漫画描いてあたしをさらし者にしたせいで、演技に集中できなくなったのよ。あんたのせいよ。」と公然と言い放ち、清深に対する執拗で残虐な虐めを開始する。


姉の帰省により、両親不在の家族同士での、奇妙で不気味でねじれた交流が始まりを告げたのである。そしてそれはこの一家にとんでもない事態をもたらすのであった・・・。



<感想など>


今作を一言で言うなれば、「変な人間達の歪んだ交流劇」。ここ数年の、特に若手女優や男優が主役を張る映画で顕著であり、個人的にかなり批判している、「死亡・病気」が今作にもあるのだが、従来の作品との絶対的な違いは、それら設定・話が作品において毛ほども意味をなしていない・重要ではない、ということだ。冒頭で両親が事故死するが、誰も彼もそれを悲しんでいる様子すらなく、両親の死が本編と断絶している。清深の「喘息がち」という設定も、清深の外見や表向きの言動・行動からは想像もつかない真の人間性を浮き立たせるための単なる道具に過ぎない。


上記にあるように極めて簡単に説明できてしまう今作であるが、それでも2時間飽きずに見ることが出来たのは、とても凄いことなのではないだろうか?

それはテンポの良い展開や「清純・王道」とは一線を隠しすぎる設定・展開もあるだろうが、主登場人物らが持つ変さ・痛さとそれらの歪んだ感情のやりとりが妙に魅力的で面白いからだと思う。


今作の主登場人物は自分の変さ・おかしさにどことなく気づいていながらも、そうではない・まともなんだと思ってもいる。しかし、真の人間性を隠しようがなく・・・。ふとした時に、何かをきっかけにむくむくと「真の人間性」の出てくるところの描写が何とも面白く・・・。自分が全く影響を受けないのが明確でありさえすれば、他者の好奇心・挫折・不幸・おかしさ・変さといったことが、極めて優れた娯楽~特にのどかな田舎においては尚更~ということと、人は簡単には変われないということを今作は見事に示してくれる。


また、どうしようもないほどにわがままで愚かな姉澄伽ではなく、「脇役だろう」と思っていた妹の清深こそが、この一家の変さの象徴で、さらには今作の中軸を担っている点が意外で話を面白いものとしていたように思う。過去のこともあり、反省の姿勢を見せ、姉からの執拗な苛めに耐え続けながらも実は・・・ってところは、今作の一番の見所だ。


とにかく、各々のキャラクターが極めて立っていたのが良かった。そう思えたのも、その各々のキャラを演じる女優が外見のイメージ・演技共にはまったいたこともあろう。

サトエリに関しては、演技はお世辞でも上手いとは言えないが、抜群にゴージャスなルックスと、それ以上に自分自身が「演技が下手」ということをしっかりと理解し、開き直ったかのように堂々と演じきっているのは、大変好感が持てた。まあ、脱ぎっぷりが中途半端であったのは残念であったが、この人のスタイルの良さはほんと凄い。


しかし、真に凄いのは、このゴージャスなサトエリを圧倒的に凌ぐ佐津川と永作の演技・存在感に尽きる。

永作は、とにかく年齢よりも遥かに年下のかわいさを見せる笑顔を見せつつも、言いようのない不気味さを同時に放っていた様には圧倒された。変な歌を歌いながらシュールな人形を作っていくところは「怪演」と言うにふさわしい。このキャスティングは彼女以外に考えられないと思わせる強烈な説得力で満ちていた。


そして、今作の「肝」役を演じた佐津川も素晴らしかった。自分の持つ下世話な趣味を抑えよう抑えようと勤めながらも結局そうは出来ず、最後姉に止めを刺すところなどは気持ちよくて仕方がなかった。

(この両者の演技は、今年の「最優秀助演女優」の有力候補としてふさわしいと思う。)

長身且つスレンダーで圧巻の「ボン・キュ・ボン」スタイルでゴージャスな佐藤、一方小柄でムッチリでかわいいルックスの佐津川・・・。映像的にもキャラ的にも2人のあまりの相対称さは完璧。見事なキャスティングだ。


作風にクセがあるので、人によってかなり評価に差が出るとは思うが、清純・感動系の路線に辟易している映画好きの人には積極的にお勧めしたい1作である。
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2007/07/22 10:30|映画評トラックバック:0コメント:0

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