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映画評「母べえ」~山田監督、スベってますよ!!

・評価:65点
(最後の「あの」セリフがなければ75~80点。サユリストでもこの点と同じくらいかと。)


今日は「ヒトラーの贋札」と今作の2本観てきました。まずはこちらの評価・感想を書いていきます。


<22時50分 追記作成>




<あらすじ>

刻一刻と世界的にきな臭いご時世にならんとしている昭和15年の東京。野上滋(坂東三津五郎)、佳代(吉永小百合)、初子(志田未来)、照美(砂糖未来)の家族は、貧しくはあったが仲むつまじく毎日を過ごしていた。

しかし、その良き日々が突如一変する。文学者であり、反戦思想家でもある父滋が治安維持法違反で逮捕されたのである。


周りからの冷たい視線や夫不在の不安に苦しみながらも母べえである佳代や娘たちは、父の教え子である山崎(浅野忠信)や義理の妹である久子(檀れい)といった心ある人々に支えられながら、いつか帰ってくるであろう滋を待ちわびて日々を懸命に生きていた。ほんの少ししかない面会の機会と手紙とで近況・心境を報告することが、残された家族と滋との唯一の接点であった。

だが、家族のことを強く思ってはいたが、滋は己の信念を曲げることが出来ず、拘置所から出ることはかなわなかった。時は過ぎ、日本は戦争という泥沼へとはまっていく・・・。

そんな最中、野上家に思わぬ知らせが・・・。



<感想など>

いい映画なのである。今作を好きか嫌いかと尋ねられれば、間違いなく「好き」と答えるだろう。個人的に山田監督の「武士の一分」よりも今作の方が良いと思う。


山田監督ならではの、徹底的な資料調査と今までの監督経験が故に成せるであろう細部のディティールまでこだわり抜いた映像・セットのリアルさや、この監督ならではのユーモアや明るさ・人情あふれる人々のやり取りは素晴らしい。暗く嫌な時代であったこと&そのような暗い時代であっても人々はたくましく生きている、という恐らく当時の実情であったであろうことを軽妙で巧みな演出で表現している。この辺りのところは、今の若い世代の製作者達に是非とも見習っていただきたいと思う。余人の及ぶところではない。


しかし、毎度毎度作品を観ていて感じ、感心させられる監督の映画・作品に対する熱意が今作は少々、どころかかなり空回りし、それが映画の評価を考える上で致命的な要素となってしまったのは残念でならない。それは「吉永小百合」と「反戦思想」各々に対する強い思いである。

まず前者。母べえ役に吉永小百合を据えたことに尽きる。これが今作に対する強い違和感の元凶となっている。

彼女は非常に素晴らしい女優だ。今年63歳になるが、文句なしに美しく未だスタア女優としての輝きは健在である。今作における熱の入った演技も素晴らしい。だが、賞賛されるべき彼女の女優としての資質や魅力、努力は、「12歳と9歳の子供の母親役を演じる」ということに対しては何ら貢献していない。それどころか、彼女の資質や魅力の高さが故に、年齢不相応な役を演じる・演じさせられることの理不尽さや痛々しさを増大させたにすぎない。

当たり前だ。当時は今よりもずっと結婚・出産年齢が低かったはず。作中においても公式サイトにおいても、子供を除く主要登場人物の年齢およびそれを想像させる情報の記載がないが(これは吉永に対する配慮なのか?)、常識で考えて母べえの年齢は30代前半から半ば、かなり好意的に考えても40歳ぐらいであるはずだからだ。

しかし、一部のサユリストを除く鑑賞者の誰よりも母べえを演じることの無理さを痛感しているのは、他ならぬ吉永本人であるのは間違いないだろう。記者会見の時の彼女の言葉や表情がそのことを示している。


作中では、彼女を知る男の誰しもから「アカの男なんかと結婚して・・・」と思われるぐらいの美人で器量よしの嫁さんとして通っている。実際、寄り合いのリーダーと、夫逮捕後甲斐甲斐しく野上家を支えていく山崎から思いを寄せられるというモテモテさんだ。

しかし、役年齢20代後半から30歳ぐらいと推測される(34歳の浅野忠信が演じる)山崎から思いを寄せられるのは、流石に無理がありすぎだ。しかも、この山崎、檀れい演じる母べえの義理の妹~作中年齢20代前半から中ばぐらいで、町でも美人のお姉さんとして誉れ高い美術家志望の女性~から思いを寄せられているのであるが、何とそれを一顧だにせず母べえ一筋なのである。つまり、山崎をめぐる恋愛関係において、檀れい演じる役は完膚なきまでに敗北する。が、往年の吉永に匹敵するかそれ以上の美しさ=男が理想として抱くであろう昭和美人ぶりを檀れいが見せつけているからして、このことに何の説得力もない、どころか観ていてただ失笑するしかない。作品世界での年齢設定では問題ないのだろうが、ビジュアル的には問題がありすぎる。ロマンス部分を盛り上げるライバル関係としてこの2人を並列させたのは、正直に言ってもう監督の吉永に対する嫌がらせでしかないと私は思う。

そして、一部のサユリストや彼女に憧れを抱いていたであろう年配の女性を除くほとんどの人がこう思ったのではないか。「何で檀れいを母べえにしなかったのか」と・・・。この檀れい、そもそも山田監督が「武士の一分」でヒロイン役に起用したことで一躍トップ女優になった人だ。監督が有名にしたと言っても過言ではない。母べえを演じる上で実年齢・ルックス・演技力に関し彼女以上に合致した人を探す方が難しいだろう。

今作は、山田監督が吉永小百合の起用を前提しにして製作を考えたらしい。しかし、作品の良しあしや作品に対する好き嫌いとは別に、そのわがままと言い切っても良い「監督の吉永に対する強すぎる思い」は、結果として作品に痛々しさと、吉永に対する気の毒さしか生み出していない。よって終始作品世界に溶け込めなかった。


で、ものすごく長くなったが2つ目の反戦思想だ。今作は一貫して戦争の悲惨さ、特に一番被害を受けるであろう一般市民のそれを描いている。作品を通じての戦争そのものや当時の政府や軍部、特高に対する並々ならぬ批判には、個人的には共感出来るものがある。

が・・・。いったい今作のラストは何なんだろうか。恐ろしく後味が悪い。

戦争終結から何十年の時を経た現代、娘たちを残し母べえが死ぬところで今作は終わりとなる。長女初子が医者として働いている病院で今まさに母べえが死のうとしているその時、彼女は今作の語り部である二女照美の話しかけに応じ最後に一言ある言葉を残すのであるが、それがもう最悪だ。

いや、母べえがそう思うのは確かに分かる。その言葉を出すことによって戦争のどうしようもない悲惨さや、戦争や時代を恨む気持ちを表現したいという意図も分らんではない。しかし、戦後3~40年経ったであろうその時に、しかも苦労を共にした娘を前にして言ってよい言葉ではない。不幸さや時代の暗さにも負けず、娘らとともに戦中戦後をたくましく生きた母べえの魅力や人間性、しいては作品世界を根本的に否定してしまっている。何故ベタではあるが、「ありがとうね」という娘への謝意の言葉で終われなかったのであろうか。今作は戦争時に母べえ一家に関わる重要な人々がいっぱい死に、そして最後に母べえ本人が死ぬ、というところで感動の絶頂となるはずだったのに、この最後の言葉のせいで完全に台無しとなった。娘らにとっては、母親が死ぬという事実よりもこの言葉を死に際の母親に言われたことの方がずっと辛いに違いない。どうしてこういうオチにしなければならなかったのであろうか。私には山田監督の意図がさっぱり理解できないでいる。


他にも若干気になった問題もなくはなかったが、この2つの問題さえなければ今作は傑作と言っていい作品になったと思う。



<追記>

今作では山崎演じた浅野忠信と久子演じた檀れいの演技・存在感が光った。吉永の存在も小さくはなかったが、作品の重要な局面を締めたのは間違いなくこの2人であろう。

特に檀れいに関しては上にもあるように、彼女こそが母べえを演じるべきと思える美しさ・存在感があった。細かい表情や所作一つ一つがとにかく美しく絵になっている。今の女優の中で最もスタア女優、そしてポスト吉永小百合に近いと思う。(後は竹内結子と宮崎あおいか。堀北と夏帆も候補。)。

さて、一方長女役を演じた志田未来であるが・・・。こっちは全然良くなかった。デビュー当初はまだしも、最近の彼女を観ていてどうにも演技が上手いとは思えない。それ以上に、以前女優評論で危惧したとおりスクリーンで全然映えておらず、迫力・風格にも欠ける。残念ながら彼女は現時点では映画女優とは言えない。二女を演じた佐藤未来に完全に喰われてしまっていた・・・。今後が心配になってきた。





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2008/01/29 17:19|映画評トラックバック:0コメント:0

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