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映画評「奈緒子」~根性、根性、ド根性!!

・評価:70点





<あらすじ>

長崎県の自然豊かな街、波切島。日本でも有数の実業家の娘である篠宮奈緒子(子供時代:藤本七海 、高校生時:上野樹里)は喘息の療養のため家族とともにこの島に来ていた。しかし、ある日両親に伴われ船釣りに出た際、不注意により海に落ちてしまう。その船の持ち主であり、かつては「日本海の疾風」と称えられた壱岐健介に助けられたが、健介は命を落としてしまう。「お前のせいで父ちゃんが死んだ、父ちゃんを返せ!!」と健介の息子雄介(三浦春馬)に厳しい言葉を浴びせられた奈緒子は心に深い傷を負う。東京に帰った後もこの一件のことは彼女を悩ませ続けたのであった。そして数年の月日が経ち・・・。


自分の所属している陸上部の記録会の手伝いをしている時、それに参加している壱岐雄介と再会する。彼は既に、父親以上の資質を見せる天才ランナーとなっていた。だが、そんなこと関係なく、2人の間には依然大きなわだかまりがあった・・・。

雄介が所属している陸上部の西浦監督(笑福亭鶴瓶)は、そんな2人の様を見て取り、夏休みの期間臨時のマネージャーとして奈緒子を受け入れる。それは当然奈緒子・雄介のためであったが、実は自身にとって最後となるであろう夏を特別なものとしたいという西浦の強い思いでもあったのだ。波切高校陸上部の熱い夏が幕を開けた・・・。



<感想など>

原作は、プロゴルファーと言うよりも「坂田塾」をはじめとしたレッスンプロとして有名で作家活動、特に漫画原作も手掛ける坂田信弘原作、中原裕作画による駅伝・マラソン漫画。ビックコミックスピリッツで9年間連載・単行本総計39巻(『奈緒子 新たなる疾風』を含む)と長期連載となったこの雑誌を代表する作品だ。今回は、「ロボコン」「さよならみどりちゃん」「ケータイ刑事シリーズ」といった作品を手掛け注目された気鋭の若手監督である古厩智之により映像化された。

漫画が大好きで相当読み込んでいるのだが、今作はその中でも自分にとってかなり重要な作品であり、思い入れが非常に強い。事前にさんざん観た予告映像を観るに全く期待を持てなかったのだが、不安よりも好奇心に負け観に行った次第。


スポーツ作品の映像化は難しい。漫画では著者の設定と画力により、現実離れした「希代の天才選手」ぶりを存分に表現すれば良いところを、実際に存在する人間=役者を当てはめ、スポーツをさせた映像をしてそれを表現していかなければならないからだ。

サッカーや野球といったスポーツと違い「ただひたすら走るだけの陸上競技」は、単調で展開の起伏もないことから、数々のスポーツの中でも娯楽である映画とするに最も不向き且つ難しい作品かもしれない。

しかし、この問題に対し、古厩監督は最も明快にして最も難しく、そして最もえげつない方法をして解決を図った。1つは壱岐市ぐるみでの協力を得たであろうことが明確に分かる本物の駅伝かと思えるほどの大規模なロケーション。そしてもう1つは、主要出演者の徹底的な「陸上選手化」である。

それは、作中の映像を見ていれば一目両全であろう。雄介のライバル役黒田を演じている綾野剛以外これと言っての陸上経験はないようだが、彼らの体つき・フォームは本物の駅伝選手と見まごう程の堂々たるもの。作中において走る、走る、ひたすら走り倒している。まさに波切高校陸上部名物の「根性走り」である。実際の彼らの走力は知らないが、観ている限りではどこぞの駅伝大会に出ても通用すると思えるぐらい。監督がとてつもない走り込みを役者らに課したことは想像に難くない。役者らにとって監督はきっと作中の西浦以上の「鬼」であったことだろう。しかし、その甲斐は十二分にあり、監督や選手の作品に対する意気込みがひしひしと伝わってくる駅伝シーンは非常に完成度が高いものとなった。あまり駅伝に興味がない私でも十分に駅伝の面白さや厳しさを感じとれるものであった。それを観るだけでも十分に元が取れるものであると思う。雄介役を演じた三浦も、依然演技は稚拙で表情も硬いが、その走りっぷりの見事さで「最優秀主演男優候補」としたいぐらいだ。


但し、かなりの出来と言える駅伝部分とは対照的に、この部分に比する「奈緒子」原作の見どころでもある「人間ドラマ」部分に関しては、残念ながら出来は良くない。完全な赤点レベルである。

何故そうなったのかの理由は、原作ファンなら容易に分かるだろう。大長編の原作を2時間程度の尺で納めなければならない映画の事情は致し方ないのだが、権じい、雄介の兄である大介、本田といった作品を考える上で極めて重要な人物をことごとく廃し、さらには雄介の父親である健介と雄介の先輩であり盟友である宮崎を単なる脇役以下の扱いとし、「奈緒子」と「西浦」の二人だけを重要人物としたことに、その理由が集約されていると言って良い。


そもそも、「奈緒子」という作品、

共におとなしく且つ奥手の超天才児と美人ヒロインに変わり、何もかもを知り尽くした「悟りの境地」にある恩師や、解説よりも何故か波切島の人間の心理分析や人生分析に勤しむ、これまたやたらとよく物事を知っている解説者、周りの主要人物らによる坂田の人生哲学・スポーツ哲学が存分に反映された説教臭く回りくどい長広舌をして、主役両名を描写し、話全体を動かしている、という大きな特徴がある。

これは、坂田原作作品のカラーであり今作で極めて色濃い特徴と言ってもよい。


かなり長ったらしい言い回しになってしまったが、ようは以外主役二人のやり取りだけでは、そのキャラクター性もあり話を形成出来ないのである。雄介と奈緒子に話を絞った映画の構成は、時間制約のある映画の特性上必然であったことは分かる。しかし、そうでありながら、序盤でわざわざ2人の心の隔たりの象徴として「奈緒子の雄介への水分補給失敗シーン」をスローモーションで執拗に撮っておきながら、何故最後までにそれに対する補足=「2人の心の隔たりの解消を象徴するシーン」と、さらには「奈緒子が居たからこそ雄介が最後に黒田に勝てた」を示すシーンを設けなかったことは、雄介にとって父をめぐり恨む相手でもありながら徐々にかけがえのない女性となっていった今作のヒロイン、奈緒子の魅力や存在意義を全く表現できていないことであり、致命的な失敗と言うほかない。


監督は、この奈緒子というキャラをどう扱ったらいいのかの答えを出せないまま撮影に臨んでしまったのではないだろうか。それはそのまんま、演出や演技指導、そして人間ドラマ部分に反映されたと思われる。奈緒子を演じた上野樹里に関しては、ルックス的には過去最高のものを見せたとは思うが、やはり事前に懸念したとおり、如何にも気の強そうな顔つきを始め何もかもが原作の奈緒子が持つおとなしく献身的なイメージ・魅力に合致していない。上記演出の問題と陸上部の女子マネージャー役の佐津川愛美の反則的なかわいらしさに押され、中盤以降ほとんど存在感を示せずに話が終わってしまった。何もかもが中途半端。それでも、しっかりとした演技を見せた様は、流石ここ数年の若手女優ブームを築いてきた開拓者と評価できるものであったとは思うが、「陸上経験があったから」に比する選出理由を見いだすまでには、設定や演出の不備を払しょくするには至らなかったというのが正直なところ。個人的には長澤まさみにこそ、この役を演じてほしかったと思う。


まあ、あと細かなところを言えば、奈緒子以外の主要人物は皆長崎県出身であるはずなのに、主役である雄介をはじめ誰一人長崎弁で会話していなかったのも気になった所。鶴瓶に至っては完全に関西弁。分かりきっているとは言え・・・。


熱心なファンだからこそ気になる問題もあったが、総合的には駅伝部分の出来の良さと出演役者の頑張りをひしと感じ取ることのできる佳作。
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2008/02/23 02:18|映画評トラックバック:0コメント:0

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