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映画評「ポストマン」~思っていたよりは良かったが意図がよく分からん作品

・評価:70点

「話題性やちまたの高評価もあり期待して観に行ったら全然ダメだった作品」は映画鑑賞において良く遭遇しますが、一方で「注目もされていないしあまり評価も高くないので全然期待せずに観に行ったら意外に面白かった作品」にも時々遭遇することがあります。今作は、典型的後者の例と言える作品だと思いますね。北乃きい見たさというただ一点のみが鑑賞の動機であったのですが、個人的には前に映画評を書いた「ガチ☆ボーイ」よりもこちらの作品の方が楽しめました。

ま、今作にも問題は結構あるのですけど・・・。





<あらすじ>

太平洋を臨む美しくのどかな場所である千葉県の房総半島。2年前妻・泉(大塚寧々)に先立たれ、今は娘のあゆみ(北乃きい)と息子鉄平を男で一つで育てているこの町の郵便局員、海江田龍兵(長嶋一茂)は、役職も内勤も拒み、バイクでの配達全盛の今においてもがんこ一徹、バタンコ(配達用の赤い自転車)での配達に拘り続ける堅物・アナログ・アナクロポストマンだ。それが故に周囲から呆れられ、時に反発しあうこともあるが、実直・堅実・正確としか言いようのないその仕事ぶりは、一方で同僚や町の人から尊敬と信頼とを得ていた。

だが、彼の堅物な人間性は仕事のみならず家庭・日常生活の場にも及ぶ。

ある日、進学を控えた娘が、家を出て、陸上の強豪校として名高い全寮制の学校に行きたいと言い出す。しかし、「家族はひとつ屋根の下で暮らすべき」との確固たる信念を持つ龍兵は、娘の申出を断固として受け入れようとしない。進路をめぐってすれ違いばかりが続き、それに耐えきれなくなったあゆみは副担任で今は病気療養中の担任に変わり進路相談を受けている教師、塚原奈桜子(原沙知絵)に相談するが、この仕事を腰掛け程度にしか思っていない塚原の態度は至って冷たい。さらに彼女の存在が父との溝を一層深めることとになってしまう。

だが、龍兵とあゆみが自分の考えを貫こうとするのには、それぞれに強く思うところがあったからである。それは、龍兵にとっては妻であり、あゆみにとっては母親となる女性への思い。しかし、その女性の三回忌となる場で龍兵が親族を前にあることを宣言したがゆえに、2人の擦れ違いがついに決定的なものとなってしまった。そんな2人を見かねた龍兵の義母の園子(野際陽子)は、あゆみにあるものを見せるのだが・・・。それには、泉に対する龍兵の思い、龍兵が郵便局員を志した理由が込められていた・・・。


<感想など>

今作もここ数年の各種エンタメ業界の流れに即した「お泣かせ系作品」に区分される作品ではあろうが、その内容に関しては、「大切な人の死をどのように受け止め、どう乗り越えて人として成長していくかや、人と人とのコミュニケーションや家族の大切さ、平凡な日常の大切さ」などの描写がメインとなっており、病気や死そのものやそこへと至る過程を悲劇的に描いた従来の作品とは決定的に違う。
また、こういった作品で悩み・苦しむのが若者だけではなく、それ以上に、既にいっぱしの地位を築き、それなりの人生を過ごしてきた・過ごしている、人の親となっている大人・老人や教師であるのが興味深い。人そのものの苦しみや弱さや優しさなど普遍的なことを、至極王道に、いやベタベタな演技と演出、美しいロケ地をして描き切っている。

主役である龍兵を演じた一茂の演技ははっきり言って上手くはないのだが、彼ならではの、ある意味ナルシズムに類しているとも言える天然の魅力や実直な人間性が、愚直で不器用で時に弱さを見せる龍兵というキャラを演じるに最大限の威力を発揮している。何より、映画に対する熱意や、それを通して訴えかけたいであろう「時代を経ても変わらない大切なもの~デジタル社会全盛の時代が失いがちになっているもの~」をひしひしと感じ取れるのが良い。細かなところで映画としての問題があるにはあるが(後述)、それを感じさせない芯の太さ・勢いがある。

やはり、それは、彼の人生観や育ちが大きく影響しているからではないだろうか。今作では彼は主演だけでなく製作の指揮もとっているが、

彼が単に映画好きであるだけでなく、偉大な野球バカである長嶋茂雄の息子という特殊すぎる家庭環境で育ったこと。父と同じ道を進むも挫折し、今では「巨人軍特別補佐」と別の形で野球界に貢献しつつ、最近ではバラエティーやニュース番組に出演するなど多岐に渡る領域で活動をしていること。それ以上に父親が重病を患ったことや自分自身が父親になったことなど、家族や子供、教育などについて散々身をもって考えたであろうここ数年の彼にとって当然の帰結であると思う。どうにも「さんまのSUPERからくりTV」における天然キャラぶりばかりが印象にあるものの、http://www.postman-movie.jp/interview/index.html←ここでのインタビューなどを見るに、その実直な人柄や熱意には感心させられる。彼自身の思いつきにや自己満足にはなっていないことが良く分かることだろう。ごく普通の、からかけ離れた人生を送った・送らされたからこそ、「普通・平凡」の~例えば家族そろって食卓を囲んだり、高校卒業まで実家に居たり~を求める気持ちが切に伝わってきた。

龍兵と、後に龍兵の妻となる女性との、10数年にわたる手紙のやり取りのクサさや、ある一通の手紙を届けるために「電話一本せずに無断欠勤し、千葉から東京まで自転車で行く」という何故か作品でのキャラクター性を否定するような場面があったり、また、「エリート局員ながら地方に飛ばされてきた龍兵の同僚局員の描写」や「郵便ポストに花火が突っ込まれた事件」「局長の息子のエピソード」などなど、ネタとして振っておくだけ振っておきながらそれだけで何のフォローもなく終わってしまうなど、気になる点もなくはないが、総じて作り手の意志や気持ちが伝わってくる好作品である。一茂が主役でクサいあらすじもあり、はなから「期待が持てそうにない地雷作品」と思われている節もあるが、個人的には観ても損はない作品であると思う。


が、今作の唯一であり致命的な問題は、何故上記テーマを地方の「郵便局・郵便局員」、さらには「手紙」というファクターを通して表現しなければならなかったのかの意図・説得力が希薄なことだ。

一茂が演じる龍兵は、如何にも昭和的な「古き良き町・村の郵便屋さん」である。切手代を立て替えたり、ご老人に声かけたり、田んぼや地方行事に積極的に顔を出したり・・・。作中においては、そんな郵便屋である彼を他の人物が揶揄・批判する描写が多々あるが、最後には彼の人柄や仕事ぶりに心惹かれ、そんな彼に協力していくところが、作品の見どころとして終盤用意されているが、これには大いに突っ込みたくなる。

恐らく今作、郵政公社あらため日本郵政株式会社からの協力を得ているのは確実と思われるが(でないと、あのような撮影は出来ないだろう)、そもそもの郵政民営化の一番の理由であり、民営化後の最たる思想でもある合理化や利潤追及姿勢、地方軽視の姿勢と、今作で描かれている郵便局・郵便局員の有様との間に隔たりがありすぎる。今作で一茂演じるような人物を「郵便局員」として鑑賞者に見せることに何らメリットはないだろう。龍兵がやっていることは、作中でも他の人物から言われているように、業務や利益を考える上では無駄でしかないのだから、矛盾も甚だしい。少なくとも未だに郵政民営化に反対する連中ならいざ知らず、日本郵政株式会社自らが「PR」や「郵便事業に対する啓蒙」の一環でこの作品に協力しているとすれば、笑えるどころではない。その辺りのところが終始気になった。


<余談>

さて、恒例?の若手女優論であるが、今作で龍兵のツンデレ跳ね返り娘を演じた北乃きいは、全体的な出番こそ少ないものの、作中での設定に近い実年齢とは言え、実は難しい思春期の悩める少女を見事に演じ切っていた。同い年の夏帆と同様、演技から「演じている」ことを感じさせない自然体の演技は、天性のものだろう。彼女もまたスター女優としての可能性を大いに感じさせる。圧倒的な美貌や抜群のスタイルの持ち主ではないのに、スクリーン通しての魅力にはすさまじいものがあった。蒼井優や宮崎あおいと、若手女優ブームの旗手が「映画」ではいまいちパッとしな中、91年生まれのこの両名の活躍は、今年の上半期においてかなり際立ったものがある。将来が楽しみだ。


<余談2>

それにしても一茂の乗る自転車は速過ぎ、というより危なすぎ。あんなスピード(作中では60キロ以上出ていたらしい。特別にカスタマイズした自転車だったらしいが・・・)で走ったら完全に凶器としか言いようがない。良い子も悪い子も、いい年をした大人も真似してはいけません。
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2008/03/30 23:31|映画評トラックバック:0コメント:0

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