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映画評「クライマーズ・ハイ」~堺雅人と尾野真千子の映画だね

・評価:75点





<あらすじ>

戦後40年目の節目となる1985年の夏。群馬県で有力なブロック紙となっている「北関東新聞」で、39歳になってもどこの閥にも属さず、管理職になることもなく、ただひたすらに「生涯一記者」の思想の下頑固一徹遊軍記者をしている悠木和雄(堤真一)。しかし、そのスタンスが故に家庭生活も上手くいかず、出世競争からも取り残されていた・・・。

そんな彼も久しぶりに休暇をとり、友人の安西(高島政宏)と山登りのための準備を進め今旅立とうとしているその時、社内が突如異様な雰囲気・緊張感で支配される。500人以上を乗せた日航のジャンボジェットがレーダーから姿を消したらしい。未曾有の交通事故であり、かつての大久保清事件やあさま山荘事件・よど号ジャック事件等連合赤軍が起こした事件以来と思われる大事件の発生予感を前に社屋に居た皆が色めき立つ。墜落予想地域は長野県かそれとも縄張りである群馬か・・・。群馬であれば、あわよくば読売・朝日・毎日の3大紙を出しぬける・・・。各人の様々な思いが交錯するなか、ワンマン社長の決定により悠木はこの大事件の記事の全権デスクを命じられることとなる。

そして、未曾有の事件を取り巻く取材合戦、及び北関東新聞全体を巻き込んだ、報道にかける人々の熱いドラマが始まりを告げる。そこで悠木が見、体験したものは・・・。


<感想など>

自分が書店人として働いていた時、こいつの本だけは売りたくないと強く思っていた作家(作家などと言いたくはないが)が2人居た。1人は伊坂幸太郎。そしてもう1人は今作の原作小説の著者である横山秀夫である。

彼の躍進の作品となった「半落ち」をはじめ、「第三の時効」「動機」「顔」「臨場」などなど、彼の小説は、話の根幹となる重大要素や謎解きにおいて到底見過ごすことが出来ない致命的な論理的破綻が存在するからだ。

人物描写の底の浅さも、横山作品全般に渡り通底している問題だ。気に入らないこと・自分の思う通りに行かないとすぐに怒り・わめきまくり・どなりまくり、時に暴力さえ辞さず、挙句の果てにいくらいけすかないやつとはいえ・問題を起こしたとは言え、社会人が自分の上司をその当人の眼前で「あんた」呼ばわりするなど、幼稚的で自己陶酔的メンタリティーや反社会性に支配されたバカキャラばかり。この人物の小説は作品が代わっても人物描写に関しては金太郎飴が如く同じで、時にどの作品を読んでいるのだろうかと錯覚したこともあったほどだ。

矛盾やご都合手記に満ち満ちたアンフェアでおバカなミステリー・文学・・・。それが横山に対する個人的評価である。映画化と相成った今作原作本もその例外に洩れず、どころかこれら横山の愚かさを端的に示す文字通りのゴミ作品であった。
(この作品に関しては「歌バカ」においてかなり詳細なレビューを書いたが、様々な不幸が重なって元データが消えてしまっているのが悔しい)

100点満点で採点しても0点以外つけようがない。文句なしのクソ小説だ。何点とか以前に評価する段階に作品レベルが達していない。

その理由はいくつかあるが、終始暴走しまくりの主人公悠木、社会部記者である望月の事故死の意味不明さ。500人以上の犠牲者が出た未曾有の交通災害と個人の死を悠木のゴリ押しで同列にされる意味不明さ。ただ喚いているだけの、知性や理性のかけらも魅力もない馬鹿キャラのオンパレード。優れたパートナーがいるとはいえ山登りの経験がない50過ぎの男が日本有数の難所を登るという危険極まりない挑戦をするにも関わらず、当然そこに存在してしかるべきの凄まじい苦労や恐怖が全く描かれずわずか数十行で登山描写が完結してしまう。

などなど、作品の根幹を為す部分での意味不明さや論理的破綻が目立ちすぎる。それをとにかく自己愛がぷんぷんとするクサイ文章をしての、「プロフェッショナル同士の壮絶なプライドのぶつかり合い」の名を借りた~実際は単なるやくざ的馬鹿キャラのちんけな縄張り争いで糊塗するのが、横山秀夫というクソ作家の常套手段なのである。

原作がクソなので、それをどうこうしたところでクソにしかならない。それが劇場版である今作に対する率直な予想であったが・・・。

正直に言ってここまで鑑賞することのできる作品に仕上げた原田監督の手腕は、ただそのことだけで高い評価に値しよう。

今作をクソたらしめていた記者の事故死に絡む話をバッサリと切り、また、登山描写を徹底的に補足しただけでなく、映画版オリジナルキャラである玉置千鶴子を通して総じて概ね「日航機墜落事故」に関わる描写に絞り込んだ内容にしたのが、功を奏したといえる。大事件発生直後の、緊張感・興奮・プレッシャー・責任感といったさまざまな感情で沸き立つ新聞社の様子を迫力ある映像とカメラワークで表現するなど、小説では不可能な映画ならではの視覚的魅力を出せているのは確かな良点だ。

しかし、どう上手く繕ったところでそもそもの原作の問題を払しょくできようはずもなく・・・。


やはりと言うべきか、出てくる人物、特に悠木と対立する側にある人々の描写がきわめて類型的で魅力に欠ける。社長の白川、販売局長の伊東、次長の追村、部長の等々力などなど魅力の欠ける人物との事あるごとにある掴み合い・わめきあいの応酬は観ていてあまりにくどくうっとおしい。こういうバカバカしい人物描写は、ファンタジー的作品ならまだしも、フィクションとは言え実際に生じた事件を扱った作品においては単に幼稚さや軽薄さを増すだけで、マイナスにしか作用していない。


それと、原作の論理的破綻を繕おうと日航機墜落事故に焦点を絞った構成にしたのは、上映時間に制約のある映画の特性を考える上でも正解であるのだが、何故かそれに完全に徹しきれなかったのは、映画としての今作の大きな問題だ。元秘書に対する社長のセクハラ話や、悠木が親友の息子とともに登頂し終えた後の話を盛り込む必要があったのか、個人的には理解しかねる。

また、細かいところを言うと、命がけで取ってきた記事を没にされた後しばらく、当事者である佐山が全く出てこなかったのも・・・。

正直に言って内容や出来だけで観るとそんなに賞賛できるものではない。が、比較的高い点をつけたのは、主要3役である悠木、佐山、玉置を演じた堤、堺、尾野3者の演技が非常に素晴らしかったからだ。

堤は悠木を演じるにはカッコ良過ぎであるが、その演技力と存在感は実に安定しており隙がない。しかし、今作においては、堤以上に堺と尾野両名の演技が光る。


堺は日航機の破片発見場面や、下山後社に着いたときにまだ事件の大きさにより感情の高ぶりを抑えられず、堤演じる悠木を睨みつける場面での演技が凄過ぎた。いや~、新鮮組で山南敬介役での演技や、さらに「篤姫」であの宮崎あおいとサシでの演技バトルをして全く引けをとらなかったことからとんでもない役者だと確信していたが、その思いがさらに強まった。すごいよこの人。


とは言え、女優オタの私としてはやはり尾野の方に心が惹かれた。いや、この人も美人ってわけじゃないが、何か魅力的でかわいい。良く見ると大後寿々花と似ているような・・・。惚れましたわ。


男性優位社会である新聞社において男性に負けじと、墜落原因をつかむために奔走する姿にはただただ萌えた。堤や堺と対峙して全く引けを取らなかったの存在感と演技力は流石河瀬監督が発掘しただけはある。河瀬監督は個人的には好きになれないが、彼女を発掘したそのことだけでも賞賛に値する。そういえば、あおい様が出演した伝説的作品「EUREKA」にも出ていたが、いわゆる芸術系・思想系映画を作る監督に好かれているようだ。


この3者の演技を観るためだけでも劇場に足を運ぶ価値はあると思う。


<追記>

それにしても、今作を観ているとわずか20数年における機械・通信技術の進歩のすさまじさを思い知らされる。隔世の感すらあると言って良いだろう。

事故現場から本社へ一報を入れるため深夜に民家に押し入って電話を借りたり、100円玉を大量に握りしめ取材対象が居る場所と公衆電話のある場所とを行ったり来たりしたり・・・。取材個所における通信手段を抑えることがまず取材のために何よりも重要なことだったのだ。携帯やモバイルPCを利用して連絡を入れたり文書や写真や動画を送ったりと容易にできる今の時代から見るとほんと笑ってしまう。若い人には想像もつかないだろうが、この時代ではこれが当たり前だったのである。

しかし、こういうのを見ていると、だからこそのアナログ時代の人々の強さを感じる。便利になるにつれ個体種としてのヒトは弱くなっているのではと、ふと今作を観ていて思った次第。
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2008/07/21 23:31|映画評トラックバック:0コメント:0

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