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映画評「闇の子供たち」~期待していただけに・・・

・評価:80点
(あおい様ファンは必見)





<あらすじ>

日本新聞社のバンコク支局に勤める記者南部(江口洋介)は東京本部から、拡張型心筋症を患った日本人の子供が近々この地で心臓移植を受けるという情報の調査を依頼される。その実態は、脳死した人物の臓器をきちんとした手続きを踏まえて移植する欧米の移植とは程遠い、小さな子どもの臓器を生きたまま摘出し移植するという衝撃のものであった。

しかもそれは、親に金のために売られた子供を海外からの観光客相手に売春させるタイの闇社会組織と密接なつながりがあった・・・。小さなごみためのような部屋に監禁され、客からの様々な要求に答えなかったり反抗的な態度をとるものに対しては容赦ない暴力を浴びせられる・・・。挙句、売春の果てに傷つき病気となった者は生ゴミと一緒に容赦なく捨てられる。精神的に崩壊したりエイズを発症したりする子も少なくなかった。

一方、酷い扱いを受けるアジアの子供たちのために何かをしようという一心で単身タイに訪れ、バンコクにある社会福祉センターでボランティアとして働くことになったNGO職員音羽恵子(宮崎あおい)。それは彼女にとって「自分探し」の旅でもあったが、そこでの現実はそんな思いなど木っ端微塵に打ち砕く衝撃のものであった。

そんな中、取材のためにセンターを訪れた南部から非合法の臓器手術の話を聞かせれセンターの面々一同戦慄に震える。しかも、それに追い打ちをかけるように、先日からセンターに姿を見せなくなった子供アランヤーから助けを求める手紙が届く。親に金のために売り飛ばされた彼女も外国人相手に売春をさせられていたのである。

アジアの子供を救う、という目的は同じでも子どもに対する考え方が違う音羽と南部は時に対立をしつつも、タイ社会の闇、そして人の心の闇へと近づいていく。しかし、それは児童売春や臓器売り買いに関わるタイ闇社会のルールに反する行為。文字通り命を危険にさらす行為であったのだ・・・。


<感想など>

「仏教信仰に厚い敬遠な国民性」「象」「ムエタイ」「トム・ヤム・クン」・・・。それがタイ及びタイ人に対する一般的日本人が抱くイメージであろう。

しかし、一方タイは児童売春や麻薬といった犯罪が多いことでも有名である。タイの暗部と言っていいだろう。今作はそれをあぶりだした意欲作・問題作である。


実力派・人気者で名高い豪華俳優の出演、、「本年度日本映画界最大の問題作」と宣伝するに足る重いテーマ・・・。これで期待するなと言う方が無理だろう。今年個人的にどの作品よりも期待していたのだが・・・。確かにまごうことなき良作であり、今年の邦画を代表する作品である。しかし、高過ぎた期待が災いしたのか、それとも自分の思想とかみ合わなかったのか、ちと物足りない評価・感想と相成った。

その最たる要因となったのは、やはりテーマが故の実写表現の難しさか・・・。


今作のような実際に生じている社会的事件を扱った作品の場合、お固くまじめに作りすぎると娯楽作品としての面白みが大きく減じ、だったら同一テーマを扱った「ドキュメンタリー」を観た方がいいとの結論になり、一方娯楽性を盛り込み過ぎると」「社会問題や人の不幸を体よく利用している」と悪印象を与えてしまう、という深刻な問題がある。匙加減が非常に難しい。

阪本監督がこのことに関し非常に苦労し、考え抜いたであろうことは徹頭徹尾感じ取ることができる。そのことだけでも高い尊敬と評価に値する、のだが・・・。

その考え抜いた挙句の工夫・配慮=演出が皮肉にも今作の完成度を下げてしまったのではないのか、と思わずにはいられない。

今作は児童買春や虐待の問題をテーマとしている。しかし、そういうテーマを扱った今作の存在そのものが、ともすれば児童性愛者を喜ばしたり新たなそれらを生み出したりという危険性が伴う。それだけは絶対に避けたいと考えた監督は学者から意見を聞き、それを映画に明確に反映させたのだが、これがちょっと・・・なのである。

子供の裸や性行為の様子を極力写さない、及び撮影において子役らに対するケアを怠らないの2点はいい。だが一方、子供たちを買い、虐待する人物らは物凄く醜いかそうでなければジャンキーや人格破綻者等かなり極端な設定となってしまっているのは問題だ。

絵づらが至極醜くく正視に堪えないので、上記監督の配慮はある意味成功したと言える。が、児童売春をするのが皆こういう人物らばかりでは到底ありえない。問題の本質ではないだろう。

何故この問題が根深く、良くないと多くの人が認識していながらも一向になくならないのか・・・。こういう描写はこの問いに答えてはいないのである。何とも中途半端なのだ・・・。

今作でももちろん描写されてはいるが、児童売春がなくならないのにはそれを買う人間の問題はもちろん、それと同じくらいに重要な理由でもある、売春を誘発・継続させる社会構造や経済システムについてもっともっと踏み込んでいただきたかった。


それと、重大なネタばれになるので詳細は書けないのだが、原作とは違う「衝撃」の結末の発端となる江口演じる南部のキャラ設定の変更にも疑問がある。こんな設定ではそもそもの臓器移植の取材するままならないだろうに・・・。挙句、宮崎演じる恵子サイドの話とこの設定との絡みの悪さによる違和感がこの両者が最後に対峙する重要場面において一気に噴出してしまう。簡単に言ってしまえば、ここはあくまで、一社会人・一大人としての物事に対する考え方の違い、ここでは虐待される子供たちを救うためにどうするかに対するそれらを象徴する場面であると推測されるのであるが、それに南部の謎とをからませてしまったが故に何だかオチが散漫になってしまったように思うのである。


また、公式サイトや予告などにおいて今作の主要キャストである江口・宮崎・佐藤・妻夫木がほぼ同格に扱われていたが、思っていたより日本人全体の露出が少なく(結構タイ人役者の出番が多い)、且つ実際は前者2者に対して後者の出番・役割がかなり少なく・低い。佐藤は臓器提供を受ける側の親なので出番がかなり少なくても重要な役どころであるからしてまだ良いのだが、妻夫木はラストの「発見」の部分を除き実質南部のカメラボーイと化しているだけ。妻夫木目当てに鑑賞したファンは納得がいかないだろう。カメラを扱えるという以上に彼が演じた役の存在意義をそれほど見出せなかった。

まあ、これは制作側のミスだけでなく広報側の問題もあるだろうが・・・。


だが、今まで散々述べたこれらこと関係なく、実質の作品の核と言える南部・音羽各者を演じた江口・宮崎の演技は非常に素晴らしかった。特に江口に関しては過去最高の内容であろう。お世辞でも演技派男優とは言い難いが、今作の演技からは作品に対する意気込みが演技から伝わってきた。子供を持つ親としての思いがあったからだろうか・・・。

あれこれと不満はあったが、観ていて非常に考えさせられる重厚で見事な作品である。臓器売買といった難しいテーマにあえて挑んだ意味は決して小さくないだろう。よしんば、この作品を一つのベースとし、いろんな人々や役者に重厚で考えさせられる社会派映画を作っていただきたい。


<宮崎あおい論~盤石、盤石、そして盤石!!>

江口の奮闘ぶりも非常に素晴らしかったが、やはり個人的に心を持ってかれたのは「神」こと宮崎あおいの演技と存在感だ。予想していたよりは出番が少なかったが、その実力と魅力とでとことんおいしいところをかっさらっていたように思う。

もう、初登場場面となる「タクシー降車」→「施設のメンバーにタイ語で挨拶」で早悶絶。あの笑顔はありえん。もちろん演技に関しても完璧としか言いようがない。

自分の行動や言動が青臭い理想論の域を出ないと分かっていながら、何度も大人の事情や厳しい現実に打ちのめされながらも尚、自分に言い訳せず「ひどい扱いを受けている子どものために・・・」と強い信念で前進し続ける音羽恵子という人間を見事に演じ切っていた。彼女以上の適役はいないと誰しもが思うのではないか。すべてが圧倒的だ。何故ここまでまっすぐに役を演じ切ることができるのだろうか・・・。


また、映画の大半においてタイ語で演技をしていたが、セリフ以外のタイ語が全く出来ないのが嘘であるかのような流暢ぶりも見事であった。言語が代わっても演技に全く支障がないのは、彼女の女優魂とセンスの高さを如実に物語っている。

しかし、彼女の女優としての凄さは言語云々を超えたところにある。虐待されている子どもに対する聖母のようなまなざしと、その子供たちを傷つける許されざるべき大人に対する怒りのこもった眼光共にただただ心を打たれた・・・。彼女の女優としての真価は、台詞なしでも人を引き付ける繊細な感情表現の上手さとその切り替えの上手さであるのだ。それの象徴と言える予告でもおなじみエイズに発症した子供にキスする場面と、子供を助けるために自分の危険を顧みずトラックに駆け込んでいく場面は、今年の邦画の名シーンの1つであり宮崎伝説がまた1つ形成された瞬間でもあった。
(相変わらず今の邦画の予告映像作りのへたくそさ加減にはうんざりする。この場面は予告で見せるべきものでは断じてないだろう。)

脇役だろうが主役だろうが関係なく常に最高の仕事をし、魅力を発す。これが若手女優をリードする宮崎あおいなのである。総合力において彼女に追随できる女優は若手には見当たらない。もう彼女は他世代や往年の名女優らの居る領域へと行っているのである。
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2008/08/04 18:08|映画評トラックバック:0コメント:0

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