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ザクっと映画雑感「容疑者Xの献身」~実に、おもしろくない~前編

・評価:60点 
(原作未読者なら+5点。且つ福山やテレビシリーズのファンであるのなら+10点)

今年下半期一番の話題作であろう今作。平易な作りでテレビドラマ化するのに向いていた短編シリーズ少し大きい文字とは違い、原作が長編且つ東野ミステリー史上最高傑作であることから、はなからその出来に期待などしていなかったのだが・・・。


結論から言うと、まあ頑張ったなとは思う。しかし、以前ここでも書いたように公開前から懸念していた問題に関しては、ほぼそのまんま出てしまったなと言わざるを得ない。原作の面白さにかなり助けられた一方でそこに存在した面白さは大幅に削られてしまった・・・。


以下このことについてかなり長くなるが雑記的に書いていく。管理人はいわゆる「原作信者」でありますので、採点結果の割には結構厳しい論調になることをご留意ください。


<都合により前後篇に分ける構成としました。>
*10月11日 工藤の容姿に関する記述訂正





個人的に「容疑者Xの献身」は東野のミステリー的作品の中で1・2を争う傑作であると確信している。そう思うのには様々な理由があるが、「死体」「指紋」「犯行場所」「犯行時刻」といった殺人事件の捜査において基本的・常識的な事柄と「絞殺」というごくごく普通の殺人手段をして表現した、シンプルでありながら極めて深く知的で緻密な謎解き・頭脳戦と、もちろん、このことにも関わるが、2人の天才である湯川VS石神の対決構造を軸にしつつ、真犯人である花岡母娘、石神や湯川ほどの天才ではないが優れた頭脳を持ち心理的駆け引きにも秀でた刑事草薙、優秀で狡猾な警察組織といった様々な人や組織を上手くからませた見事・重厚な人間描写・心理描写にあろう。

特に後者に関しては、警察や草薙の優秀さ・狡猾さを適切に示した上で、それらが石神の仕掛けた凄まじい罠にはまり振り回される描写が、主役である石神と彼と対峙する湯川の化物じみた頭の良さを引き立たせることになり、しいてはミステリー作品としての今作の面白さをもたらしていると言って良い。

作品を構成するすべてが、数学の公式の如くシンプルで且つ美しく、全く無駄がないのである。

そもそも、この作品は「探偵ガリレオ」シリーズの短編シリーズと違い奇抜で見栄えの良いトリックがないことから映像化に向いていない。
(かねてより思っているのだが、何故東野作品史上最も映像化しやすい「天空の蜂」がどうして映画にならないのだろうか・・・。不思議だ)

このブログで何度となく書いてきており、個人的映画論の根本であるが、長編の原作を時間的制約のある実写映画で作り変える上で極めて重要なのは、「残すところ削るところを的確に見極め、それに映画ならではの視覚的な面白さを加味する」ことと「原作キャラのイメージを損なわない適切なキャスティング」を行うことにある

で、実写映画版の今作であるが・・・。テレビ局や芸能事務所の浅はかな考えや醜い思惑が見事に作品としての質を下げてしまったとしか言いようがない。何故そうなったのかに関しては、ほんと数回に分けて連載できるほど書いていくことができるのだが、最たる理由は上記原作作品映像化においての鉄則を守れていないこと、つまりは「必要なところを削り、必要でないものを足した」に尽きる。

全く無駄がない原作が故に、このことは通常の同種作品と比べてその弊害が極めて大きなものとなり作品を蝕むことを意味している・・・。

だいたい、長澤まさみがゲスト出演した特番の最後とつなげた今作のオープニングにいったい何の意味があるのだろうか・・・。しかも大枚はたいて盛大な実験シーンを盛り込んでるが、時間的制約のある映画を考える上で全く無駄なシーンでしかない。「意味のない場面の存在」・・・、ダメ映画の王道パターンだ。特番を観た人を劇場に誘導するためのあさましい魂胆であることは見え見えであるが、これぞ愚の骨頂。客を呼びたければ誰もをうならせる良い作品作りと適切な広報を行うに勝るものはないからだ。下手な小細工は作品を汚すだけでしかないことに何故気付かない?

その結果この作品の醍醐味であるミステリー性や緊張感が大きく減じられ、しいては作品の魅力や質も大きく減じられることに・・。

原作では、ホームレスを観察する石神の克明な描写をして石神の凄さと作品の世界観を示す冒頭10Pの見事さに読後感嘆させられたが、作品を考える上で重要な意味を持つこの場面をさらりと流しただけなのは理解に苦しむ。またこれは、花岡母娘の犯行を彼が知る&その工作をする場面も同様だ。

原作においては、些細な物音と、彼が花岡家を訪れた時に見聞きした断片的な情報のみで花岡母娘が殺人を犯したことを看破した場面もこれまた石神の凄さを雄弁に示しているのだが、映画版は何の工夫もなくモロばれな形に。偽装工作の場面を通常ミステリーの謎あかしの如く終盤に持ってきたことも含め完全な演出ミスであろう。実に非論理的な演出で作品世界に鑑賞者を引き込む求心力を減じただけである。


また、石神のキャラ設定を登山家にしたのも完全なミスとしか言いようがない。柔道家である設定は、原作の設定を踏襲して大柄で体格の良い役者が演じた富樫を石神が単独で絞殺可能と警察に納得させる論理的な支柱となっていた。何で登山家に・・・。冒頭シーンと同じく時間と金をかけた雪山行軍は絵的に見せどころがない今作に対する「視覚的演出」なのだろうが、これも全く意味のないことである。


ミステリー・謎解きに関わる演出のミスに関しては、他には原作では克明に示された自転車トリックの解説がほぼスルーで終わっている点や、原作にはない理解不能の「バカラ賭博場捜索シーン」などなど数多くあるが、書いていくとキリがないのでこの辺で終わりにする。キャスティングに関する話に移す。


当初から疑問があった石神演じる堤、花岡靖子演じる松雪に関しては、両役者とも百戦錬磨なだけはあり上手い。自分に求められていることを極めて高レベルにこなしきっていた。何だかんだ言ってもラストが感動的であったのは両者の演技の良さに他ならない。が、悲しいかな、どうしても違和感を払拭することは敵わなかった。これは両者の責では全くなく、キャスティングを決めた連中に代表される制作サイドの問題である。

松雪はどうしても事件を自力で解決しそうな気の強さや知性があり・・・。素敵な役者であり女性であることは疑いようもないが、正直男性的価値観における「保護欲」をそそる魅力には乏しい。しかし、石神演じる堤に比べたらそれも些細な問題だ。

髪型やその色、服装などの創意工夫によりかなりグレードダウンしてはいるが、「かっこいいかかっこよくないか」の二元論で考えたとき、やはりどう見ても考えても堤は「かっこいい」方に分類されるだろう。原作においても実写映画版においても、石神が「かっこいい湯川の外見」と比較して己の容姿を醜さを嘆くシーンは、天才的頭脳とそれをしての鉄壁な論理で完璧な犯罪計画を構築・遂行した石神が犯した唯一のミスであり、後々の犯罪計画の崩れとラストの感動へとつながっていく大きな布石となる点で極めて重要なのであるが、福山演じる湯川と並んでもさして見劣りしない堤のルックスではいくら彼の演技が上手くても説得力に欠ける。あんたにルックスの悪さを嘆かれた日には、(自分も含め)ホントにブサメンの人たちはどうなるんだよ!!と突っ込みを入れたくて仕方がない。

この大きな問題をさらに大きくしているのが、出番こそ少ないが作中人物の人間関係やストーリー進行の上で大きな役割を果たす工藤をダンカンが演じていることだ。

今作鑑賞後原作を2度読み直したが工藤の容姿に関する具体的な記述はない(たぶん)

文庫本228Pにおいて「靖子は端正な工藤の顔を見返した」と書いてあり、工藤がイケ面であることが明確に示されている。

まあ、必ずしもイケメンのナイスミドルを役に据える必要はない。しかし、上記にあるように石神が自身の容姿の醜さを嘆いたり、石神が工藤に嫉妬心を強く抱くことに説得力を感じさせるぐらいには、工藤を演じる人物がイケてなければお話にならない。ダンカンには悪いが、グレードダウンした堤よりも明らかにルックスが悪い人物を起用した連中の頭は相当に抜けているとしか言いようがないだろう。誰にも理解できない・喜ばれないキャスティングが残念ながら時に存在するが、これは典型的悪例として長きにわたり語られる必要があると思う。ほんとどういう力学が働いてこうなってしまったのかは全く分からないが、もう少しましなキャスティングがあっただろうにと悔やまれてならない。


今回はここまで。次回は対人関係の構図の問題と若手女優論の話を書いていく。

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2008/10/08 23:58|映画評トラックバック:0コメント:0

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