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ザクっと映画雑感~「ブラインドネス」~がっかりもいいところ・・・

・評価:45点

木村佳乃、伊勢谷友介の出演や、第61回カンヌ国際映画祭でオープニング作品選出、コンペディション部門出品したことで話題となった今作。事前で知ったストーリーもなかなか面白そうであったこともあり、期待して観に行ったのだが・・・。見事に玉砕。これは酷い。勘弁して下さいよ。





視界が突如白い闇に覆われてしまう奇病の発生・蔓延により視力を失った人々が大量発生する。当然、社会機能は停止し世の中は大パニックに。政府は事態収束のため盲人達を強制収容施設に隔離する政策を執る。だが、収容された人々以外、感染を恐れ誰も施設に立ち寄らないことから、生存を考える上でも、衛生的な意味でも心理的な意味でも、収容所内は文字通りの地獄と化していく・・・。


ま、目が見えないことや、集団心理の醜さを通し、人間の本質に対する鋭い批判・問いを投げかけているテーマ性の高さ、目の付けどころは良い。

今作はインディーズ映画とのことだが、本当はもっと酷いのだろうけど、廃墟や糞尿やごみで凄惨な状況になっている町や施設の描写などかなり良くできている。まあ、普通ならとてつもなく臭くあるはずなのに、そのことが映像や役者の演技を通して全く感じられなかったのはどうかと思うが・・・。

目が見えない人によって構成される集団・社会においては、そうでない社会において、目が見えているが故に圧倒的に意味を有す人種・民族・外見・年齢・社会的ステータス・といったイデオロギーが殆ど意味をもたなくなる。これらイデオロギーから解放されると言ってもいいだろう。上記ことによる差別は収容所の世界では存在しない。今作終盤における、主要人物らによる集団生活の描写も含め、全編を通し如何に人間が上記イデオロギーに縛られているか、そのことにより様々な甚大な問題を生み出しているかを示している点は良かった。

(但し、性差<ジェンダー>に関しては至極古典的で示唆に富んでなかったのが残念。後述)

また、このこととも関わるが、作中に唯一登場する先天性の盲人とそうでない今回の感染で盲人となった人々とを対比させた演出は上手い。通常なら目の見える人々から「弱者」として扱われる・認知されがちな前者が、ここでは物心ついた時からの修練と経験の積み重ねをして圧倒的な強者~実質のナンバー2として君臨している。見事な立場逆転である。

そして、ジュリアン・ムーア演じる今作で唯一目が見えるが、目が見えなくなった夫に付き添うため盲人のふりをして収容所に収容される女性を通し、こういう状況においては、「見えている」ことにより「見たくもない現実」を見せられる不幸、一方「見えていない」ことにより生じる幸せが存在することの描写を通し、「見える」「見えない」関係なく「大切な何かを見落としているのでは」と考えさせるラストは、それなりの良さと感動があった。ただ、伊勢谷の微妙なセリフ回しもあるが、終盤彼が言うセリフはやたらとってつけたような感じがして感情移入できなかったが・・・。

だが、作り手が作品を通して訴えたいテーマの観客への伝達に関しては、概ね成功しており評価できるものの、要所要所の作りや演出等に関して深刻な問題が少なからず見受けられたのが、個人的にかなり気に入らない。

まずテンポが悪すぎ。盲人になってしまった人々が収容所に収容されるまでと、そこから具体的に話が動き始めるまでの描写、及び収容所内の話が終了してからの描写がやたらと長く観ていてイライラしてくる。収容される人々の自己紹介の多さはその例の一つ。状況説明や上記主題の表現のための描写が必要とは言え、観客はバカではないので、必要最小限で十分である。

中盤からある意味作品を考える上で主役的存在と言える、食料の独り占めによって収容所を独裁的に支配していく自称「王」の人物描写が明らかに不足しているのもいただけない。彼がどうしてそのグループにおけるリーダーになったのかの過程やリーダー足り得る優秀性の説明が全くなされていないまま、いつの間にか所内を支配する存在になってしまっているので、観客は置いてけぼりにされてしまう。このグループには他にはない経験と技術を有す上記「先天性の盲人」が居るので尚のことである。これは後述するジェンダー描写の問題にも少し関わるが、このことにより彼に支配されている人々がやたらおバカに見えて仕方無かった。

そして、個人的に一番気に入らなかったのは、この食料を独占することで「支配者」となった「王」が他のグループに「食べ物が欲しければ女を差し出せ」のところだ。この場面はとにかく欠陥だらけで意味不明。

まず、「女性が力を有す男性の慰みものになる」だけという描写がおかしい。目が見えなくなってもジェンダーだけは克服されない、ということを表現したかったのかもしれないが、ここはレズビアンやゲイの人物を盛り込むなどして、男女関係なく力関係によって「性の慰みもの」になることを描いてほしかった。

この場面でさらにおかしいのは、結局王の要求をのんで体を提供することになる女性らの描写だ。公式HPのストーリー紹介では、「女たちは屈辱と絶望を感じながらも、生きるために耐える決意をする」と記述してあるが、観ている限り全くそうは思えない。誰ひとり泣き叫ぶことなく女たちは第三グループの房に堂々と行っているし、行為が終わった後の表情も大半が平然としており・・・。で、肝心の行為最中の場面は引き気味のカメラワークに、ただ「はあはあ」「ああ」等よがっている声しか聞こえてこないので、全く悲壮感がない。ただの乱交である。後に、殴られて死ぬ女性の描写や房に火をつけるなどの描写がありはするものの、全体的に描写が変である。

普通こういう場面なら、悲鳴や嗚咽、女性の抵抗を盛り込んだり、行為終了後屈辱で自殺する等の話を盛り込んだりするとともに、食料欲しさに自ら進んで王に体を提供する者や反対にそれが嫌で自分一人だけ逃げようとする者を対比させるなどして悲壮感や屈辱を表現するのがセオリーだろう。

自分の恋人や妻がこういう目にあっているにも関わらず、肝心の男側の描写もイマイチ迫力がなく・・・。怒り狂うか無力さに打ちひしがれるかのどちらかだろうが、そのどちらも上手く描けていたとは言い難い。


映画的に問題があったが、「王」を演じた男優とセリフ回しが良くない伊勢谷以外の主要役者は皆体を張った良い演技が出来ていたと思う。

但し、終盤主要女性4人でシャワーを浴びる場面で、大人の事情からなのか木村だけ「胸」を隠していたのは大きなマイナスポイント。こう言うのには単に「木村のおっぱいが見たい」とのスケベ心があることを否定しない。だが、それを抜きにしても、目が見えない者同士で集まった世界においては、もう見た目や見られているということそのものに意味がないので、他の女優がそうであったように堂々と裸をさらして欲しかった。というよりもそうせねばならなかったと思う。一人足並みがそろわないとかくも絵的に見苦しくなるのかの典型例だ。

注目された伊勢谷・木村の日本人役者2人の演技に関しては、上記こともあり個人的にあまり良いとは思えなかった。まあ、これには、思ったよりもずっと出番が多かったものの、どちらかと言うと状況説明のために上手く利用されている感が否めなかったことも影響しているのだが・・・。


総論としては、細部のストーリーや設定等もっと吟味して欲しかった。テーマが悪くないだけにほんとがっかり感ばかりが残ってしまった・・・。
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2008/11/27 20:57|映画評トラックバック:0コメント:0

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